目標と目的、成長戦略、保証、イメージと感情のマーケティング|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #9

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#8では経験マーケティング(Experimental Marketing)、財務マーケティング(Financial Marketing)、集中とニッチ(Focusing and Niching)、将来予測(Forecasting and the Future)について取り扱いました。

#9では目標と目的(Goals and Objectives)、成長戦略(Growth Strategies)、保証(Guarantees)、イメージと感情のマーケティング(Image and Emotional Marketing)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. 目標と目的(Goals and Objectives)
2. 成長戦略(Growth Strategies)
3. 保証(Guarantees)
4. イメージと感情のマーケティング(Image and Emotional Marketing)
5. 感想・まとめ

 

1. 目標と目的_Goals and Objectives(簡単な要約)
企業の目標として最も一般的なのは、資本コストを上回る売上をあげることである。すなわち、現時点で投資を行い、将来その価値を高めることが事業を営む上での目標となる。企業がこの目標を達成したとき、経済付加価値(EVA)が生まれる。
以下企業の代表的な目標についてまとめる。企業の目標はこれ以外にもあるが、いずれの目標を掲げるにせよ、慎重に検討する必要がある。

1) 企業の成長
-> 企業は成長する必要があるが、その成長は利益を伴うように注意を払う必要がある。

2) 市場シェア
-> 多くの企業が可能な限り顧客数を増やすことを目標として掲げている。が、一方で顧客ロイヤリティを高め顧客をよりよく理解することも重要である。

3) 売上高収益率
-> 一定水準の粗利益の獲得、意地を目指す企業もあるが、資産回転率のバランスを無視してはならない。

4) 1株当たり利益の伸び率
-> 1株当たり利益(EPS)を目標とする企業もあるがEPSは必ずしも投下資本当たりの収益を反映しないことに注意が必要である。

5) 名声
-> 企業は世間から好ましい評価を得られるように全力を尽くすべきである。

目標が明確になったら、次に行うべきことは全社レベル、事業部レベル、部署レベルの目的を具体的に定めることである。目的を具体化することでそれを達成するための計画立案が可能となり、インセンティブや報酬の内容も決まってくる。
目標にせよ、目的にせよ十二分に考え抜くことが重要で、スピードが役に立つのは正しい方向に走っている場合に限られる。

 

2. 成長戦略_Growth Strategies(簡単な要約)
企業は利益をあげるだけでは十分と言えず、企業は成長していかなくてはならない。成長しない企業は、長期にわたって利益をあげ続けることはできない。同じ顧客、同じ製品、同じ市場にしがみついている企業には大きな災いが待ち受けている。
投資家は企業規模の拡大を望み、社員はいま以上の昇進の機会を求めている。このような状況において、成長は何よりの活力源であり、「立ち止まっていると撃たれてしまう」。自社が成長しないのは市場が成熟しているからだという企業もあるが、このような弁明は単に想像力が欠如している。市場の見方の問題であり、成長する市場はいくらでも見いだすことができる。
成長戦略を練るにあたって、下記の4つの基本的な枠組みが参考になる。

1) 既存顧客に対して既存製品を今まで以上に売る
-> 顧客を説得して1回当たりの使用量を増やすか、使用頻度を高めるように仕向ける

2) 既存顧客に対して新たな製品を売る
-> 既存顧客が必要としそうな新たな製品を開発する

3) 新規顧客に対して既存製品を売り、販売量を増やす
-> 既存製品を新たな地域や新たなセグメントに対して販売する

4) 新規顧客に対して新たな製品を売る
-> 新たな市場の要求に応えうる事業を買収、もしくは新規に立ち上げる

企業を成長させるには、社員やパートナーの意識を成長志向に変える必要がある。そうしていまだ満たされていないニーズに目を向ける必要がある。現在の製品やサービスを出発点にするのではなく、既存ならびに新規顧客のいまだ満たされていないニーズを感知し、それを満たすことで成長を目指すべきである。


3. 保証_Guarantees(簡単な要約)
保証はますます盛んになりつつある。保証は企業の価値と信頼性を高める上で強力な武器ともなりうる。保証の形態としては、返金、賠償、交換などがある。ただし、意味がありかつ理解しやすい保証でなければならない。
ハンプトン・イン、ゼロックスゼネラル・モーターズなどは強力な保証により熱心な支持者を集めることに成功した具体例である。


4. イメージと感情のマーケティング_Image and Emotional Marketing(簡単な要約)
企業のマーケティングは次第にイメージと感情のマーケティングへと移行しつつある。かつてのマーケティングのスローガンは競合他社よりも優れたベネフィットを提供せよ、そのベネフィットを宣伝せよというものであった。ベネフィットマーケティングと呼ばれるこの考え方は、消費者は感情的な訴えよりも合理的な主張の方により強く影響されるという想定に基づいている。だが現代のビジネス界では優位性があっという間に模倣され機能しなくなるため、ベネフィtとの主張は今日ではあまり意味を持たなくなってきてしまっている。
上記を受けて、消費者の頭よりも心に訴えるイメージ作りに取り組む企業が増えている。企業は人類学者や心理学者のアドバイスを仰ぎ、人々の感情により深く作用するメッセージを開発しようと努力している。

5. 感想・まとめ
#9では目標と目的(Goals and Objectives)、成長戦略(Growth Strategies)、保証(Guarantees)、イメージと感情のマーケティング(Image and Emotional Marketing)についてまとめました。
どれも納得のいく内容だった印象ですが、目標と目的に関しての記述が興味深く感じました。目的はだいたい把握していたのですが、目標という言葉を定義しているケースを見ることはあまりなかったので面白い内容でした。また、成長戦略に関してはアンゾフの成長マトリクスと同義であると思われました。
#10では実戦とコントロール以後を取り扱っていきます。