Ch.3 仮説ドリブン②(ストーリーを絵コンテにする)|『イシューからはじめよ』読書メモ #4

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「イシューからはじめよ」について読書メモをまとめています。

イシューからはじめよ|書籍|英治出版
読むにいたった経緯などは#1にまとめましたのでこちらのご確認おお願いいたします。

基本的には章単位でまとめていければと思います。
#2では第1章の「イシュードリブン」について、#3では第2章の仮説ドリブン①について取り扱いました。

 #4では第3章の仮説ドリブン②について取り扱います。
以下目次になります。
1. 仮説ドリブン②(ストーリーを絵コンテにする)
1.1 絵コンテとは何か
1.2 軸を整理する(STEP1)
1.3 イメージを具体化する(STEP2)
1.4 方法を明示する(STEP3)
2. まとめ


1. 仮説ドリブン②(ストーリーを絵コンテにする)
1.1 絵コンテとは何か
・本の内容の要約
イシューが見え、それを検証するためのストーリーラインもできれば、次は分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をデザインしていく。作成にあたっては基本的に「最終的に伝えるメッセージ」を考えた上でどういう分析結果があれば納得するかを考えてストーリーラインに沿って前倒しで作る。この分析イメージのことを「絵コンテ」作りと本の筆者は呼んでいる。Ch.3ではこの絵コンテ作りについて解説を行う。
Ch.2で取り扱ったイシューを分解し、組み立てたストーリーラインは言葉だけのものなので、ここに具体的なデータのイメージをビジュアルとして組み合わせることで急速に最終的なアウトプットの青写真が見えてくる。また、絵コンテ作りで大切な心構えは「大胆に思い切って描く」ことであり、「どんなデータがあればストーリーラインの個々の仮説=サブイシューを検証できるのか」という視点で大胆にデザインすると良い。
絵コンテ作りには三つのステップがあり、それぞれを1.2の「軸の整理」、1.3の「イメージの具体化」、1.4の「方法の明示」において取り扱う。


・読んでみての感想、考察
プロジェクトやプレゼンの骨組みをストーリーライン、肉付けを絵コンテと考えれば一般的なプレゼンの準備と同様な印象でした。書いてある内容については納得のいく内容だったので参考にできればと思いました。
一点だけ誤解が生じそうに感じたのが、絵コンテを大胆に描く(ゴールから逆算して作る)心構えで、極端な捉え方をすると捏造にもなってしまうので注意が必要だと感じました。この辺は後ろから逆算するのも大事ですが、ベースから積み上げるという考えも忘れないようにした方が良いのではと思いました。

 

1.2 軸を整理する(STEP1)

・本の内容の要約
絵コンテ作りの第一歩は、分析の枠組み作りつまり軸を整理することで、「軸」とは分析のタテとヨコの広がりを指す。単に「〇〇について調べる」ではなく、「どのような軸でどのような値をどのように比較するか」ということを具体的に設計する。また、「分析とは何か」に対する本の筆者の見解は「分析とは比較であり比べること」というものであり、分析と言われるものに共通するのはフェアに対象同士を比べ、その違いを見ることである。
「比較」が論理を成り立たせるので、優れた分析はタテ軸、ヨコ軸に何を取るなどの比較の軸が明確かつ良いものになっている。したがって分析では適切な「比較の軸」がカギとなり、どのような軸で何と何を比較するとそのイシューに答えが出るかを考える必要がある。
また、定量分析の三つの型としては、①何らかの共通軸で2つ以上の値を比べる、②全体と部分を比較する、③同じものを時系列で比較することの三つがある。複雑に見える分析も大元を正せばこれらの組み合わせで成り立っている。

 

・読んでみての感想、考察
分析とは比較であり「軸」が重要というのは面白い見方でした。個人的には分析とは把握をすることだと考えていたのですが、曖昧に捉えていたところではあったので他の見方を知れるのは非常に参考になります。個人的には分析や考察などは好きで良く行うのですが、なんとなくできてしまうところが多かったので、言語化された方法論を知ることで考察の再現性を上げることができて非常に有意義な印象です。
軸の設定にあたっては統計の文脈では主成分分析などもあり、分散の大きいところに軸を取るというのも個人的には面白い考え方だと思っています。この辺はデータ分析の理論などに詳しいのが強みになっている気がします。

 

1.3 イメージを具体化する(STEP2)

・本の内容の要約
軸の整理が終われば次は具体的な数字を入れて分析・検討結果のイメージを作っていく。忘れられがちではあるが、この際の数字は「細かく取れば良い」というものではなく、最終的にどの程度の制度のデータが欲しいかをイメージする必要がある。仮説で「急激に変化が大きく出るだろう」と思うところがあれば、その辺りについては細かくデータを取っておく必要がある。
実際に数字が入った具体的なチャートのイメージを描く上では、比較による「意味合い」をはっきりさせることが必要になる。「意味合い」の典型的な例は、①差がある、②変化がある、③パターンがある、の3つである。このような最終的に欲しい「意味合い」を分析イメージとして書き入れていくと良い。

 

・読んでみての感想、考察
比較による「意味合い」を出すというのはなるほどなと感じました。普段はこの辺は無意識に飛ばして意思決定にまで繋げることが多いので、特に意識していませんでした。
個人の行動の範囲では大体のケースで意思決定は正しくうまく行くことが多いのですが、人を介すとなかなか進まないケースが多いのはこの辺の過程を飛ばしているからなのかなという気がしました。感覚的にわかっている内容についてはつい話を飛ばしがちなので気をつけたいと思いました。

 

1.4 方法を明示する(STEP3)
・本の内容の要約
絵コンテ作りは「軸の整理」「イメージの具体化」で概ね終わりだが、最後にぜひやっておくべきこととしては、どうやってそのデータを取るのかという方法を明示することだ。ストーリーラインや絵コンテは良くても、現実的に肝心のそのデータを取る方法がなければ全てが砂上の楼閣となってしまう。
このデータを取る方法について考える際にも「イシューからはじめる」意識を持っていることで、良い成果が出たり、様々な場面を想定した技の習得ができたりとプラスになることが多い。


・読んでみての感想、考察
根拠をどう作るか、データをどう取るかは重要ですがやはり結論から考えるのが重要そうです。捏造でもいけないし、ノープランでもいけないので、この辺はバランス感覚の問われる内容だなと思います。

 

2. まとめ
「意味合い」を出すところがヒューリスティックになりすぎかつプロセスを飛ばしすぎている気がしたので、その辺は気をつけたいなと思いました。
ビジネス文脈においては説明や説得も必要なので、その辺のロジックは丁寧に詰めるようにしたいなと思いました。