Ch.1 クリティカル・シンキング(前編)|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #1

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学生の頃にちょっとした興味でビジネスフレームワークを色々と抑えたのですが、いざ様々な仕事に関わってみた後に振り返ってみるといろんなシーンでベースの考え方が役に立ちました。
一方で、意外とこの辺の知識はマネジメント職やビジネス職で関わっている方でも知らないことが多くて驚くことが多く、勿体無いなというケースも何度かありました。

ビジネスを客観的な視点で見る際に基礎的なビジネスフレームワークの知識を持っていると非常に役に立つので、このシリーズを通してビジネスフレームワークの基本についてお伝えしていければと思います。
課題本としてはグロービスMBAキーワードの基本フレームワーク50を用います。ちょっと情報不足感も感じますが外資系のビジネス職の方でMBA持ちの方と話した際もこの本はコンパクトで使いやすいという話になったので、ベースを抑える上では悪くはないチョイスなのではと思います。

本のまとめにあたってはビジネス系のフレームワークは抽象的に書かれることが多くてしっくりこない点もあるので、「本の内容の要約」と「読んでみての解釈」を分けて記述していければと思います。解釈においてはこれまで関わってきた仕事を元にした経験則に加えてデータサイエンス的な知見も交えながら記載していければと思います。

#1では1章でまとめられているクリティカル・シンキング(ロジカル・シンキングにも近いと思います)の前編としてNo.3のマトリクスまでについてまとめていきます。
以下目次になります。

1. 1章まとめ(クリティカル・シンキング
1.1 MECE(No.1)
1.2 ロジックツリー(No.2)
1.3 マトリクス(No.3)
2. まとめ


1. 1章前半まとめ(クリティカル・シンキング

1.1でまとめたMECEがとにかく全ての基本で、様々なケースにおいて用います。また、1.3のマトリクスは本を通してあちこちで出てくるので、抑えておくと良いです。

 

1.1 MECE(No.1)

・本の内容の要約
MECEは日本語で言うと『モレなくダブりなく』です。英語で表した際の"Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive"の頭文字を取ったものです。
利用シーンについては問題を分析する(Analyze)際の基本として物事を「分解」していくのに用いるとされています。また「分解」とは分析対象をそれを構成する個々の要素に分けることだとされています。
この際に効率的に分解を行うにあたり重要なのがMECEで特にモレを無くすと思考の抜けに気がつかないので実務上はモレを無くすことにプライオリティを置くのが良いそうです。この際のコツとしては「その他」と言う項目を設けると良いそうです。
図表1-1と1-2はそれぞれ理解する手助けになるので注意して見ると良いかもしれません。

・読んでみての解釈
MECEという言葉は良く聞きますし知っている方も多いのではと思いますが、普段の仕事に効果的に反映させるのはなかなか難しいです。そもそも、問題を分解するという視点がなかなか難しく、プログラミングや数学などの理論の理解などの指導を行う際も個人差が非常に現れる場所です。
さらに、プログラミングや数学などの理論ほどビジネスシーンでの課題は明確でないことも多いので、この辺の思考は難しくなります。本に記載の「その他」を設けるのは非常に良いテクニックだと思います。

個人的にこのMECEを一番意識するのは議事録を取る際です。上司やクライアントとの合意を取ったり共通認識を持つにあたって議事録は非常に重要です。が、色々な方の議事録を拝見した経験的にちゃんとした議事録が取れる方は10人に1人いないと思います。項目の整理にあたってこの辺で思考能力がはっきりわかってしまうので、相手の思考力・理解力を議事録で測ることもできます。
議事録を取る際には議題の該当範囲を明確にして、その中でどのようにMECEに話を整理するかというのが非常に重要です。曖昧に終わったところは「その他」や「備考」などに入れて置くとより厚みが増します。


1.2 ロジックツリー(No.2)

・本の内容の要約
ロジックツリーはMECEを生かして階層的に分解していく考え方です。
概要としては、MECEを用いて問題を階層的に分類することです。コツとしては、全体においてMECEの厳密さにこだわらないことと、問題解決に向けて「感度の良い切り口」を自分なりにたくさん持っておくというのが挙げられていました。

・読んでみての解釈
ロジックツリーについてはこのブログをよく読んでいる方に取っては決定木やクラスタリングの方がしっくりくるかもしれません。行なっていること自体は似ています。

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from "https://ja.wikipedia.org/wiki/決定木"

利用シーンとしては、個人的にはロジックツリーは即興の説明にあたってマインドマップ的に思考を整理するだけにとどめています。本に記載のコツは確かにそうで、下の方の階層の厳密性は結構怪しいので綺麗なロジックツリーは以外とわかりにくかったりします。決定木の学習にあたっての剪定と同様にあまり複雑にし過ぎないのが良いのかもしれません。


1.3 マトリクス(No.3)

・本の内容の要約
マトリクスは二つの軸を取り、2×2の4象限に物事を切り分ける分析手法とされており、様々な分析にも応用されているようです。マトリクスもMECEに基づいており、二軸を持って物事の整理を行います。この本の後ろの方でもマトリクスを使った分析が多く出てきまして、SWOT分析、プロダクトポートフォリオマネジメント、アンゾフの事業拡大マトリクスなど様々な例が出てきます。
運用にあたってのコツとしては、「軸の設定」と「軸の中心点」の二つが挙げられています。目的を正しく理解した上でそれに沿った軸の設定と、+かーかを決める基準点をどこに決めるかというのが大事なようです。

・読んでみての解釈
データ分析の文脈では主成分分析(PCA; Principal Component Analysis)などの次元削減の手法を用いて二軸に落とし、プロットするということはよく行います。一番よく見たサンプルとしては、BoW(自然言語処理の際に構築する文書を行と単語を列に取って頻度をカウントした行列表現)にPCAをかけて単語の類似度を出すなどです。PCAは多次元の情報から分散が大きい軸を抽出する手法なので、マトリクス分析における軸の設定を数学的に行っていると考えると非常に興味深いです。

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PCA from "https://ja.wikipedia.org/wiki/主成分分析"

また、マトリクスを組織論に応用したマトリクス型組織も面白いです。マトリクス型組織では部門長とプロジェクトリーダーを二つ分けてマネジメントを行う組織構造のことです。


2. まとめ

今回の話はビジネスフレームワークというよりはロジカルシンキングという方がしっくりくるようだった内容な気がしますが、仕事を行う際に基本となる内容なのでしっかり抑えておく方が良いと思います。
ロジカルシンキングについてはデータサイエンス的な話を絡める方がわかりやすいのかなと思ったので具体的なアルゴリズムを足してみましたが、ビジネスフレームワークとデータサイエンスの融合的な話って結構少ないのでこの辺詳しく論述していくのも面白いかなと思いました。