Ch_2 五つの競争要因 ー 利益をめぐる競争_後編|『[エッセンシャル版]マイケル・ポーターの競争戦略』読解メモ #4

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本の選定などの経緯は#1にまとめました。

#1では「はじめに」で記述されていた、本の概要について、#2では第1章の内容として「競争 ー 正しい考え方」についてまとめました。

#3、#4では第2章の内容として「五つの競争要因 ー 利益をめぐる競争」についてまとめます。第2章は少々長いため、#3では前半として「五つの競争要因を評価する」までを取り扱いました。

#4では「なぜ競争要因は五つだけなのか?」以降を取り扱います。
以下、目次になります。
1. なぜ競争要因は五つだけなのか
2. 戦略への示唆
3. 構造は動態的である
4. 感想・まとめ


1. なぜ競争要因は五つだけなのか
五つの競争要因のフレームワークが全ての業界に当てはまる理由は、あらゆる取引の根本をなす関係を網羅しているからという、単純な理由による。つまり買い手と売り手、売り手とサプライヤー、競合する売り手同士、供給と需要の関係などである。五つの競争要因を全て覚えているかよりも重要なのは、フレームワークの根底をしっかり理解することである。どんな業界にも限られた数の構造的要因が作用し、それらが体系的かつ予測可能な方法で、業界の収益性に影響を及ぼしていることについて理解しておかねばならない。
五つの競争要因以外にも重要な要素はあるが、どれも構造的ではない。以下よく挙げられる四つの要素を挙げる。

・政府による規制
・技術
・成長率
・補完品

業界によってはこれらの要素を理解し適切に対処できるかどうかが成否を分けることもあるが、これらの要素の影響が増したからといって、例えば買い手の力が高まる時の様に、業界の収益性に体系的かつ予測可能な影響が及ぶことはない。
(本の図2-2では五つの競争要因が図でまとまっています。)


2. 戦略への示唆
五つの競争要因の全体としての強さを把握することが大切であり、理由としては五つの競争要因が価格とコストに、そして競争に必要な投資に影響を及ぼすからである。業界の生み出す経済価値がどの様に分配されるかは業界構造によって決まる。つまり業界内の企業がどれだけの割合を確保し、どれだけが顧客、サプライヤー、流通業者、代替品に流れるなどを決める。この分析から得られた洞察はどこで、どの様にして競争するかという意思決定に直接生かされなくてはならない。
五つの競争要因の分析は、業界の「魅力度」を判断するために用いられることが最も多く、撤退、参入、投資を検討する企業や投資家にとって、これは欠かせない。それに加え、下記の視点などで考えることで重要な洞察を得ることができる。

・業界の収益性はなぜ今の様な水準なのか、収益性を支える要因は何であろうか
・何が変わりつつあり、収益性は今後どの様に変化するだろうか
・自社が生み出している価値の取り分を増やすには、どういった制約要因を克服しなくてはならないだろうか

これらの視点で考えることで、複雑な競争の本質を見抜き、業績を改善するための様々な措置が取れる様になる。
また、業界分析でさらに考えるべきなのが、「競争要因の影響が最も弱い場所に寺社をポジショニングできるかどうか」である。この点も意識せねばならない。

3. 構造は動態的である
競争要因の一部または全てが時とともに変化するにつれて、業界の収益性も変化する。業界構造は静態的ではなく動態的である。業界分析を行うことはある時点での業界の姿を捉えることだが、五つの競争要因の傾向を分析することでもある。買い手やサプライヤーは、時とともに力を増すこともあれば、失うこともある。技術革新や経営革新のせいで、新規参入や代替の脅威が高まる場合も薄れる場合もある。
どんな業界にも常に変化が起きている。業界構造をよりよく理解すれば、業界構造自社に有利に再編できる新しい戦略機会や動きを見極め、活用することができる。難しいのは重要な変化を見分けることだ。戦略上重要な変化とは、五つの競争要因に影響を及ぼす様な変化である。


4. 感想・まとめ
#4では第2章の後半について取り扱いました。若干が前半部に内容が偏っていた印象ではあるので、若干分量に差が出てしまった形になります。
五つの競争要因をどの様に意思決定に生かしていくかなどに参考になりそうな印象でした。また、要因は時とともに変わるため、随時見直していくことが重要だと思われました。
第2章についてはこれで終了したので、#5では第3章に入っていきます。