数学検定2級の過去問の解説 #1

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社会人になってから理系分野について取り扱う必要が出てきたものの、数学がなかなか難しいという話をよく聞きます。応用分野から入るよりも先に数学検定2級レベルを抑える方が望ましいと思われますので、簡単に過去問の解説を行っていきます。
問題は下記を用います。

https://www.su-gaku.net/suken/wp-content/themes/su-ken/pdf/support/past_question/2q_que_1ji.pdf

一応模範解答は下記で確認ができますが、答えだけだと理解にならないので解説も含めて行います。

https://www.su-gaku.net/suken/wp-content/themes/su-ken/pdf/support/past_question/2q_ans_1ji.pdf

以下、問題1〜5について確認を行います。
・問題1
次の式を展開せよ。
(4x+3y)(16x^2-12xy+9y^2)

方針.
基本的な展開の考え方を用いる。4x(16x^2-12xy+9y^2)+3y(16x^2-12xy+9y^2)と考えることができる。

Answer.
\displaystyle (4x+3y)(16x^2-12xy+9y^2) \\\\ =4x(16x^2-12xy+9y^2)+3y(16x^2-12xy+9y^2) \\\\ =64x^3- 48x^2y+36xy^2 +48x^2y -36xy^2+27y^3 \\\\ =64x^3+27y^3

解説.
基本的には通常通り計算すれば良いです。この手の試験問題は大概、計算力よりも理解度を確認しようとするので、一見複雑な計算になりそうな場合も途中で項が打ち消し合うように問題が組まれることが多いです。そのため、あまり難しく考えないようにすべきです。また、どうしても難しそうに見える際は先に答えを見てから解いても良いので、この辺は変に考え過ぎずにとにかく計算を行ってみるようにしましょう。

 

・問題2
次の式を因数分解せよ。
a^2+2a+1-4b^2

方針.
通常の因数分解の公式をそのままあてはめることができないので、一見大変そうですが、a^2+2a+1=(a+1)^2=A^24b^2=(2b)^2=B^2と見ることでA^2-B^2=(A+B)(A-B)のように計算できることがわかれば問題を解くことができます。

Answer.
\displaystyle a^2+2a+1-4b^2 \\\\ = (a+1)^2-(2b)^2 \\\\ = (a+1+2b)(a+1-2b)

解説.
見たことのない形に見えるので、慣れないと少し難しい問題かもしれません。基本的な変形を何度も繰り返すうちにわかるようになるので、自信がない場合は展開や因数分解の公式を元にした演習を何度も繰り返すと良いかと思います。

 

・問題3
y=2x^2-8x+11の最小値を求めよ。

方針.
二次関数の最小値、最大値問題は基本的に平方展開もしくは微分を用います。二つの解法に従って以下、解答をまとめます。

Answer1(平方展開).
y=2x^2-8x+11=2(x-2)^2-8+11=(x-2)^2+3
よって最小値は3

Answer2(微分).
y'=(2x^2-8x+11)'=4x-8
下に凸の関数のため、y'=4x-8=0のとき最小値を取る。そのため最小値を取る際のxは2。
元の関数にx=2を代入して、最小値2 \times 2^2 -8 \times 2 + 11 = 3を得る。

解説.
平方展開、微分の解法はどちらも様々な状況で用いられる解法のため必ず抑えておきましょう。

 

・問題4
\triangle{ABC}において、AB=2CA=4\angle{A}=60^\circのとき、辺BCを求めよ。

方針.

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図形の問題はまずは図を描くところから始めるのが良いです。上記のように描くと、直角三角形における三角関数(三角比)で解けることがわかります。

Answer.
\displaystyle BC= 4 \sin{60^\circ} = 4 \frac{\sqrt{3}}{2} = 2 \sqrt{3}

解説.
30^\circ45^\circ60^\circに対応するsin、cosはそれぞれ必ず覚えておくようにしましょう。



・問題5
{}_8 C _3 \times {}_5 C _2を計算せよ。

方針.
\displaystyle {}_n C _r= \frac{n!}{r!(n-r)!}を用いて解くことができます。

Answer.
\displaystyle {}_8 C _3 \times {}_5 C _2 \\\\ \displaystyle  = \frac{8 \times 7 \times 6}{3 \times 2 \times 1} \times \frac{5 \times 4}{2 \times 1} \\\\ = 56 \times 10 = 560

解説.
少し計算自体は複雑ですが、基本的な組み合わせの計算なので演習を通して慣れるのが一番良いかと思います。

 

・まとめ
問題2が公式をそのままあてはめられない問題だったので、問題1〜5の中では一番教科書通りに行かなかったかもしれません。また、問題4のような図形の問題は文章だけだと難しく見えるので、先に図を描いてイメージをつかむのが良いのではと思います。

↓以下簡単な宣伝ですが、教科書的な解説がある方が望ましい方は下記を確認してみてください。数学検定2級〜準1級の話題を可能な限りシンプルにまとめました。