Ch.2 仮説ドリブン①(イシューの分解とストーリーラインの組み立て)|『イシューからはじめよ』読書メモ #3

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「イシューからはじめよ」について読書メモをまとめています。

イシューからはじめよ|書籍|英治出版
読むにいたった経緯などは#1にまとめましたのでこちらのご確認おお願いいたします。

基本的には章単位でまとめていければと思います。
#2では第1章の「イシュードリブン」について取り扱いました。

 #3では第2章の仮説ドリブン①について取り扱います。
以下目次になります。
1. イシュードリブン(イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる)
1.1 イシューを分析とは何か
1.2 イシューを分解する
1.3 ストーリーラインを組み立てる
2. まとめ


1. イシュードリブン(イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる)
1.1 イシュー分析とは何か
・本の内容の要約
第1章の内容に基づいてイシューを見極めた後は「解の質」を十分に高める必要がある。解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業が「ストーリーライン」作りとそれに基づく「絵コンテ」作りで、この二つを合わせて「イシュー分析(イシューアナリシス)」と言う。これは、イシューの構造を明らかにし、その中に潜むサブイシューを洗い出すとともに、それに沿った分析のイメージ作りを行う過程である。第2章ではストーリーライン作りとその進め方について、第3章では絵コンテ作りのコツを紹介する。
また、ストーリーラインと絵コンテは見当が進むにつれてどんどん書き換えていき、最終段階ではプレゼンテーションや論文の仕上げに使い全体のサマリーそのものになる。見当プロジェクトが始まったら、できるだけ早い段階で一次バージョンを作成し、3〜4カ月のプロジェクトであれば、最初の週の最後、遅くとも2週目の初めには第一次のストーリーラインを作るというのが理想だ。
ストーリーラインの組み立てにおいては、

①イシューに関するデータを集めまくり
②データが出尽くした段階で意味合いを考え
③それを並べてストーリーを組む

というアプローチがよく取られるが、本書では逆のアプローチを取り「イシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と言う最終的な姿から前倒しで考える。
ストーリーライン作るの中にも二つの作業があり、「イシューの分解」と「ストーリーラインの組み立て」でこれは1.2、1.3で取り扱う。

 

・読んでみての感想、考察
本の2章、3章のアウトラインについてこちらのセクションではまとめられていました。P.104~P.105の図1がイメージとしてわかりやすかった印象です。
細かい部分の説明は置いといてとにかくテーマや仮説に関する骨組みの大枠を作って、徐々に肉付けしていくというのを意識すると良いのではと思われました。

 

1.2 イシューを分解する
・本の内容の要約
多くの場合イシューは大きな問いでありいきなり答えを出すことが難しいため、大元のイシューを「答えを出せるサイズ」にまで分解するとよく、分解したイシューをサブイシューと呼ぶ。イシューを分解するにあたっては「MECE」かつ「本質的に意味のある固まり」で砕くことが大切である。「本質的に意味のある固まり」の直感的なイメージとしては、卵の健康への影響を考察するにあたって白身と黄身に分けるのが意味のある固まり、ゆで卵をスライスするのが意味のない固まりだとイメージすると良い。入り口に当たる「切り分け方」を間違えるとその分析自体が行き止まりになってしまう可能性が高いので、本質的な固まりに切り分けることはとても重要なポイントになる。
ビジネスにおけるイシューの分解の具体例として「事業コンセプト」を扱うと、まず「狙うべき市場ニーズ(WHERE)」と「事業モデル(WHAT&HOW)」に分けられる。このような切り分けの際に便利なのがイシューを分解する「型」であり、多くの場合は型活用することで分解を行って行くことができる。ビジネスの世界で使い勝手が良いのが「WHERE、WHAT、HOW」に分解すると整理しやすい。
また、イシューを分解する効用としては

・課題の全体像が見やすくなる
・サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる

の二点がある。サブイシューを洗い出す際には「何がわかればこの意思決定ができるか」という視点で見ると良い。


・読んでみての感想、考察
要素の分解はよく行うのですが、それにあたってのコツが色々と書かれていて非常に参考になりました。切り分けを行うにあたってはドメイン知識に沿っていくのが良いので、ざっと大枠を掴むのは非常に重要な視点だと思われました。

 

1.3 ストーリーラインを組み立てる

・本の内容の要約
イシュー分析の次のステップは、分解したイシューに基づいたストーリーラインの組み立てである。分解したイシューの構造と、それに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考える。
ストーリーラインが必要となる理由は二つあり、

① 単に分解されたイシューとサブイシューについての仮説だけでは論文やプレゼンにはならない
② ストーリーの流れによって、以後に必要となる分析の表現方法が変わってくることが多い

の二点である。人に何かを理解してもらおうとすれば必ずストーリーが必要になり、どういう順番どういう流れで話をすれば納得してもらえるのかを考えつつ分解したイシューに基づいてストーリーを組み立てていく必要がある。
ストーリーラインの役割はプロジェクトのフェーズごとに異なり、立ち上げフェーズでは「目的意識を揃える」役割、分析・検討段階では「イシューに対する仮説の検証の進捗の確認」のための役割、まとめ段階では「最終的なプレゼン資料や論文をまとめる最大の推進装置」の役割を果たす。
また、ストーリーラインの取りまとめにあたっては2つの型があり、「WHYの並び立て」、「空・雨・傘」とそれぞれ呼ばれる。それぞれの意味合いとしては「WHYの並び立て」は主張をWHYで並列的に理由づける方法、「空・雨・傘」は課題の確認、課題の深掘り、結論の流れで進める方法である。このような論理構造の型に落とし込むことで、ストーリーラインへの落とし込みがスムーズに行うことができる。

 

・読んでみての感想、考察
プレゼンを作る際には基本的に構成から先に決めるのですが、それがまさにストーリーラインの組み立てと近いことをやっているなと感じました。個人的には20~30分程度のプレゼンや2~3時間の講義の場合は全体の流れを「空・雨・傘」で作り、細かい項目は「WHYの並び立て」のように並列で並べることが多いかなと思いました。
ストーリーラインは今回挙がった二つの方法以外だと「起承転結」などはよく使う気がしました(空・雨・傘に似ているかもしれませんが)。また、時折流れをわざと逆にして該当の内容を際立たせたりなども時折使っている気がしました。
いずれにせよ基本の型は重要なので、この辺は意識するとよいポイントだなと思われました。

 

2. まとめ
無意識で行っている内容が多くそこまで新しい内容でもなかった気がしましたが、言語化して把握するというのは重要だし(再現性を高めスランプになりにくくなる)、新人教育にも使えるので良い内容だったと思います。
成功の再現性を高めるためにこのように基本の型になれるというのは非常に大切だなと感じました。