Ch_2 五つの競争要因 ー 利益をめぐる競争_前編|『[エッセンシャル版]マイケル・ポーターの競争戦略』読解メモ #3

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本の選定などの経緯は#1にまとめました。

#1では「はじめに」で記述されていた、本の概要について、#2では第1章の内容として「競争 ー 正しい考え方」についてまとめました。

#3では第2章の内容として「五つの競争要因 ー 利益をめぐる競争」についてまとめます。第2章は少々長いため、#3では前半として「五つの競争要因を評価する」までを取り扱えればと思います。
以下、目次になります。
1. 冒頭部
2. 業界構造:より強力なツール
3. 五つの競争要因を評価する
4. 感想・まとめ

 

1. 冒頭部(簡単な要約)
第2章では第1章で述べられた、『「最高を目指す」ことが勝利の秘訣だ』という競争について最も広く信じられている誤解と同様に大きな誤解を取り上げる。『競争の主眼はライバルを負かすにあたり売上を奪うことではない』ということだ。売り上げを奪うことではなく、利益をどうあげるかが重要である。

・競争の主眼はライブあるを負かすことにあるのではない。肝心なのは利益をあげることだ。
図2-1で挙げられる様な五つの競争要因(ファイブフォース)が業界の構造を決定する。五つの競争要因とは下記である。

・既存の競合企業同士の競争
・買い手(業界にとっての顧客)の交渉力
サプライヤーの交渉力
・代替品の脅威
・新規参入者の脅威

上記の五つの競争要因を分析することで、業界がどの様に「機能」し、どの様にして価値を創造、共有しているかがわかる。これらの五つの要因が業界の収益性を決定する。業界構造と収益性の因果関係に関しては以下を意識しておくと良い。

1) 業界は表面的には異なる様に見えても、一皮むけばどの業界にも同じ力が作用している。
2) 業界の収益性を決定するのはその構造である。
3) 業界構造は驚くほど硬直的である。

 

2. 業界構造:より強力なツール(簡単な要約)
どんな組織においても、戦略を分析し構築するにあたっては、五つの競争要因のフレームワークが出発点となる。五つの競争要因のフレームワークは、企業が直面する競争に焦点をあて、卓越した業績の基準を与えてくれる。自社の業績を理解するには、まず業界の基本的な経済性を抑えておかねばならない。

・五つの競争要因のフレームワークは、企業が直面する競争に焦点をあて、卓越した業績の基準を与えてくれる。
五つの競争要因は、業界で何が起きているのか、特に競争にとって重要なものを教えてくれる。
主観が入りがちなSWOT分析に比べ、業界構造は競争の力学を理解するための極めて協力かつ客観的なツールである。体系的かつ事実と分析に立脚しているため、昔の課題の焼き直しになりにくく新しい発見をもたらすことが多い。競争の経済原理を明らかにすることで、外部の要因がいかにして自社の競争機会を阻み、あるいは生み出すかを浮き彫りにする。

 

3. 五つの競争要因を評価する(簡単な要約)
五つの競争要因のそれぞれが業界の収益性と結びついている。原則として、競争要因の影響が強ければ強いほど、価格やコストに対する圧力が高まり、既存企業にとっての業界の魅力度は薄れる。ちなみに五つの競争要因のフレームワークでは常に業界の既存企業の観点から構造分析を行うため、新規参入者はまず参入障壁を乗り越える必要がある。

 

・強力な買い手は値下げ圧力をかけたり、製品・サービスの向上を求めたりすることで、価値の取り分を増やす。
協力な買い手(業界にとっての顧客)は、影響力を使って値下げ圧力をかけてくる。買い手の力を評価するに当たっては、既存の流通チャネルが、特にチャネルがエンドユーザーの購買意思決定に影響を及ぼす場合にエンドユーザーに劣らず重要な場合がある。
価格感度が高い買い手は交渉力を行使してくる可能性がたか。買い手(法人、個人に関わらず)の価格感度は、業界の製品が次の様な場合に高くなる傾向にある。

・差別化されていない
・買い手の他のコストや予算と比較して、相対的に高価である
・買い手の製品・サービスの質に影響を及ぼさない

 

・強力なサプライヤーは、他社より高い価格を請求したり、有利な条件を要求したりすることで、業界の収益性を引き下げる。
強力なサプライヤーは、交渉力を行使して他社より高い価格を請求したり、有利な条件を要求してくる。サプライヤーの力を分析する際には、製品・サービスに投入するために購入した全てのインプット(投入物)をもれなく検討しなくてはならない。
サプライヤーと買い手の力の評価にあたっては、サプライヤーや買い手の力が大きくなるのはそれぞれ次の様な場合である。(サプライヤーと買い手は対称の関係にあるので、本の中では同時にまとめられています。)

・このサプライヤー/顧客を失えば業界が大きな損失を被る場合
・業界がサプライヤー/買い手を必要とする度合いが必要とされる度合いよりも高い場合
・スイッチングコストがサプライヤー/買い手に有利にはたらく場合
・差別化がサプライヤー/買い手の有利にはたらく場合
・買い手/サプライヤーが製造機能を垂直統合して、業界の製品を内省する可能性が実際にある場合

 

・代替品、つまり業界の製品と同じ基本的ニーズを異なる方法で満たす製品・サービスは、業界の収益性に上限を作る
代替品、つまり業界の製品と同じ基本的ニーズを異なる方法で満たす製品・サービスは業界の収益性に上限を作る。代替品は直接の競合品でないからこそ、予想外の場所から現れ、予測が難しく現れても気づかないことさえある。代替品は少し離れた場所からやってくるとき特に厄介な脅威になる。
代替品の脅威の評価としては、経済性に着目し、特に代替品が業界の製品よりもコストパフォーマンスの高いトレードオフになるかどうかを考える。また、スイッチングコストはだいたいにおいて重要な役割を果たす。代替品が普及するのは買い手が代替品に乗り換えるスイッチングコストが低い時である。


・参入障壁は、新たな生産能力をもたらそうとする新規参入者から、業界を保護する。
参入障壁には、市場に新たな生産能力をもたらしてシェアの獲得を狙う新規参入者から、業界を保護するはたらきがある。新規参入者の脅威は以下の二つの方法で業界の収益性を低下させる。

1) 価格に上限を作ること
2) 顧客をつなぎとめるために既存企業は投資を増やす必要に迫られること

新規参入の脅威については下記の視点を持って評価すると良い。

・生産量が増えると、単位あたりのコストが下がるか、規模の経済性がどの様な面ではたらくのか
・顧客がサプライヤーを変更すると、スイッチングコストが生じるか
・ある企業の製品の利用者が増えるにつれて、利用者にとっての製品の価値は高まるか(ネットワーク効果
・事業に新規参入するための初期投資はいくらか
・業界の既存企業には、規模とは別に、新規参入者に持ち得ない強みがあるか
・政府の政策は、新規参入を制限または阻止しているか
・新規参入を計画している企業は、既存企業からの反撃をどの様に予想しているか

 

・既存企業同士の競争が激しいと、値下げ競争によって業界の生み出した価値が顧客に流れたり、競争にまつわるコストがかさんで価値が散逸する。
既存企業同士の競争が激しいほど、業界の収益性は低下する。値下げ競争によって業界の生み出した価値が買い手に流れたり、競争に関するコストがかさんで価値が散逸することがある。
ポーターは競争が最も激しくなるのは次の場合だという。

・競合企業が乱立している中、規模と影響力においてほぼ互角である場合
・業界の成長が鈍い場合
・撤退障壁が高い場合
・競合企業が事業に対して道理に合わない執着を持っている場合

またポーターは、価格競争があらゆる競争形態の中で最もダメージが大きいと警告する。競争が価格に向かえば向かうほど、業界は最高を目指す競争にとらわれる。これが起きるのは次の様な場合である。

・製品・サービスの見分けがほとんどつかず、買い手のスイッチングコストが低いとき
・固定費が高く、限界費用が低いとき
・生産能力の大幅な拡充が必要になったとき
・製品が陳腐化しやすいとき


4. 感想・まとめ
第2章の前半は五つの競争要因という考え方を導入し、五つの競争要因についてそれぞれ説明を行なっています。
競争について色々とイメージがついて非常に興味深い内容でした。特に参考になったのが代替品の分析にあたって、コストパフォーマンスの高いトレードオフになるかとスイッチングコストがどうかという分析方法についてと、既存企業の競争において価格競争が競争にあたって最もダメージが大きいということです。
これらは意識から抜けがちですが、しっかりと考慮していく必要がありそうです。
#3では第2章の前半についてまとめたので、続く#4では第2章の後半についてまとめていきます。