機会、組織、アウトソーシング、業績評価|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #15

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#14では市場(Markets)、媒体(Media)、ミッション(Mission)、新製品開発(New Product Development)について取り扱いました。

#15では機会(Opportunity)、組織(Organization)、アウトソーシング(Outsourcing)、業績評価(Performance Measurement)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. 機会(Opportunity)
2. 組織(Organization)
3. アウトソーシング(Outsourcing)
4. 業績評価(Performance Measurement)
5. 感想・まとめ

 

1. 機会_Opportunity(簡単な要約)
世界は機会に満ちあふれており、大きな機会もあれば小さな機会もある。まずは問題を見つけることが肝心で、人々は様々な不満を訴えており、こうした問題がきっかけとなってなんらかの解決策がひらめくこともあり得る。問題というものは全て、巧みに姿を変えた機会であると考えることができる。問題以外にもトレンドも機会として捉えることができる。
機会について語るだけで終わってはならず、成功は準備と機会が遭遇したところに生まれるものである。競合他社よりも著しく安い価格設定で、なおかつ利益をあげられれば、今日における最大の機会を捉えたことになる。これこそウォルマートサウスウエスト航空、イケア、ダラー・ゼネラルの成功の秘密である。彼らは競合他社よりも著しく安い価格設定ができるよう、それぞれの産業を再定義した。これによって、低所得世帯が増加の一途をたどる中、ロイヤルティの高い顧客を多数獲得した。
いまこの瞬間はあらゆる瞬間と同じく、どう対処すべきかさえわかっていれば、またとない機会なのである(Ralph Waldo Emerson)。


2. 組織_Organization(簡単な要約)
本社スタッフの役割は、現場の人間が最大限能力を発揮できるように支援することである。「事業部長は、各事業部の予算を使って、本社スタッフのサービスに対する支払いを行っている。彼らが、サポート・スタッフに対する支払いが多すぎると考えるとしたら、やることは1つ。(本社スタッフの)仕事を減らすだけだ」とモンサント・ケミカルの元社長のロバート・ポッターは述べている。
企業組織は垂直に構成されているが、プロセスは水平に進行する。この不一致こそ、リエンジニアリングが、組織横断型チームに主要プロセスを管理させることで解消させようとしたものである。複数事業部制をとっている企業は製品志向に傾きがちで、業界思考や顧客志向はどちらかと言えば弱い。だが、複数の事業部の製品が同一の業界や顧客を対象としている可能性があるので注意する必要がある。
販売部門だけで会社が成り立っているわけではないが、会社全体が販売部門的になることが望ましい。また同様に、全ての社員がマーケティングマネージャーというわけではないが、全員がマーケティングマネジメントという業務に携わるべきである。


3. アウトソーシング_Outsourcing(簡単な要約)
1つの企業が真に秀でることのできる領域はわずかしかない。それ以外の領域に関しては、自分たちよりも優れた能力を発揮する人たちに委託すべきである。初期のアウトソーシングは、オフィスの清掃や美化などの企業の非中核的業務に限られていたが、現在では他社の方がより効果的、効率的に実施できる業務は全てアウトソースすべきと言われている。これにはマーケティング業務も含まれる。
企業はマーケティング活動のうち、どれを自社に残し、どれをアウトソースするかを把握する必要がある。このうち最も多いのが、広告サービスやマーケティング・リサーチのアウトソーシングである。最近ではダイレクトメール・サービスや、テレマーケティングを外部に委託するところも出てきた。
ただし、アウトソーシングが行き過ぎてしまう場合も考えられる。優れた企業というのは、複数のコア・コンピテンシーを独特な形で絡み合わせて他社には模倣できない強みを形成している。こうした企業が優れた企業であれるのは、容易に他社が真似できない相互に関連し合ったコンピテンシーや能力を自社の手元に留めているからである。


4. 業績評価_Performance Measurement(簡単な要約)
マーケターは目標設定や業績評価にあたって、伝統的に売上、市場、シェア、粗利益に注目してきた。だが、市場シェアの伸びは望ましいものとはいえ、詳細な検討を加える必要がある。
目標を設定し業績を評価するには、従来の指標に加え様々な評価基準を設定する必要がある。下記に目標達成度と業績の評価基準についてまとめる。

・平均顧客数に対する新規顧客数の割合
・平均顧客数に対する離反顧客数の割合
・平均顧客数に対する再獲得顧客の割合
・満足度調査での回答の割合(5段階評価など)
・再購入したいと回答する顧客の割合
・自社のことを他の人に推薦したいと答える顧客の割合
・当該カテゴリーにおいて、自社製品を最も好むと答える顧客の割合
・自社の意図したポジショニングや差別化要因を正しく認識している顧客の割合
・自社製品の品質が主要競合他社の製品品質に比べて、どの程度と知覚されているか(平均値)
・自社サービスの品質が主要競合他社のサービス品質に比べてどの程度と知覚されているか(平均値)

企業は達成目標ごとに、それぞれ適切なインセンティブを用意する必要がある。短期的な利益には貢献するが、長期的には顧客喪失につながってしまうようなインセンティブは絶対に用いるべきではない。インセンティブ・システムは十分に監視し、乱用を阻止する必要がある。


5. 感想・まとめ
#15では機会(Opportunity)、組織(Organization)、アウトソーシング(Outsourcing)、業績評価(Performance Measurement)について取り扱いました。機会の分析というのはなかなか難しい反面重要で、SWOT分析の機会(Opportunity)ではなく脅威(Threat)に目がいきがちなので常にチャンスを見抜く姿勢が重要だと思われます。また、アウトソーシングの所の複数のコアコンピテンシーの組み合わせのところについては「ポーターの競争戦略」の「適合性」だと捉えておくのが良さそうです。「適合性」により競争優位を構築するところは自社に残し、主要でないところをアウトソースしていく形が良さそうです。また、インセンティブの設定として先を見据えたインセンティブ・システムが必要で乱用を阻止する必要があるというのは非常に参考になりました。
#16ではポジショニング以降について取り扱います。