数学検定2級の過去問の解説 #2

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数学の再学習にあたって、目安とすると良い数学検定2級の過去問の解説を行っていきます。

https://www.su-gaku.net/suken/wp-content/themes/su-ken/pdf/support/past_question/2q_que_1ji.pdf

#1では問題1〜5について取り扱ったので、#2では問題6〜10について確認を行います。

 

・問題6
全体集合U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9\}とその部分集合をA=\{2,3,4,5\}B=\{1,3,5,7,9\}のように定めた際に\overline{A \cup B}の要素を書き表せ。

方針.
A \cup Bは和集合、\overline{A}は補集合であり、このことに基づいて考えれば良いです。

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とはいえ、慣れないうちは大変なため、集合については基本的に上記のようなベン図を用いて考えるようにするとミスが少ないかと思います。

Answer.
\overline{A \cup B}=\{6,8\}

解説.
ABの和集合の補集合のため、AにもBにも含まれない要素を並べれば良いです。関連でドモルガンの法則などもありますが、ベン図に基づいて解くほうがミスが少ないかつ様々な状況で用いやすいため、集合の問題は基本的にはベン図を書いて解くようにしましょう。

 

・問題7
10110_{(2)}」を2進数とするとき、これを10進数で表せ。

方針.
各桁の数字 \times 2^{桁数-1}を各桁について計算し、和を取れば良いです。

Answer.
10110_{(2)} \\\\ = 1 \times 2^4 + 0 \times 2^3 1 \times 2^2 + 1 \times 2^1 0 \times 2^0 \\\\ = 2^4+2^2+2^1 \\\\ = 16+4+2 = 22

解説.
指数関数の理解があれば解ける内容になりますが、他の問題に比べて少々難しいので、この問題については解けなくても問題ないかと思います。解答を見て雰囲気だけつかめれば十分だと思います。

 

・問題8
\displaystyle \frac{2}{x^2+2x}-\frac{1}{x^2+3x+2}の計算を行え。

方針.
通分と同じ分母を揃えて計算を行います。分母を因数分解して、\displaystyle \frac{2}{x^2+2x}-\frac{1}{x^2+3x+2}=\frac{2}{x(x+2)}-\frac{1}{(x+1)(x+2)}のように変形することがポイントです。

Answer.
\displaystyle \frac{2}{x^2+2x}-\frac{1}{x^2+3x+2}=\frac{2}{x(x+2)}-\frac{1}{(x+1)(x+2)} \\\\ = \displaystyle \frac{2(x+1)}{x(x+1)(x+2)}-\frac{x}{x(x+1)(x+2)} \\\\ \displaystyle = \frac{2(x+1)-x}{x(x+1)(x+2)} \\\\ \displaystyle = \frac{x+2}{x(x+1)(x+2)}=\frac{1}{x(x+1)}

解説.
通分を行うにあたって、因数分解を行えば計算がシンプルになることに気づけばそれほど難しくない問題だと思います。一見複雑な問題には見えますが、基本的な理解を元に着実に解答したい問題です。(試験などではこの問題ができるかどうかで差がつく問題だと思います。)

 

・問題9
xy平面上の点(1,0)と直線2x-y+3=0の距離を求めよ。

方針.
(x_0,y_0)ax+by+c=0の距離を求める公式として\displaystyle d=\frac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}を用いることで解くことができますが、この公式を覚えておくのは大変です。そこで、解法としては(1,0)から直線に垂線を引き、計算するという力技での解答を行います。

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上記のようにAとPを設定し、Pの位置を内積=0から求め、APの距離を計算するという流れでの解答を行います。

Answer.
方針記載のように点P: (a,b)を設定したとする。\overrightarrow{AP}=(a-1,b)はベクトル\vec{l}=(1,2)と直交するので\overrightarrow{AP} \cdot \vec{l} = (a-1)+2b = 0が成立する。
また、Pは直線2x-y+3=0上の点なので、2a-b+3=0も成立する。これらの連立方程式を解くとP: (-1,1)が得られる。
この時|\overrightarrow{AP}| = \sqrt{(1-(-1))^2+1^2} = \sqrt{5}より点と直線の距離を得ることができる。

解説.
Answerではベクトルを用いた力技で解答を得ました。もちろん公式を覚えておくのも良いですが、シンプルな理解に基づいて力技で解くというのも重要です。また、図形問題を力技で解くにあたってはベクトルを用いた解法は非常に有用なので、抑えておくのが良いかと思います。

 

・問題10
-\sin{\theta}+\sqrt{3}\cos{\theta}=r\sin{(\theta+\alpha})を満たすr\alphaを求めよ。(rは0より大きく、\alpha02 \piとする)

方針.
加法定理の\sin{(\theta + \alpha)} = \sin{\theta}\cos{\alpha}+\cos{\theta}\sin{\alpha}を元に、係数を見比べれば良い。

Answer.
r\sin{(\theta + \alpha)} = r\sin{\theta}\cos{\alpha}+r\cos{\theta}\sin{\alpha}と問題の係数を見比べて、r\cos{\alpha}=-1r\sin{\alpha}=\sqrt{3}を得る。(r\cos{\alpha})^2+(r\sin{\alpha})^2=r^2(\cos^2{\alpha}+\sin^2{\alpha})=r^2=1+3=4より、r=2\displaystyle \alpha = \frac{2 \pi}{3}を得る。

 

・まとめ
問題7がそこそこ難しく、問題9と問題10は公式を覚えている前提と思われました。公式を覚える数学はあまり必要ないのではと思うので、問題9と10はこういうのもあるのだ程度で十分なのではないかと思いました。

↓以下簡単な宣伝ですが、教科書的な解説がある方が望ましい方は下記を確認してみてください。数学検定2級〜準1級の話題を可能な限りシンプルにまとめました。