ド・モアブルの定理の確認|複素数平面を確認する #2

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複素数平面の基本的なトピックについて取り扱うシリーズです。
#1では概要の確認について行いました。

#2では「ド・モアブルの定理」について確認します。主に下記などを参考にします。

高等学校数学III/複素数平面 - Wikibooks

以下が目次となります。
1. 「ド・モアブルの定理」の概要
2. 「ド・モアブルの定理」の導出
3. まとめ


1. 「ド・モアブルの定理」の概要
1節では「ド・モアブルの定理」の概要について取り扱います。

\cos{\theta}+i\sin{\theta} = \cos{n\theta}+i\sin{n\theta}

まず、数式の確認からですが、「ド・モアブルの定理」は上記のように表します。以下、1節では具体的なイメージを掴むためにこの定理の利用例を確認します。

z^n=a

上記においてaが実数の時のzに関してのn次方程式の全ての複素数解を求めることを考えます。ここでz=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})と表せるとすると、「ド・モアブルの定理」より下記が成立します。

z^n=r^n(\cos{\theta}+i\sin{\theta})^n
  =r^n(\cos{n\theta}+i\sin{n\theta})

ここで実数aの絶対値はa偏角0であることを考慮すると、r^n=an\theta = 2k\pi(kは整数)となることがわかります。

\displaystyle r = (a)^{\frac{1}{n}}
\displaystyle \theta = \frac{2k\pi}{n}

よって、上記が成立するので、求める解は整数kを用いて下記のように表すことのできる数となります。

\displaystyle z = (a)^{\frac{1}{n}} \left( \cos{\frac{2k\pi}{n}} + i\sin{\frac{2k\pi}{n}} \right)

ここまでの内容で「ド・モアブルの定理」の数式や利用例に関して確認できたので1節はここまでとします。


2. 「ド・モアブルの定理」の導出
2節では「ド・モアブルの定理」の導出について取り扱います。基本的には加法定理を用いることで導出を行います。

z_1 = \cos{\theta_1}+i\sin{\theta_1}
z_2 = \cos{\theta_2}+i\sin{\theta_2}

上記のようにz_1z_2とおいた際に、z_1z_2の計算を考えます。

z_1z_2 = (\cos{\theta_1}+i\sin{\theta_1})(\cos{\theta_2}+i\sin{\theta_2})
  = \cos{\theta_1}\cos{\theta_2}+i\cos{\theta_1}\sin{\theta_2}+i\sin{\theta_1}\cos{\theta_2}+i^2\sin{\theta_1}\sin{\theta_2}
  = (\cos{\theta_1}\cos{\theta_2}-\sin{\theta_1}\sin{\theta_2})+i(\sin{\theta_1}\cos{\theta_2}+\cos{\theta_1}\sin{\theta_2})
  =\cos{(\theta_1+\theta_2)}+i\sin{(\theta_1+\theta_2)}

上記のように加法定理を考えることによって「ド・モアブルの定理」を導出することができます。途中でi^2=-1を用いたところもポイントです。


3. まとめ
#2では「ド・モアブルの定理」について確認しました。
#3以降でも引き続き複素数平面のトピックについて取り扱います。