基本関数の積分④(置換積分法①)|様々な積分の計算方法をマスターする #4

f:id:lib-arts:20210618183529p:plain

当シリーズでは主に数Ⅲ〜大学教養レベルにかけての積分の中から基本トピックではある一方で比較的複雑な積分を取り扱うこととします。具体的には下記などがスムーズに解けるというのを目安に進めます。

高等学校数学III 積分法/演習問題 - Wikibooks

#1では基本的な三角関数積分について、#2では指数関数・対数関数の積分について、#3では部分積分法について取り扱いました。

#4では基本的な置換積分法について取り扱います。下記を参考に進めます。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

以下目次になります。
1. 置換積分法の概要
2. 置換積分法の利用例
3. まとめ


1. 置換積分法の概要
1節では置換積分法の概要について確認します。

高等学校数学III/積分法 - Wikibooks

上記を主に参考にします。

まず置換積分法を表す一般的な数式から確認します。

\displaystyle \int f(g(x))g'(x) dx = \int f(g(x)) dg(x)

置換積分 - Wikipedia

導出にあたっては大体がわかれば十分ということで、上記を参考にラフな議論からの導出を行います。(答案などでは書かない方が良い導出なので、なんとなくわかれば十分と割り切ってご確認ください)

\displaystyle u = g(x)とし、両辺をx微分すると下記のようになります。
\displaystyle \frac{du}{dx} = g'(x)
この両辺にdxをかけると下記になります。
\displaystyle du = g'(x)dx
ここで\displaystyle \int f(u) du\displaystyle du = g'(x)dxを代入することで、下記を得ることができます。
\displaystyle \int f(u) du = \int f(u)g'(x) dx
\displaystyle \int f(g(x)) dg(x) = \int f(g(x))g'(x) dx
\displaystyle \int f(g(x))g'(x) dx = \int f(g(x)) dg(x)

これにより置換積分法の式を導出することができました。

置換積分法の概要についてつかめたので1節はここまでとします。


2. 置換積分法の利用例
2節では部分積分法の利用例について確認します。具体的には下記の例題を解くことで部分積分法を確認します。

1) \displaystyle \int (x+1)^2 dx
2) \displaystyle \int (2x+1)^3 dx

それぞれの部分積分法を用いた計算結果は下記のようになります。

1) \displaystyle \int (x+1)^2 dx
t=x+1とおくと\displaystyle \frac{dx}{dt} = 1となる。よって、下記のように計算できる。
\displaystyle \int (x+1)^2 dx = \int t^2 \frac{dx}{dt} dt
\displaystyle = \int t^2 dt
\displaystyle = \frac{1}{3}t^3 + C
\displaystyle = \frac{1}{3}(x+1)^3 + C


2) \displaystyle \int (2x+1)^3 dx
t=2x+1とおくと\displaystyle \frac{dx}{dt} = \frac{1}{2}となる。よって、下記のように計算できる。
\displaystyle \int (2x+1)^3 dx = \int t^3 \frac{dx}{dt} dt
\displaystyle = \frac{1}{2}\int t^3 dt
\displaystyle = \frac{1}{8}t^4 + C
\displaystyle = \frac{1}{8}(2x+1)^4 + C

上記のようにそれぞれの積分を計算することができます。簡単な活用例について確認できたので2節はここまでとします。 

 

3. まとめ
#4では置換積分法について取り扱いました。
引き続き#5では置換積分法について確認します。