成功と失敗、供給業者、標的市場、テクノロジー、テレマーケティングとコールセンター|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #20

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#19では販売(Selling)、サービス(Service)、スポンサーシップ(Sponsorship)、戦略(Strategy)について取り扱いました。
https://lib-arts.hatenablog.com/entry/kotler_marketing19
#20では成功と失敗(Success and Failure)、供給業者(Suppliers)、標的市場(Target Market)、テクノロジー(Technology)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. 成功と失敗(Success and Failure)
2. 供給業者(Suppliers)
3. 標的市場(Target Market)
4. テクノロジー(Technology)
5. テレマーケティングとコールセンター(Telemarketing and Call Centers)
6. 感想・まとめ

 

1. 成功と失敗_Success and Failure(簡単な要約)
成功と失敗に関して様々な著名人の言葉を下記にまとめる。

・成功に関して最もつらいことは成功し続けなければならないということだ(アービングバーリン; Irving Berlin)
・ビジネスにおける唯一最大の問題は、過去に成功を収めたビジネスモデルをいつまでも続けることである(ルー・プラット; Lew Platt)
・失敗とは、前よりも賢い方法で再挑戦するための機会にすぎない(ヘンリー・フォード; Henry Ford)
・実生活を送る上で最も有益なことは、若い時期に少々失敗を経験しておくことである(トーマス・ハクスリー; Thomas Huxley)

上記のように成功と失敗に関しては様々な論述がある。


2. 供給業者_Suppliers(簡単な要約)
マーケターは流通業者やディーラーだけでなく、供給業者にも関心を寄せるべきである。その三つの理由を以下にまとめる。

1) 自社の購買部門が質の高い仕入れを行なっているかどうかを確認し、標的顧客に約束通りの品質を提供するため。
2) 信頼の置けない供給業者は製造の遅れの原因となることがあり、その結果、顧客への納期も守れないケースも出てくるため。
3) 優れた供給業者は、製品供給という枠を超えて、付加価値的なアイデアを提供してくれるため。

購買部門の担当者には、最適な供給業者を選ぶ義務がある。とはいえ、彼らの評価が調達コストをいかに削減したかという基準でなされているのもまた事実であり、注意が必要である。追い詰められた業者が他のメーカーと取引を始めれば、仕入れが不足したり、自社の革新的な技術が他社に知られたりといった事態になることもありうる。
今日では多くの業者が、供給業者の数を減らす方向で動いており、これは優れた供給業者1社と取引した方が、並の供給業者3社と取引する方がましだという発想である。
また、自社が供給する立場であれば、厳しい要求を突きつけてくる顧客に感謝すべきである。手強い顧客の要求水準を満たすことができれば、さほど厳しいことを言ってこない顧客はわけなく満足させることができる。


3. 標的市場_Target Market(簡単な要約)
企業がマス市場を相手にする時代は終わろうとしている。というのもマスマーケティングを実施するには平均的な顧客像を描かなければならないが、この平均というのが曲者で、例えば片足を熱湯、片足を氷水に入れている人は平均すれば快適ということになってしまう。
いかなる企業であろうとも、市場で最高の位置を占めることは可能である。市場を選ぶにあたっては、金のない人間に売るより金のある人間に売る方が簡単であり、バイヤーではなくユーザーに売る方が望ましい。

4. テクノロジー_Technology(簡単な要約)
新たに誕生したテクノロジーは、いずれも「創造的破壊」の原動力となる。企業に引導を渡すのは、現在の競合他社よりもむしろ新たなテクノロジーであることが多い。馬車メーカーは自分たちよりも優れた馬車メーカーに敗れたのではなく、自動車に敗れたのである。
このように新たなテクノロジーは、社会的関係やライフスタイルにも変化をもたらす。また、新たなテクノロジーを導入することで、そのコストをはるかに上回る生産性向上を望める場合もある。
一方で、旧態依然の組織に新しいテクノロジーを導入するのは避けるべきで、そのようなことをすれば前より金のかかる旧態依然とした組織になってしまう。


5. テレマーケティングとコールセンター_Telemarketing and Call Centers(簡単な要約)
顧客の意見や話を聞くために電話を活用するという仕組みは、運用さえ間違えなければ企業の大きな資産となり売る。一人一人の顧客について理解が深まるだけではなく、会話を通じて良いサービスを受けられたという印象を顧客に与えることができるからである。テレマーケターは電話をうまく活用することで、顧客から新しいアイデアを得たり、市場調査のためのアンケートを実施したりすることができる。
企業は先を争うように電話サービスを自動化し、オペレーターとのやり取りを排除する方向で動いてきた。このことにより、電子音声による自動化や電話が繋がらないなどの事象が生じてしまうようになった。だが、本来は電話の処理スピード以上と同様に顧客満足度も重視しなくてはならない。
これからの照れマーケティングは、企業側が一方的にセールストークを仕掛けるやり方から、顧客との対話を重視するやり方へと方向転換しなくてはならない。つまり単なる勧誘電話を関係構築のための電話へ、あるいは見込み客のことを何も知らずにかける電話を的を絞った意味のあるオファーへと変える必要があるということである。


6. 感想・まとめ
#20では成功と失敗(Success and Failure)、供給業者(Suppliers)、標的市場(Target Market)、テクノロジー(Technology)、テレマーケティングとコールセンター(Telemarketing and Call Centers)について取り扱いました。今回は目立って印象深いものはありませんでしたが、どれも考え方として広く参考にできればと思いました。
#21ではマーケティングの考え方と実践のトレンド以降についてまとめていきます。