マーケティングの考え方と実践のトレンド、価値、クチコミ、熱意|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #21

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#20では成功と失敗(Success and Failure)、供給業者(Suppliers)、標的市場(Target Market)、テクノロジー(Technology)、テレマーケティングとコールセンター(Telemarketing and Call Centers)について取り扱いました。
https://lib-arts.hatenablog.com/entry/kotler_marketing20
#21ではマーケティングの考え方と実践のトレンド(Trends in Marketing Thinking and Practice)、価値(Value)、クチコミ(Word of Mouth)、熱意(Zest)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. マーケティングの考え方と実践のトレンド(Trends in Marketing Thinking and Practice)
2. 価値(Value)
3. クチコミ(Word of Mouth)
4. 熱意(Zest)
5. 感想・まとめ

 

1. マーケティングの考え方と実践のトレンド_Trends in Marketing Thinking and Practice(簡単な要約)
現在のマーケティングの主なトレンドには以下のようなものがあると思われる。

・生産-販売型マーケティングから、知覚-反応マーケティング
・顧客獲得志向から顧客維持志向へ
・市場シェアの追求から顧客シェアの追求へ
・マーケターの独白から顧客との対話へ
・マス・マーケティングから個別マーケティング
・資産の所有からブランドの所有へ
・現実の市場におけるオペレーションから、インターネットにおけるオペレーションへ
・単一チャネル・マーケティングからマルチチャネル・マーケティング
・製品中心マーケティングから顧客中心マーケティング

産業によって、また企業によって、こうしたトレンドの影響を受ける度合いや時期は異なると思われるが、企業はこうしたマーケティングのトレンドに照らして、自社がどのような立場を取っていくかを決定しなければならない。


2. 価値_Value(簡単な要約)
マーケティングの役割は、顧客価値を創造し、提供し、理解することである。価値とは品質(quality)、サービス(service)、価格(price)のQSPを標的市場において最適な形に組み合わせたものである。
マイケル・ラニング(Michael Lanning)は、競争で勝利を収めるのは、競合他社よりも優れた価値提案と価値提供システムを構築した企業だと主張する。価値提案は単にある1つの特性に関する企業のポジショニングを示したものではなく、製品が約束する経験の総和であり、さらに、その経験を約束するという誠実さに裏打ちされたものでなくてはならない。賢明な企業は購買価値だけにとどまらず、使用価値をも提供する。
顧客満足のための出費が増えていくことに対しては、付加価値コストと非付加価値コストをはっきりと区別する必要がある。新しいサービスを導入するためのコストに対し、顧客がその分の価値を認めるかというのを検討しなくてはならない。


3. クチコミ_Word of Mouth(簡単な要約)
製品の価値を説得するという点にかけては、いかなる広告もいかなる販売員も、友人や知人、以前の顧客、中立的な専門家にはかなわない。そのため、新製品を投入する企業はなんとかしてクチコミ情報が広がるきっかけを作ろうとする。
マーケターは、広告の内容を信じてもらえること、そしてそれがクチコミで広がることを願いつつ、新製品の広告を製作する。だが、新規顧客を獲得するために、専門家や既存顧客をどのように活用すべきかを理解しているマーケターはほとんどいない。
企業のマーケティング活動は、次第にクチコミを活用するようになってきている。企業は製品を早くから使用している人の中で、意見をはっきり述べ、好奇心旺盛で、しかも広い人脈を持つような人物を見つけようと努力している。
今日では、実際の利用客(評論家でなく)によるニューヨークのレストラン評をまとめたザガットや、インターネット上で誰もが製品の評価を書き込めるイーピニオン(epinion)のような「噂(バズ)の集大成」的な媒体が増えている。やがて消費者は、誰の意見が信用でき、誰の意見が信用できないかを見極められるようになり、もはや広告には頼らなくなるだろうと思われる。


4. 熱意_Zest(簡単な要約)
熱意にかけるマーケターは効果的とは言えない。例えばサウスウエスト航空の元CEOのハーブ・ケレハーは自分の航空会社で働くことを徹底的に楽しんでいた。また自分と同じように、顧客を幸福にすることに喜びを感じられる人材のみを採用していた。
マーケターとして採用するのは、人生に熱中できる人間に限るべきで、そうでない者は経理に回すべきである。


5. 感想・まとめ
#21ではマーケティングの考え方と実践のトレンド(Trends in Marketing Thinking and Practice)、価値(Value)、クチコミ(Word of Mouth)、熱意(Zest)について取り扱いました。興味深かったのはトレンドの変化と価値に関してです。特に価値に関して購買価値だけでなく使用価値に注目することの重要さについて強調されていたのが印象深かったです。
#21をもって本全体の80のコンセプトを取り扱えたので、読解メモはここまでとします。