双曲線の方程式と導出|式と曲線を把握する #3

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数学Cなどで取り扱われる「式と曲線」を中心に取り扱うシリーズです。
#1では「楕円」の方程式と導出、#2では「放物線」の方程式と導出について取り扱いました。

#3では「双曲線」の方程式と導出について取り扱います。主に下記を参考に進めます。

高等学校数学C/式と曲線 - Wikibooks

以下当記事の目次になります。
1. 双曲線の方程式とその概要
2. 双曲線の方程式の導出
3. まとめ


1. 双曲線の方程式とその概要
1節では「双曲線」の方程式とその概要に関して確認します。まずは双曲線の方程式について確認します。

\displaystyle \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = 1
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = -1
abは正の定数)

上記が双曲線の方程式です。概要を掴むにあたって①について考えます。具体的に考える方がわかりやすいので、y=0y=1y=2を考え、これに対応するxの値を計算を行うとします。

y=0のとき
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} = 1
x^2 = a^2
a0よりx = \pm a

y=1のとき
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} - \frac{1}{b^2} = 1
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} = 1+\frac{1}{b^2}
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} = \frac{b^2+1}{b^2}
\displaystyle x^2 = \frac{a^2(b^2+1)}{b^2}
a0よりx = \pm \frac{\sqrt{a^2(b^2+1)}}{b}

y=2のとき
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} - \frac{4}{b^2} = 1
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} = 1+\frac{4}{b^2}
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} = \frac{b^2+4}{b^2}
\displaystyle x^2 = \frac{a^2(b^2+4)}{b^2}
a0よりx = \pm \frac{\sqrt{a^2(b^2+4)}}{b}

yに具体的な数値を入れて確認しましたが、これでもまだ具体的なイメージがつかめないのでa=b=1を代入して値を確認することとします。

y=0のとき
x = \pm 1

y=1のとき
x = \pm \frac{\sqrt{a^2(b^2+1)}}{b}
  = \pm \frac{\sqrt{1^2(1^2+1)}}{1}
  = \pm \sqrt{2}

y=2のとき
x = \pm \frac{\sqrt{a^2(b^2+4)}}{b}
  = \pm \frac{\sqrt{1^2(1^2+4)}}{1}
  = \pm \sqrt{5}

これより、\displaystyle x = \sqrt{y^2+1}のようなイメージを持つと良いと思います。

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双曲線 - Wikipedia より)
大まかな図は上記のようになります。また、双曲線には2つの漸近線が存在し、それぞれbx+ay=0bx-ay=0で表すことができます。

双曲線の数式とその概要について大まかに抑えられたので1節はここまでとします。


2. 双曲線の方程式の導出
2節では双曲線の方程式の導出について確認します。双曲線の定義は、「平面状にある2定点(焦点)からの距離の差が一定になるような点の集合からなる曲線」というものです。以下、2つの焦点を(c,0)(-c,0)、焦点からの距離の差を2aとおき、双曲線の方程式を導出します。

まず、定義より下記が成立します。
\displaystyle |\sqrt{(x-c)^2+y^2}-\sqrt{(x+c)^2+y^2}| = 2a
\displaystyle \sqrt{(x-c)^2+y^2}-\sqrt{(x+c)^2+y^2} = \pm 2a
\displaystyle \sqrt{(x-c)^2+y^2} = \sqrt{(x+c)^2+y^2} \pm 2a
ここで上記の二乗を行います。
\displaystyle (x-c)^2+y^2 = (x+c)^2+y^2 \pm 4a\sqrt{(x+c)^2+y^2} + 4a^2
\displaystyle ((x-c)^2+y^2)-((x+c)^2+y^2+4a^2) = \pm 4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}
\displaystyle -4(a^2+cx) = \pm 4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}
\displaystyle -(a^2+cx) = \pm a\sqrt{(x+c)^2+y^2}
さらに上記の両辺を再度二乗します。
\displaystyle (a^2+cx)^2 = a^2((x+c)^2+y^2)
\displaystyle a^4+2a^2cx+c^2x^2 = a^2(x^2+2cx+c^2+y^2)
\displaystyle a^4+2a^2cx+c^2x^2 = a^2x^2+2a^2cx+a^2c^2+a^2y^2
\displaystyle a^4+c^2x^2 = a^2x^2+a^2c^2+a^2y^2
\displaystyle (c^2-a^2)x^2-a^2y^2 = a^2c^2-a^4
\displaystyle (c^2-a^2)x^2-a^2y^2 = a^2(c^2-a^2)
ここでb^2=c^2-a^2と置き換えます。
\displaystyle b^2x^2-a^2y^2 = a^2b^2
さらにここで両辺をa^2b^2で割ります。
\displaystyle \frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = 1
上記が楕円の方程式に一致します。

ここまでの議論で双曲線の方程式を導出することができました。ここで、b^2=c^2-a^2よりc^2=a^2+b^2なので、焦点は(c,0)=(\sqrt{a^2+b^2},0)(-c,0)=(-\sqrt{a^2+b^2},0)となります。

ここまでで双曲線の方程式が導出できたので2節はここまでとします。


3. まとめ
#3では双曲線の方程式と導出について確認を行いました。
#4では下記を参考に解析学基礎から双曲線関数について取り扱います。

解析学基礎/双曲線関数 - Wikibooks