プロパガンダの大枠を理解する|政治とプロパガンダ #1
憲法改正関連の話題が飛び交う昨今ですが、様々な主張がなされることで段々とどのように考えるのかが難しくなる可能性があります。憲法学については別途取り扱いたいと考えていますが、デマやプロパガンダについても理解しておくと良さそうです。ということで、「政治とプロパガンダ」について取り扱うシリーズをまとめることにいたしました。
「プロパガンダ」は上記で取り扱った「詭弁」にも関連する話題ではありますが、個人対個人のようなミクロな状況でも用いられうる「詭弁」に対して、「プロパガンダ」は何らかの政治的な団体が行う場合が多いです。そのため、単なる「詭弁」以上に「プロパガンダ」については警戒し、客観的な理解と考察が必要になると思います。
#1ではとりあえずざっくり把握できればということで、「プロパガンダの大枠」について取り扱います。
以下、当記事の目次になります。
1. プロパガンダの概要
2. プロパガンダの主な手法
3. まとめ
1. プロパガンダの概要
1節では「プロパガンダ(propaganda)」の概要についてWikipediaを元にまとめます(プロパガンダ - Wikipedia)。
まずは簡単に冒頭部の記載を確認します。「プロパガンダ(propaganda)」は「特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為」と把握しておくと良さそうです。言葉の定義についての議論は記載がややこしくなるだけなので、基本的にはこちらの定義に沿って以降は確認していければと思います。
ここまでの記載の理解をするにあたってプロパガンダの例を少し具体的に考えてみようと思います。
・A教はすばらしい教えなので、皆が学び、そして寄付すべきだ
・郵政民営化を何としても成し遂げる必要がある
・大和魂があればB29も竹槍で倒せる(大日本帝国)
・全てユダヤの陰謀だ(ナチス)
・スターリン閣下を崇拝しましょう(ソ連)
具体的には上記などの例が挙げられるのではないかと思います。近代〜現代の話題が多いですが、歴史を振り返れば科学が発達した現代よりもたくさんの例があることが確認できるかと思います。
Wikipediaのプロパガンダの種類についても簡単に確認しておきます。
・ホワイトプロパガンダ(情報の発信元がはっきりしており、事実に基づく情報で構成されたプロパガンダ)
・ブラックプロパガンダ(情報の発信元を偽ったり、虚偽や誇張が含まれるプロパガンダ)
・グレープロパガンダ(発信元が曖昧であったり、真実かどうか不明なプロパガンダ)
・コーポレートプロパガンダ(企業が自らの利益のためにおこなうプロパガンダ)
・カウンタープロパガンダ(敵のプロパガンダに対抗するためのプロパガンダ)
上記で特に注意が必要なのがブラックプロパガンダとグレーププロパガンダで、デマなどの原因となります。逆に、ブラックプロパガンダが用いられた場合、違和感から気づく場合があり、それが基本的な重要事項であれば論理が全破綻し、わかりやすく不支持とすることも可能です。とはいえ、ブラックプロパガンダはその分野の周辺知識がなければ気づかない場合の方が多いようなので、なかなか大変です。(そういう意味でLiberal Artsは重要です、これもプロパガンダかもしれませんが)
プロパガンダはあまり良くないイメージを持たれがちですが、歴史を振り返るに、アレクサンドロス大王にちなんだ都市アレクサンドリアなどもプロパガンダではあるし、科学の発達していない時代や地域では統治のために宗教などのプロパガンダを用いるというのはある程度理にかなっていると考えることもあります。そのため、プロパガンダだから必ずしも良くないというよりは、手法を客観的に抑えるとともに、評価を可能な限りフェアに行うのが良いのではないかと思います。
プロパガンダの概要について簡単に把握できたので1節はここまでとします。
2. プロパガンダの主な手法
2節ではプロパガンダの主な手法について取り扱います。ここではアメリカ合衆国の宣伝分析研究所のまとめた7手法について確認しようと思います。
上記がWikipediaの記載ですが、詳しく確認すると「詭弁」と同様の論理構造が用いられることが多いということがわかります。明確に「詭弁」を用いているのが、「1)ネームコーリング(脅迫論証etc)」、「3)バンドワゴン(多数論証)」、「4)証言利用(権威論証)」、「6)転移(論理のすり替え)」、「7)華麗な言葉による普遍化(論理のすり替え、道徳主義の誤謬)」で、「詭弁」と「プロパガンダ」は大きく関連することが読み取れます。
あまり詳しく確認すると理解が大変なので、2節はここまでとします。
3. まとめ
#1では「プロパガンダの大枠」の理解ができるように、概要の確認と主な手法について取り扱いました。
#2では「プロパガンダ」と「媒体(メディア)」について取り扱おうと思います。