まえがき、序文|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #1

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ポーターの競争戦略の話については#10で一区切りとしたので、次の課題本としては「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定しました。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

マーケティングに関してはドラッカーのマネジメントにおける企業の目的としてマーケティングイノベーションが挙げられていましたので、その辺も関連付けながら理解していくと良さそうです。
#1ではまずは本の外観からということで、まえがきと序文について取り扱います。
以下、目次になります。
1. まえがき
2. 序文
3. 感想・まとめ


1. まえがき(簡単な要約)
マーケティングの基本コンセプトを再検討するにあたって、今日のマーケティングで最も重要と思われる80のコンセプトをリストアップした上で、それらがどのような意味を持ち、堅実なビジネスを展開する上でどう影響するかをじっくり考えてみることとした。
最も重視したのは、効果的で革新的なマーケティングのための最も優れた原則と実践例を突き止めることであった。新鮮で刺激的な考え方や見方をいつでも検索や拾い読みができ、わかりやすい形にまとめることをつとめた。
本書の読者層は下記を念頭においた。

マーケティングを学ぶ必要に迫られた管理者、例えば財務担当の副社長、非営利団体の常務理事など。
-> マーケティングの主要なコンセプトや原則を学ぶために、信頼できる著者による気軽な本が求められるだろう。
・かつてマーケティングのコースを履修したが、世の中が様変わりしたことを実感している管理者。
-> マーケティングの重要コンセプトを学び直し、好業績に結びつく最新の考え方が求められるだろう。
・混沌とした日々の業務の中で知識の再整理と再活性化を図ろうとしているマーケティングの専門家。


2. 序文(簡単な要約)
今日のビジネス界が直面している中心問題は、商品の不足ではなく顧客の不足である。世界的に見て、ほとんどの産業が消費者の購買力をはるかに上回る生産力を有しており、この過剰生産がハイパーコンペティションをもたらす。この際に行う価格の引き下げや機能の付加などの方針(戦略とあったが、ポーターの戦略の定義の方がしっくりきたので方針と書き換えました)が、最終的に利ざやの縮小や利益の減少に繋がり、企業倒産を招いたり、合併、買収を加速させたりすることになる。
価格に頼ることなく競争するにはどうすれば良いのかの答えを教えてくれるのがマーケティングだ。マーケティングは企業の『顧客製造部分』であり、過剰生産能力が問題となる今日、マーケティングの重要性はかつてないほど高まっている。
しかしながら、マーケティングはビジネス界でも一般の認識でも甚だしい誤解を受けたままである。下記に具体的にマーケティングの誤解と実際をまとめた。

マーケティングの役割は製造部門を助け製品を市場に送り出すことではなく、製造部門がマーケティングを支援する。
マーケティングは販売としばしば混同されるがマーケティングと販売はほとんど正反対ともいえる活動となっている。結局のところマーケティングとは販売活動ではなく、投資活動である。ドラッカーが「マーケティングの目的は販売を不要にすることだ」と断言しているのも興味深い。

以下にマーケティングの定義(by Kotler)をまとめる。

マーケティング・マネジメントとは、標的市場を選択し、優れた顧客価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、育成する技術である。

もう少し詳しくすると下記となる。

マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突き止め、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択した上で、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全構成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。

マーケティングの目的は優れたソリューションを提供し、優れたソリューションを提供し、購買者が製品の探索や取引に費やす時間や労力を省き、社会全体の生活水準を向上させることによって価値を生み出すことにある。
マーケティングは広告を製作したり、媒体を選択したり、ダイレクトメールを発送したり、顧客からの問い合わせに答えたりする限定された活動ではない。何を作るべきか、製品を顧客のもとに届け、入手しやすくするにはどうすれば良いか、引き続き購入したいと思わせるにはどうすれば良いかを組織全体で解明するより大規模なプロセスである。
マーケティングを学ぶには1日あれば学べるが、使いこなすには一生かかる。しかしありがたいことに、マーケティングが無用になる日は永遠にこないと思われる。ただし過去に学んだことがそのまま通用するわけではないので、本書はそうした市場で戦い続けるビジネスパーソンがぜひとも理解しておくべき80の最重要コンセプトを取り上げ、解説を行っている。


3. 感想・まとめ
#1では外観を掴むにあたってはじめにと序文の内容をまとめました。序文なので抽象的な記述が多かったですが、本で記載されている80のコンセプトを学ぶ背景や目的がわかるという意味で有意義な内容だったと思います。
ドラッカーの「マーケティングの目的は販売を不要にすることだ」も引用しており、なかなか興味深かったです。
競争戦略の話とマーケティングは関連性が強い内容の印象なので、そういった点なども紐付けながら今後読み進めていくと良さそうでした。
#2からは実際に内容に入っていければと思います。