Ch.2 戦略・マーケティング①|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #3

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ビジネスを客観的な視点で見る際に基礎的なビジネスフレームワークの知識を持っていると非常に役に立つので、このシリーズを通してビジネスフレームワークの基本についてお伝えしていければと思います。課題本としてはグロービスMBAキーワードの基本フレームワーク50を用いていきます。

本のまとめにあたってはビジネス系のフレームワークは抽象的に書かれることが多くてしっくりこない点もあるので、「本の内容の要約」と「読んでみての解釈」を分けて記述していければと思います。解釈においてはこれまで関わってきた仕事を元にした経験則に加えてデータサイエンス的な知見も交えながら記載していければと思います。

#1、#2では1章でまとめられているクリティカル・シンキングについてまとめました。

 #3ではCh.2の戦略・マーケティングのうち、No.8のPEST分析からNo.11の3C分析まで取り扱えればと思います。
以下目次になります。

1. 2章まとめ①(戦略・マーケティング
1.1 PEST分析(No.8)
1.2 5つの力分析(No.9)
1.3 アドバンテージ・マトリクス(No.10)
1.4 3C分析(No.11)
2. まとめ


1. 2章まとめ①(戦略・マーケティング
1.1 PEST分析(No.8)

・本の内容の要約
No.8のPEST分析は、「企業経営の前提となるマクロ環境を分析するフレームワークで、PESTはそれぞれPolitics(政治)、Economiy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字」とまとめられています。マクロ環境の分析なので、現状を知ることに加え3~5年後のある程度先の未来を予測し、そこから逆算的に戦略立案や製品開発に生かすことも重要だとされています。
使用にあたってのコツとしては、「100%正確な予測は難しいので正反対の未来が起こった際にどうするかの思考実験であるシナリオプランニングを行うこともある」や、「PESTの各要素はそれぞれ独立ではなく複雑に絡み合って変化していくことを注意する必要がある」などとされています。

・読んでみての解釈
マクロ経済の予測にあたって日銀関連の資料を元にテキストマイニングを行ったことがありますがなかなか面白かったです。関連研究では株価の予測をしたり、景気を指標化したりなど様々なことがされていました。
最近では日銀の公開のレポートでもデータサイエンス的な手法が使われているなど非常に興味深いです。


1.2 5つの力分析(No.9)

・本の内容の要約
No.9の5つの力分析は、「マイケルポーター教授が提唱した事業の収益性に影響を与える要因を分析し、その業界が収益性をあげやすいかあげにくいかを分析するフレームワーク」とまとめられています。この分析の背景として、「ある企業の収益性を説明する際にいきなりその企業について分析するのではなく、所属している業界とその業界におけるポジショニングの2段階で分析を行うと企業の収益性を説明しやすいと昔から言われてきた」というのも書かれています。
5つの力は具体的には「①業界内の競争、②買い手の交渉力、③売り手の交渉力、④新規参入の脅威、⑤代替品の脅威」の5つとされています。
利用にあたってのコツや留意点としては、「一見同じ業界に見えてもセグメントを細かく分けると競争環境が変わることに注意が必要」ということと、「5つの力分析に表れないプレーヤーにも注意する必要がある」ということの二点挙げられています。

・読んでみての解釈
技術やスキルに自信があると業界を分析しないで自社を考えるケースが多くなりがちなので、注意が必要な気がします。日本の教育は画一的な傾向があるため、様々な視点から物事を見る訓練が足りていない可能性があります。
単純に就職・転職一つ取ってもこの辺怠るとスキルほどの評価がもらえないケースなどもあるため、注意すると良いのかなと思います。
自戒も兼ねてなのですが、業界の分析も行うというのも意識する方が良いと思います。


1.3 アドバンテージ・マトリクス(No.10)

・本の内容の要約
No.10のアドバンテージ・マトリクスは、「BCGが提唱した事業の特性を『競争上の戦略変数の数』と『競争優位性構築の可能性』の2つの評価軸から見極めるフレームワーク」とまとめられています。図表の10-1とそれぞれ4象限の①特化型事業、②規模型事業、③分散型事業、④手詰まり型事業のそれぞれの説明は読んでおくのが良いのではと思います。
利用にあたってのコツや留意点としては、「業界の定義をしっかりすること」と「国が変わると事業特性が変わる場合があること」についてまとめられています。市場や業界のドメインとしては、地域、商品、流通チャネルなどによって決めることができます。

・読んでみての解釈
ビジネス立ち上げの際は『競争上の戦略変数の数』が多い方が良さそうなので、特化型事業が良さそうです。特化型事業の例としては領域ごとに勝ち組が存在する雑誌出版や人材紹介サイトなどが例として挙げられており、そのようなイメージを持っておくのが良さそうです。


1.4 3C分析(No.11)

・本の内容の要約
No.11の3C分析は、「外部環境の市場と競合の分析からKSF(Key Success Factor)に関するヒントを得て、自社の戦略に生かすフレームワクでマーケティング戦略の立案にも有効」とまとめられています。3Cはそれぞれ市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字です。
利用にあたってのコツや留意点は、「最も情報収集が難しいのは競合の分析である」ことと、「自社分析に当たっては特定の製品や事業に対する狭い視野にとどまらず他事業とのシナジーや会社全体の経営資源を意識するべきである」ことについて言及されています。

・読んでみての解釈
この辺の分析はどこまでやるかのバランスが難しく、立ち上げ段階などでは考えすぎないのも一つの手なのではと思います。反面ある程度リソースがある前提だと、多角的な視点でシナジーなどの話を考えるとなかなか楽しいですが、社内調整など必要な際も多いので注意が必要です。


2. まとめ

この辺の事業フレームワークは便利な反面、綿密に用いてしまうと分析過多になりActionが疎かになる場合もあります。自社や事業の事業フェーズに合わせて運用して行くのがよいかと思います。