楕円の方程式とその導出|式と曲線を把握する #1

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式と曲線の関係については二次関数などの多項式関数や三角関数など様々ですが、数学Cなどで取り扱われる楕円や放物線、双曲線などのテーマは概要を抑えてはいるもののになりがちではないかと思います。ということで、このシリーズでは数学Cなどで取り扱われる「式と曲線」について取り扱っていければと思います。
#1では「式と曲線」の中でも「二次曲線」の具体例で最初に出てくることが多い「楕円」の方程式とその導出について取り扱います。主に下記を参考に進めます。

高等学校数学C/式と曲線 - Wikibooks

以下当記事の目次になります。
1. 楕円の方程式とその概要
2. 楕円の方程式の導出
3. まとめ


1. 楕円の方程式とその概要
1節では「楕円」の方程式とその概要に関して確認します。まずは楕円の方程式について確認します。

\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2} = 1
abは正の定数)

上記が楕円の方程式です。この時y=0を考えると、x^2=a^2より、x = \pm aとなります。このことは方程式①で表される楕円は(-a,0)(a,0)を通ることを意味しています。また、同様にx=0を考えるとy^2=b^2より、y = \pm bとなり、方程式①の楕円は(0,-b)(0,b)を通ることを意味します。

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ここまでの話を元に楕円の図を描くと上記のようになるとすることができます。

楕円の方程式と大まかな概要についてつかめたので1節はここまでとします。


2. 楕円の方程式の導出

2節では楕円の方程式の導出について確認します。方程式の導出の前に楕円の定義から確認します。楕円の定義は、「平面状にある2定点(焦点とする)の距離の和が一定になるような点の集合からなる曲線」というものです。以下、2つの焦点を(c,0)(-c,0)、焦点からの距離の和を2aとおき、楕円の方程式を導出します。

まず、定義より下記が成立します。
\displaystyle \sqrt{(x-c)^2+y^2}+\sqrt{(x+c)^2+y^2}=2a
\displaystyle \sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a-\sqrt{(x+c)^2+y^2}
次に両辺を二乗し、整理を行います。
\displaystyle (x-c)^2+y^2=4a^2-4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}+(x+c)^2+y^2
\displaystyle (x-c)^2=4a^2-4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}+(x+c)^2
\displaystyle 4a\sqrt{(x+c)^2+y^2}=4a^2+4cx
\displaystyle a\sqrt{(x+c)^2+y^2}=a^2+cx
さらに上記の両辺を再度二乗します。
\displaystyle a^2((x+c)^2+y^2)=(a^2+cx)^2
\displaystyle a^2(x^2+2cx+c^2+y^2)=(a^4+2a^2cx+c^2x^2)
\displaystyle a^2(x^2+c^2+y^2)=(a^4+c^2x^2)
\displaystyle (a^2-c^2)x^2+a^2y^2=a^2(a^2-c^2)
ここでb^2=a^2-c^2と置き換えます。
\displaystyle b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2
さらにここで両辺をa^2b^2で割ります。
\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2} = 1
上記が楕円の方程式に一致します。

ここまでの話で楕円の方程式を導出することができました。また、b^2=a^2-c^2a0b0より、abを導出することもできます。
さらにここで(c,0)=(\sqrt{a^2-b^2},0)(-c,0)=(-\sqrt{a^2-b^2},0)は楕円の焦点を表すことも抑えておくと良いと思います。

ここまでで楕円の方程式が導出できたので2節はここまでとします。


3. まとめ
#1では楕円の方程式とその導出について確認を行いました。
#2では放物線について取り扱います。