Dynamic Headの論文の内容について |物体検出(Object Detection)の研究トレンドを俯瞰する #6

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#1〜#5にかけてR-CNN、Faster R-CNN、FPN、RetinaNet、Cascade R-CNNなどについて取り扱いました。

#6ではDynamic Head[2021]の論文について取り扱います。

[2106.08322] Dynamic Head: Unifying Object Detection Heads with Attentions

以下目次になります。
1. 論文の概要の把握(Abstract、Introductionの確認)
1-1 Abstractの確認
1-2 Introductionの確認(Section1)
2. 論文の重要なポイントの抜粋
2-1 Related Work(Section2)
2-2 Our Approach(Section3)
2-3 Experiment(Section4)
3. まとめ


1. 論文の概要の把握(Abstract、Introductionの確認)
1-1 Abstractの確認
1-1節ではAbstractの内容を簡単に確認します。

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上記の要旨をまとめると以下になります。

・これまでの物体検出(Object Detection)の研究は様々な手法が開発され、パフォーマンスの向上が試みられてきたが、統合的な見方(unified view)の確立までには至らなかった。
・Dynamic headの論文ではAttentionの考え方に基づいてhead(backbone処理後のfeature mapを元にタスクを解く処理を行う部分)の統合的なフレームワークを示した。
・scale-awareness、spatial-awareness、task-awarenessに基づく複数のself-attentionのメカニズムを組み合わせることで、計算コストにオーバーヘッドを生じさせずにheadの表現力を著しく向上させた。
・記載の設定に基づいてCOCOベンチマークに置いてSotAを実現した。
・作成したcodeが公開された。

Abstractの大まかな要旨を確認できたので1-1節はここまでとします。

 

1-2 Introductionの確認(Section1)
1-2節ではIntroductionの内容を確認します。重要だと思われるパラグラフを抜粋し、確認を行います。

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第一パラグラフでは、物体検出(Object Detection)タスクの概要や主要研究の紹介が行われています。参照論文の11がFast R-CNN、23がFaster R-CNNであることは抑えておくと良いと思います。また、最後の文で「object detection headのパフォーマンスの向上をどのように行うかが重要な課題とされてきた」と言及されており、この論文の問題提起が行われています。

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第二パラグラフでは、object detection headの開発にあたっての三つのカテゴリについて記載されており、scale-aware、spatial-aware、task-awareについて紹介されています。詳しくは2-2節で後述しますが、scale-awareはSSDなどで用いられるような異なるサイズのFeature mapの取り扱いについて、spatial-awareは画像上の位置配置について、task-awareはbounding boxやcorner pointsなどのタスクごとの取り扱いについてそれぞれ考えるとされています。

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第三パラグラフでは、この論文で紹介するdynamic headではscale-awareness、spatial-awareness、task-awarenessを同時に取り扱うことについて言及されています。それぞれをbackboneネットワークの出力(VGGNetやResNetを用いて作成したFeature mapと同義)をlevel(scale-awareness)、space(spatial-awareness)、channel(task-awareness)の三つの次元を持った3次元テンソルで表すとされています。また、これら三つのawarenessを同時にself-attentionを用いて取り扱うと計算コストがかかるため望ましくないと記載があり、第四パラグラフではその解決にあたってそれぞれを分けて取り扱うことについて言及されています。

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第五パラグラフでは行われた実験におけるパフォーマンスに関して記載されています。


2. 論文の重要なポイントの抜粋
2節ではSection2以降の論文の重要なポイントを抜粋して確認します。


2-1 Related Work(Section2)
Section2のRelated Workでは、Scale-awareness、Spatial-awareness、Task-awarenessに関する関連研究についてそれぞれまとめられています。関連研究なので、簡単に流しつつ確認を行います。

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(中略)
Scale-awarenessの関連研究でFeature Pyramid Networkが紹介されているので、同様のイメージで考えておくと良いと思います。

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(中略)
Spatial-awarenessでは、13がResNet、14がAlexNetの論文のため、基本的なCNNのように空間的な処理を取り扱うと把握しておけば良さそうです。

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(中略)
Task-awarenessでは、two-stageとone-stageのトピックなどが紹介されています。23がFaster R-CNN、22がYOLO(You only look once)をそれぞれ参照しています。


2-2 Our Approach(Section3)
Section3のOur ApproachではDynamic Headの研究の仕組みなどについてまとめられています。

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上記はSection3-1の記載ですが、Feature mapを元にDynamic Headで用いる特徴量について、数式を用いた記載が行われています。

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数式を図にするとFigure.1の左上の上図のようになります。ここで注意が必要なのが、Feature Pyramidでは各Feature mapのサイズが異なるので、それぞれに関してリサイズを行う必要があるということです。また、L \times H \times W \times Cの4次元テンソルでは直感的に理解するのが難しいことから、S = H \times Wを導入し、L \times S \times Cの3次元テンソルに変形を行うことについても把握しておく必要があります。

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続くSection3-2では、self-attentionの一般的な数式定義について取り扱われています。ここで\pi(F)がattention関数を表すとされており、全結合層(fully connected layer)がattentionに基づくシンプルな手法であると記載されています。一方で単に全結合層(fully connected layer)を用いるだけでは多次元テンソルの処理は計算負荷が大きく、実用的ではないとも記載がなされています。

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計算コストの問題の解決にあたって、attentionを三つの連続したattentionの\pi_L\pi_S\pi_Cにわけることについて試みたとされています。これを受けてそれぞれの処理が記載されます。

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まず\pi_Lですが、上記のようにattentionが表されています。先にSとCに関しては和を計算し、それぞれの長さで割ることで平均を計算し、Lに関するattentionを行うと理解すれば良いと思います。

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次に\pi_Sですが、上記のように表現されています。数式定義が唐突にも見えますが、Deformable Convolutional Networksの記法にある程度基づいているのでこちらも合わせて参照すると良いです。

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(Deformable Convolutional Networks論文より)

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\pi_Cについては上記のように記載されています。


2-3 Experiment(Section4)
当記事では省略します。


3. まとめ
#6ではDynamic Head[2021]について取り扱いました。Transformerのようにself-attentionに基づく手法は今後も色々と出てくると思われるので、抑えておくと良さそうでした。

定積分の概要の確認|定積分と積分の応用を把握する #1

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上記シリーズで積分の計算について取り扱いましたが、不定積分を中心に積分演算を確認しました。どちらかというと式変形に重きを置きましたが、長さや面積、体積などの計算や、確率分布の正規化など、積分の応用について考えるにあたっては定積分も把握すると良いです。
そこで当シリーズでは、主に定積分を用いた積分の応用について確認を行います。どちらかというと応用例に重きをおいて確認を行えればと思います。
#1では基本事項の確認にあたって、定積分の演算の概要について簡単に確認します。

以下目次になります。
1. 定積分と面積
2. 定積分と符号
3. まとめ


1. 定積分と面積
1節では「定積分と面積」について取り扱います。まず具体的に例を用いて考えるにあたって0x1区間において、f(x)=x^2x軸に囲まれる領域の面積を求めるとします。

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高等学校数学III/積分法 - Wikibooks より)

\displaystyle \int_{0}^{1} x^2 dx

ここで、計算は上記の定積分で表すことができます。これを計算すると下記のようになります。

\displaystyle \int_{0}^{1} x^2 dx = \left[ \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{1}
  \displaystyle = \frac{1}{3}(1^3-0^3)
  \displaystyle = \frac{1}{3}

このように、関数とx軸で囲まれた領域の面積を求めることができます。

以下、下記の定積分について確認を行います。

1) \displaystyle \int_{0}^{1} x dx
2) \displaystyle \int_{0}^{1} x^3 dx
3) \displaystyle \int_{0}^{1} x^5 dx
4) \displaystyle \int_{0}^{1} (2x+1) dx
5) \displaystyle \int_{0}^{1} (-2x+1) dx

計算結果は下記のようになります。

1) \displaystyle \int_{0}^{1} x dx
\displaystyle \int_{0}^{1} x dx = \left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_{0}^{1}
  \displaystyle = \frac{1}{2}(1-0)
  \displaystyle = \frac{1}{2}

2) \displaystyle \int_{0}^{1} x^3 dx
\displaystyle \int_{0}^{1} x^3 dx = \left[ \frac{1}{4}x^4 \right]_{0}^{1}
  \displaystyle = \frac{1}{4}(1^4-0^4)
  \displaystyle = \frac{1}{4}

3) \displaystyle \int_{0}^{1} x^5 dx
\displaystyle \int_{0}^{1} x^5 dx = \left[ \frac{1}{6}x^6 \right]_{0}^{1}
  \displaystyle = \frac{1}{6}(1^6-0^6)
  \displaystyle = \frac{1}{6}

4) \displaystyle \int_{0}^{1} (2x+1) dx
\displaystyle \int_{0}^{1} (2x+1) dx = \left[ x^2+x \right]_{0}^{1}
  \displaystyle = (1^2+1)-(0^2+0)
  \displaystyle = 2

5) \displaystyle \int_{0}^{1} (-2x+1) dx
\displaystyle \int_{0}^{1} (2x-1) dx = \left[ x^2-x \right]_{0}^{1}
  \displaystyle = (1^2-1)-(0^2-0)
  \displaystyle = 0

結果の解釈にあたっては、1)〜3)はx^2と基本的に同様ですが、xの次数が大きい方が0x1区間では面積が小さくなることも同時に抑えておくと良いと思います。また、1)はf(x)=xであり、三角形の面積の公式と対応づけることも可能です。
4)は1)と同様に台形の面積の公式と対応づけることができますが、ここで注意しておくと良いのが5)の結果が0となることです。定積分は基本的に面積と対応しますが、関数の値がx軸よりも下にある場合は符号も考慮しなければならないことは抑えておきましょう。

積分と符号に関しては続く2節で取り扱うので、1節はここまでとします。


2. 定積分と符号

2節では1節の計算例の5)で出てきたようなケースを題材に定積分と符号について確認します。定積分は関数とx軸で囲まれている部分の面積を表しますが、関数の符号には注意が必要です。具体的には関数が負の値を取る区間積分は絶対値が面積と一致する負の値となります。

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積分法 - Wikipedia より)

上記はWikipediaの図ですが、こちらのイメージで掴むとわかりやすいです。


3. まとめ
#1では定積分と面積について取り扱いました。
#2では定積分と曲線の長さについて取り扱います。

基本関数の積分④(置換積分法①)|様々な積分の計算方法をマスターする #4

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当シリーズでは主に数Ⅲ〜大学教養レベルにかけての積分の中から基本トピックではある一方で比較的複雑な積分を取り扱うこととします。具体的には下記などがスムーズに解けるというのを目安に進めます。

高等学校数学III 積分法/演習問題 - Wikibooks

#1では基本的な三角関数積分について、#2では指数関数・対数関数の積分について、#3では部分積分法について取り扱いました。

#4では基本的な置換積分法について取り扱います。下記を参考に進めます。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

以下目次になります。
1. 置換積分法の概要
2. 置換積分法の利用例
3. まとめ


1. 置換積分法の概要
1節では置換積分法の概要について確認します。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

上記を主に参考にします。

まず置換積分法を表す一般的な数式から確認します。

\displaystyle \int f(g(x))g'(x) dx = \int f(g(x)) dg(x)

置換積分 - Wikipedia

導出にあたっては大体がわかれば十分ということで、上記を参考にラフな議論からの導出を行います。(答案などでは書かない方が良い導出なので、なんとなくわかれば十分と割り切ってご確認ください)

\displaystyle u = g(x)とし、両辺をx微分すると下記のようになります。
\displaystyle \frac{du}{dx} = g'(x)
この両辺にdxをかけると下記になります。
\displaystyle du = g'(x)dx
ここで\displaystyle \int f(u) du\displaystyle du = g'(x)dxを代入することで、下記を得ることができます。
\displaystyle \int f(u) du = \int f(u)g'(x) dx
\displaystyle \int f(g(x)) dg(x) = \int f(g(x))g'(x) dx
\displaystyle \int f(g(x))g'(x) dx = \int f(g(x)) dg(x)

これにより置換積分法の式を導出することができました。

置換積分法の概要についてつかめたので1節はここまでとします。


2. 置換積分法の利用例
2節では部分積分法の利用例について確認します。具体的には下記の例題を解くことで部分積分法を確認します。

1) \displaystyle \int (x+1)^2 dx
2) \displaystyle \int (2x+1)^3 dx

それぞれの部分積分法を用いた計算結果は下記のようになります。

1) \displaystyle \int (x+1)^2 dx
t=x+1とおくと\displaystyle \frac{dx}{dt} = 1となる。よって、下記のように計算できる。
\displaystyle \int (x+1)^2 dx = \int t^2 \frac{dx}{dt} dt
\displaystyle = \int t^2 dt
\displaystyle = \frac{1}{3}t^3 + C
\displaystyle = \frac{1}{3}(x+1)^3 + C


2) \displaystyle \int (2x+1)^3 dx
t=2x+1とおくと\displaystyle \frac{dx}{dt} = \frac{1}{2}となる。よって、下記のように計算できる。
\displaystyle \int (2x+1)^3 dx = \int t^3 \frac{dx}{dt} dt
\displaystyle = \frac{1}{2}\int t^3 dt
\displaystyle = \frac{1}{8}t^4 + C
\displaystyle = \frac{1}{8}(2x+1)^4 + C

上記のようにそれぞれの積分を計算することができます。簡単な活用例について確認できたので2節はここまでとします。 

 

3. まとめ
#4では置換積分法について取り扱いました。
引き続き#5では置換積分法について確認します。

 

基本関数の積分③(部分積分法)|様々な積分の計算方法をマスターする #3

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当シリーズでは主に数Ⅲ〜大学教養レベルにかけての積分の中から基本トピックではある一方で比較的複雑な積分を取り扱うこととします。具体的には下記などがスムーズに解けるというのを目安に進めます。

高等学校数学III 積分法/演習問題 - Wikibooks

#1では基本的な三角関数積分について、#2では指数関数・対数関数の積分について取り扱いました。

#3では#2の対数関数の積分でも出てきた部分積分法について取り扱います。下記を参考に進めます。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

以下目次になります。
1. 部分積分法の概要と導出
2. 部分積分法の利用例
3. まとめ


1. 部分積分法の概要と導出
1節では部分積分法の概要と導出について取り扱います。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

上記を主に参考にします。

まず部分積分法を表す一般的な数式から確認します。

\displaystyle \int f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) - \int f'(x)g(x) dx

上記の数式だと具体的なイメージがわかないと思うので簡単な具体例を確認しますが、f(x)=xg(x)=\sin{x}のように、f(x)微分した際に定数となる場合などに部分積分法が活用できます。f(x)=xg(x)=\sin{x}の場合はf'(x)g(x)=\sin{x}=g(x)となり、#1で取り扱った三角関数積分の考え方を用いて積分を行うことが可能です。

ここまでで部分積分法の概要がつかめたと思いますので、以下部分積分法の導出について取り扱います。部分積分法の導出にあたっては基本的に「積の導関数」の式から導出します。

\displaystyle (f(x)g(x))' = f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
上記の積の導関数の式の両辺を積分します。
\displaystyle \int (f(x)g(x))' dx = \int (f'(x)g(x)+f(x)g'(x)) dx
\displaystyle \int (f(x)g(x))' dx = \int f'(x)g(x) dx + \int f(x)g'(x)) dx
これを変形することで下記の部分積分法の式が導出できます。
\displaystyle \int f(x)g'(x) dx = f(x)g(x) - \int f'(x)g(x) dx

部分積分法の概要と導出について確認できたので1節はここまでとします。


2. 部分積分法の利用例
2節では部分積分法の利用例について確認します。具体的には下記の例題を解くことで部分積分法を確認します。

1) \displaystyle \int x\sin{x} dx
2) \displaystyle \int xe^x dx
3) \displaystyle \int x^2e^x dx

それぞれの部分積分法を用いた計算結果は下記のようになります。

1) \displaystyle \int x\sin{x} dx
\displaystyle \int x\sin{x} dx = \int x(-\cos{x})' dx
  \displaystyle = x(-\cos{x}) - \int x'(-\cos{x}) dx
  \displaystyle = -x\cos{x} + \int \cos{x} dx
  \displaystyle = -x\cos{x} + \sin{x} +C

 

2) \displaystyle \int xe^x dx
\displaystyle \int xe^x dx = \int x(e^x)' dx
  \displaystyle = x(e^x) - \int x'(e^x) dx
  \displaystyle = xe^x + \int e^x dx
  \displaystyle = xe^x + e^x +C

 

3) \displaystyle \int x^2e^x dx
\displaystyle \int x^2e^x dx = \int x^2(e^x)' dx
  \displaystyle = x^2(e^x) - \int (x^2)'(e^x) dx
  \displaystyle = x^2e^x - \int 2xe^x dx
  \displaystyle = x^2e^x - 2\int x(e^x)' dx
  \displaystyle = x^2e^x - 2xe^x + 2\int x'e^x dx
  \displaystyle = x^2e^x - 2xe^x + 2\int e^x dx
  \displaystyle = x^2e^x - 2xe^x + 2e^x + C
  \displaystyle = (x^2-2x+2)e^x + C

 上記のようにそれぞれの積分は計算することができます。部分積分の基本的な活用例について確認できたので2節はここまでとします。


3. まとめ
#3では部分積分法について取り扱いました。
#4では部分積分法と同様に積分にあたって用いられる置換積分法について取り扱います。

基本関数の積分②(指数関数・対数関数の積分)|様々な積分の計算方法をマスターする #2

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当シリーズでは主に数Ⅲ〜大学教養レベルにかけての積分の中から基本トピックではある一方で比較的複雑な積分を取り扱うこととします。具体的には下記などがスムーズに解けるというのを目安に進めます。

高等学校数学III 積分法/演習問題 - Wikibooks

#1では基本的な三角関数積分について取り扱いました。

#2では指数関数・対数関数の積分について取り扱います。

以下目次になります。
1. 指数関数の積分
2. 対数関数の積分
3. まとめ


1. 指数関数の積分
1節では指数関数の積分について取り扱います。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

主に上記を参考にします。
まずはe^x積分から確認します。

\displaystyle \int e^x dx = \int (e^x)' dx
  \displaystyle = e^x+C

e^xは上記のように計算できます。

次にa0であるa^x積分について確認します。a=e^{\log_e{a}}であることを利用します。

\displaystyle \int a^x dx = \int e^{\log_{e}a x} dx
  \displaystyle = \int \left( \frac{1}{\log_e{a}}e^{\log_e{a}x} \right)' dx
  \displaystyle = \frac{1}{\log_e{a}}\int \left( e^{\log_e{a}x} \right)' dx
  \displaystyle = \frac{e^{\log_e{a}x}}{\log_e{a}} + C
  \displaystyle = \frac{a^x}{\log_e{a}} + C

a=e^{\log_e{a}}のような変換は一見難しそうに見えますが、対数関数の定義からそのまま考えただけでそれほど難しくありません(e\log_e{a}乗すればaになるというところから対数\log_e{a}が定義されます)。

指数関数の積分について取り扱えたので1節はここまでとします。


2. 対数関数の積分
2節では対数関数の積分について取り扱います。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

主に上記を参考にします。
以下では\log{|x|}=\log_e{|x|}積分について確認します。(部分積分が出てくるので詳しくは#3の記事で確認します)

\displaystyle \int \log{|x|} dx = \int (x)'\log{|x|} dx
  \displaystyle x\log{|x|} - \int x(\log{|x|})' dx
  \displaystyle x\log{|x|} - \int x\frac{1}{x} dx
  \displaystyle x\log{|x|} - \int 1 dx
  \displaystyle x\log{|x|} - x + C

部分積分が出てきて少々複雑になりますが、対数関数の積分は上記のように計算できます。

対数関数の積分について取り扱えたので2節はここまでとします。


3. まとめ
#2では指数関数・対数関数の積分について取り扱いました。
#3では2節でも出てきた手法である部分積分法について取り扱います。

基本関数の積分①(三角関数の積分)|様々な積分の計算方法をマスターする #1

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数Ⅱ以降、数多くの分野で用いられる積分ですが、計算が複雑になるとなかなか取り扱いが難しいです。特に置換積分のように発見的な解法が用いられることもあり、ある程度把握しておかないととできない積分なども多い印象です。
そこで当シリーズでは主に数Ⅲ〜大学教養レベルにかけての積分の中から基本トピックではある一方で比較的複雑な積分を取り扱うこととします。具体的には下記などがスムーズに解けるというのを目安に進めたいと思います。

高等学校数学III 積分法/演習問題 - Wikibooks

#1では基本的な三角関数積分について取り扱います。

以下目次になります。
1. \sin{x}\cos{x}を用いた関数の積分
2. \tan{x}を用いた関数の積分
3. まとめ


1. \sin{x}\cos{x}を用いた関数の積分
1節では\sin{x}\cos{x}積分について取り扱います。下記を主に参考にします。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

\sin{x}\cos{x}を考えるにあたっては、下記の三角関数に関する微分の逆演算を考えると良いです。

\displaystyle (\sin{x})' = \cos{x}
\displaystyle (\cos{x})' = -\sin{x}
\displaystyle (\tan{x})' = \frac{1}{\cos^2{x}}

上記が成立することを考慮して、下記が導出できます。

\displaystyle \int \cos{x} dx = \sin{x}+C
\displaystyle \int \sin{x} dx = -\cos{x}+C
\displaystyle \int \frac{1}{\cos^2{x}} dx = \tan{x}+C

ここまでで\sin{x}\cos{x}を用いた関数の積分について確認できたので1節はここまでとします。


2. \tan{x}を用いた関数の積分
2節では\tan{x}積分について取り扱います。下記を主に参考にします。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

\tan{x}積分は合成関数の微分の逆演算で求めることができると考えておくと良いです。

\displaystyle \int \tan{x} dx = \int \frac{\sin{x}}{\cos{x}} dx
  \displaystyle = \int \frac{-(\cos{x})'}{\cos{x}} dx
  \displaystyle = -\log{|\cos{x}|}+C

この時\displaystyle \frac{1}{x}積分演算を行う際は-\log{|x|}+Cのように絶対値をつけることに注意しておくと良いです。(詳しく考えると色々な見方があるかと思いますが、当記事では一旦慣例的にこのように用いるとできればと思います)


3. まとめ
#1では基本的な三角関数に関連する積分について取り扱いました。
#2では指数関数・対数関数の積分について取り扱います。

円錐曲線と離心率|式と曲線を把握する #5

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数学Cや基本的な解析学で取り扱われる「式と曲線」を中心に取り扱うシリーズです。
#4では双曲線関数について取り扱いました。

#5では#1〜#3までで取り扱った楕円、放物線、双曲線などを総称した円錐曲線(conic curve)と離心率(eccentricity)について取り扱います。主に下記を参考にします。

円錐曲線 - Wikipedia

以下当記事の目次になります。
1. 円錐曲線について
2. 離心率について
3. まとめ


1. 円錐曲線について
1節では円錐曲線(conic curve)について簡単に確認します。

円錐曲線 - Wikipedia

上記を主に参考にします。円錐曲線は「円錐面を任意の平面で切断したときの断面としてえられる曲線群の総称」とされます。
xy平面上の円錐曲線の数式は下記のようになります。

P(x,y)=c_1x^2+2c_2xy+c_3y^2+2c_4x+2c_5y+c_6=0...①

よって任意の二次式のP(x,y)に関してP(x,y)=0が円錐曲線となり、このことから円錐曲線は二次曲線とも言われます。以下、円錐曲線の定義に基づいて具体的な曲線について確認を行います。

・円
x^2+y^2=r^2
①において、c_1=c_3=1c_2=c_4=c_5=0c_6=-r^2とすることによって導出できる。

・楕円
\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2} = 1
①において、c_1=b^2c_3=a^2c_2=c_4=c_5=0c_6=-a^2b^2とすることによって導出できる。

・放物線
x^2 = 4cyy^2 = 4cx
x^2 = 4cyは①においてc_1=1c_5=-4cc_2=c_3=c_4c_6=0とすることによって導出できる。y^2 = 4cxも同様に考えることで導出できる。

・双曲線
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = \pm 1

①において、c_1=b^2c_3=-a^2c_2=c_4=c_5=0c_6=\pm a^2b^2とすることによって導出できる。

・二直線
\displaystyle ax^2 - by^2 = 0
①において、c_1=ac_3=-bc_2=c_4=c_5=c_6=0とすることによって導出できる。

また、円と二直線に関しては円錐曲線に含まない場合もあることに注意しておくと良いです。(円は円錐曲線に含み、二直線は含まないことが多いようです)

円錐曲線(二次曲線)について簡単に確認できたので1節はここまでとします。

 

2. 離心率について
2節では離心率(eccentricity)について簡単に確認します。

円錐曲線 - Wikipedia

上記を主に参考にします。

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円錐曲線 - Wikipedia より)
上図のように直線(準線)と点(焦点)を定める時に、FM:MM' = e:1 (e0)を考えると、eが離心率を表します。このとき、Mの集合は円錐曲線を描きます。
また、離心率eと描かれる円錐曲線の概形の関係は以下のようになります。

0e1: 楕円
e = 1: 放物線
e1: 双曲線

離心率の概要について確認できたので2節はここまでとします。

 

3. まとめ
#5では円錐曲線と離心率について確認しました。
#6では惑星の運動について取り扱うケプラーの法則について取り扱います。

ケプラーの法則 - Wikipedia