Ch.1 クリティカル・シンキング(後編)|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #2

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ビジネスを客観的な視点で見る際に基礎的なビジネスフレームワークの知識を持っていると非常に役に立つので、このシリーズを通してビジネスフレームワークの基本についてお伝えしていければと思います。
課題本としてはグロービスMBAキーワードの基本フレームワーク50を用います。ちょっと情報不足感も感じますが外資系のビジネス職の方でMBA持ちの方と話した際もこの本はコンパクトで使いやすいという話になったので、ベースを抑える上では悪くはないチョイスなのではと思います。

本のまとめにあたってはビジネス系のフレームワークは抽象的に書かれることが多くてしっくりこない点もあるので、「本の内容の要約」と「読んでみての解釈」を分けて記述していければと思います。解釈においてはこれまで関わってきた仕事を元にした経験則に加えてデータサイエンス的な知見も交えながら記載していければと思います。

#1では1章のクリティカル・シンキングの前編としてNo.3のマトリクスまでについてまとめました。

#2では1章のNo.4〜No.7までをまとめたいと思います。
以下目次になります。

1. 1章後半まとめ(クリティカル・シンキング
1.1 ピラミッド構造(No.4)
1.2 パレート分析(No.5)
1.3 相関分析(No.6)
1.4 好循環・悪循環(No.7)
2. まとめ


1. 1章後半まとめ(クリティカル・シンキング
1.1 ピラミッド構造(No.4)

・本の内容の要約
No.4では「論理の三角形」を組み立てて構造化する考え方である「ピラミッド構造」についてまとめられています。図表4-1のようにピラミッド構造ではメインメッセージから「Why?(何故?)」を分解していって、分解した後に下から上に「So What?(だから何?)」に答えるという関係で繋がっています。

(根拠A)、(根拠B)、(根拠C)です。だから(主張)が言えます。

主張の論理展開は大体上記で組み立てられています。ピラミッド構造を作るにあたってはまずはイシュー(論点)を明らかにし、結論から根拠を集めるトップダウン方式と観察される事実から結論を導くボトムアップ方式の両方を適宜組み合わせるのが一般的とされています。

また、運用としてのコツとしては、「So What?」の解釈を適切に行うというのと、メタ視点から客観的に結論を導き出していくという二点について言及されています。若干二つの内容は同じことを言っている気がするのでまとめると、イシューやメッセージを作成するにあたって結論ありきで進めずに柔軟な視点で「So What?」を考えて結論を導き出していくように意識するというのが重要だと指摘されているようです。

・読んでみての解釈
ピラミッド構造はあまり用いたことがなかったのですが、「So What?」に着目して運用していくというのが非常に参考になりました。意外と結論ありきで理由をまとめた際に「だから何?」を考えないケースは多いなと思いました。個人的にもこの辺の思考はいい加減にしていたことが多かったという印象なので、今後は気をつけていくようにできればと思います。
この辺の「So What?」は多くのビジネスシーンで見落とされがちな印象なので、会議などでアジェンダ設定や結論を導く際にはピラミッド構造的な理論展開を少し意識して取り組むのが良いのではと思いました。


1.2 パレート分析(No.5)

・本の内容の要約
No.5のパレート分析は「構成要素を大きい順に並べた棒グラフと、それらの累積量を示す折れ線グラフを組み合わせることで、上位の要素が全体にどのくらい貢献しているかを見る分析手法」とされています。これを使うことにより、物事を重要なもの(プライオリティが高いもの)から処理することが可能になります。関連で出てくるのが「20-80」のルールで、「顧客の上位20%で売上高の80%を占めている」というルールになります。20-80はあくまで例として出されているだけなので、ケースによって30-70や10-90になることがあるとされています。

運用にあたってのコツとしては、パレート分析の結果を意思決定にそのまま用いるのを避けることと、売上ではなく利益を元にしたパレート分析は難しいことの二点が挙げられています。近年ではロングテールパレート図の右側に来るような小さな要素)をコスト負担少なくキャッシュ化するビジネスモデルも生まれていると言及されています。

・読んでみての解釈
様々なビジネスにこれまで関わってきましたが、パレート分析は呼ばれ方や詳細の手法は違ってもどの業界でも行われているのではと思います。飲食店や小売ではリピーターをどう獲得するかが話題になるし、BtoB向けのビジネスでは得意客の分析になるしなど売り上げに直結する話だからかどの業界も分析している印象です。なので、こういう概念で整理するというのはベースとして抑えておくと何と無くではなくてロジカルに色々と考えられて良いのではと思います。
また、ロングテール自体は2010年頃からよく聞く話で(それ以前の話はよく知らない)、当時はAmazonなどを例に出されていた気がします。インターネットを用いたビジネスなどは原価がかからないので、その点でロングテール的な考え方が馴染みやすいのではと思います。


1.3 マトリクス(No.6)

・本の内容の要約
データ分析の視点からもよく出てくる相関分析ですが、本では「2次元の図表に2つの軸を取ってデータをプロットし、2つの軸(要素)の関連性を見る分析手法」とされています。
また、運用にあたっての注意すべきとして「相関関係があることと因果関係があることを混同しない」ということと、「外れ値の影響を受けすぎていないかは把握すべき」という二点が言及されています。

・読んでみての解釈
相関関係についてビジネス目線で書かれていてなかなか面白かったです。また、留意点として指摘されている二点は分析的な視点で見る際も重要なので、注意が必要です。
また、相関係数を算出させるにあたり複数の変数を同時に見るために相関係数を行列の形で持ったり、相関行列を作る過程で定義する分散共分散行列に対して分析するというのも関連としては考えられます。また、重回帰分析やロジスティック回帰分析などでモデルを組む際には、説明変数間に相関があると多重共線性が生じて良くないのでこの辺も注意を払う必要があります。
相関関係というのは単純な考え方ではあるのですが、逆にシンプルなものほど使いこなせると強いのでいろんな視点から把握しておくと良いのではと思います。


1.4 好循環・悪循環(No.7)

・本の内容の要約
No.7の好循環・悪循環(強化型フィードバックループ)は、「因果構造が一方向的ではなく、結果が原因、原因が結果に繋がり、拡大もしくは縮小のサイクルを描くこと」と説明されています。また、拡大のサイクルを好循環、縮小のサイクルを悪循環とされており、一旦それらが回り始めると慣性の法則が働き自分勝手に回ってしまうと言及されています。
実際に使用するにあたってのコツや注意点は、「コントロールが及ぶ初期の段階に慎重に目配りをする」というのと、「過去に拘泥せずに未来の高い目標を目指す」というのが挙げられています。そのくらいフィードバックが一度回り始めると良い方にも悪い方にも影響力が大きいということについて言及されています。

・読んでみての解釈
この辺はいつも意識しているなという気がします。フィードバックを効果的に利用する一番の方法は習慣付けであり、実現したいことの全てを逆算し日々の習慣に落とすというのが何かを成功させるコツな気がしています。習慣付けは根付かせるまでは大変ですが、一度根付かせられるとそれを継続することはやったりやらなかったりよりもコストが低いので結果に繋がりやすいです。
次にビジネス文脈だと信用という概念も重要です。小さな成功を積み重ねることで、信用や自信につながっていきます。したがって、目標を立てる際は大きな目標と同時に必ず目先の目標を立てるのが重要です。ここでコツとしては目標として望ましい目標と最低限の目標の二つを立てることです。望ましい目標はポテンシャルの見積もりとして大事なのですが、逆風が吹いた際にも最低限の目標を達成するというのを徹底することで新しいチャンスに巡り会いやすくなります。そのため、最低限の目標というのは必ず意識すると良いと思います。
また、組織マネジメントだと特にこの辺が顕著で一人一人の少しの考え方の違いが結果として大きなものとして返ってきます。そのため、循環を意識して組織マネジメントは行うのが良いのかなと思います。


2. まとめ

どれも大事な概念ですが、結果を出すためにの視点だとNo.7の循環を意識するのが一番重要だと思いました。
うまくいっているものがさらにうまく行くようにチャンスが回ってくるので、小さな結果でも良いので積み重ねて行くというのは非常に大事だと思います。
キャリアチェンジを考えておられる方の話をよく伺うのですが、この辺を意識するのが成功する秘訣なのではないかと思うので、何かを習慣付けるというのも一つの手なのではと思いました。