Ch.5 その他上級編②&全体総括|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #15

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連載の経緯については過去記事に書いていますので省略します。詳しくは#1~3あたりをご確認いただけますと嬉しいです。
#14ではCh.5のNo.46のMFTフレームからNo.48のサービス・プロフィット・チェーンを取り扱いました。

 #15ではNo.49のCAGEとラストNo.50のBATNAとZOPAについて取り扱った後に本を通しての振り返りを行いたいと思います。
以下目次になります。

1. 5章まとめ②(その他上級編)
1.1 CAGE(No.49)
1.2 BATNAとZOPA(No.50)
2. まとめ
3. 本を通しての振り返り

 

1. 5章まとめ①(その他上級編)
1.1 CAGE(No.49)
・本の内容の要約
No.49のCAGEは、「パンカジュ・ゲマワット教授が提唱した、グローバル経済において、地域の固有性や他地域との隔たりを理解するためのフレームワークで、文化的(Cultural)、政治的(Administrative)、地理的(Geographical)、経済的(Economical)の頭文字から取っている」とまとめられています。一般的なマクロ環境分析としてはPESTがあるが、現代のような企業がグローバル化し様々な国でオペレーションを展開する中で詳細な分析を行う上ではやや使い勝手が悪いというのが背景として言及されています。そのため、実際にオペレーションを考えるにあたってCAGEが取り上げられています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「一般論としての分析以上に自社の経営環境や経営課題を踏まえた分析が必要なので、業種や商品の特性によって諸々が大きく異なってくること」と、「日本企業にとって今後より精緻なCAGEを行うと良いのが新興国だが、新興国は人口が多い国や国土が広い国も多いので1国として扱うのが難しいことも多いので、アクションを取る上で意味のあるレベルまで掘り下げて分析を行うことが肝要であること」の二つがまとまっていました。

・読んでみての解釈
グローバル化の流れにあたって必要に応じて出てきたフレームワークだと思います。PESTと違う点としてはどこかの国の企業で行うPESTに対し、CAGEは国ごとの差異を比較するためのフレームワークという印象を受けました。


1.2 BATNAとZOPA(No.50)
・本の内容の要約
No.50のBATNAとZOPAは、「交渉の妥結範囲のZOPA(Zone of Possible Agreement)を規定するのがBATNA(Best Alternative to Negotiated Agreement)という関係にある」とまとめられています。交渉は双方のBATNA(交渉相手との交渉以外に存在する最善のオプション)を用いて、ZOPA(交渉妥結範囲)を作っていくということによって進めるとされています。一般的な交渉術としてBATNAをしっかり確保した上で交渉に臨むと強い態度で臨めるとされています。また、一見するとZOPAが存在しないように見えるところでも他の条件をうまくバーターすることでZOPAヲツクリダシ、そこでWin-Winの妥結を行うのが最善の交渉だと言及されています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「実際にはありとあらゆる条件を俎上に載せて『自分にとっては価値がないけど相手にとっては価値があること』を交換していくことで単一の条件だけではZOPAが存在しないようなケースでもZOPAの創出を可能にすることができること」と、「タクティクスとして最初に極端な言い値(最初の提示額をアンカーと言う)を出すこともあるが、下手すると交渉を壊しかねないので相手のBATNAや限界値をしっかり想定しつつ最終的な落とし所をイメージしながら交渉を進めるのが現実的であること」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈
交渉は大小関わらずビジネスシーンのいたるところで発生するので、非常に参考になる内容だと思います。結構この辺が小狡い相手も多いので常にBATNAを用意することは意識する必要があると思います。
個人的にはZOPAを作り出す交渉であれば建設的で良いのですが、アンカーで極端な提示をしてくるケース(ドアインザフェイス)的な交渉は面倒なので取り合わないようにしています。時折この辺の相手の都合を考えない交渉を交渉術だと考えておられる方がいるようなので、その辺は注意が必要です。


2. まとめ
No.50の交渉術が非常に興味深く感じました。建設的に考えるにあたっては、BATNAの確保とZOPAの創出によってWin-Winを作ると言うのが良い交渉なのではないかという印象を受けました。
交渉術については時間がある際にもう少し詳しく抑えるのもありなのではないかと感じました。


3. 本を通しての振り返り
7~8割は知っていた話が多かったですが、改めて意識し直すきっかけになったのと、知らなかった内容も補強できて非常に有意義でした。知っていた話も利用にあたってのコツや留意点の記述が非常に参考になり、抽象的なフレームワークを様々な視点から見る参考にできたなと感じています。
もう少し深掘りしたい点もいくつかあったので、機会があれば追加で何冊か読んでみたいと思います。

 

色々と参考にさせていただいて面白かったので、ご興味持たれた方は購入して読んでみると良いと思います!!