難しい文献に取り組む際の学習効率の向上のさせ方|学習法について考える #1

f:id:lib-arts:20210213195311p:plain

上記で学習法についてまとめましたが、考え方が様々ありまとめられなかった点もあると思いますので、新規シリーズで取り扱うこととしました。書籍の形式だとどうしても構成を考える必要があるのですが、合う合わないなどもあり必ずしも構成を考えるべきテーマでもないと思いますので、記事間の関連についてはあまり考えずに書き進められたらと思います。
#1では難しい文献に取り組む際の学習効率の向上のさせ方について考えてみたいと思います。
以下、当記事の目次になります。
1. 事前準備にあたって行うと良いこと
2. 文献を読み込む際に気をつけると良いこと
3. まとめ

 

1. 事前準備にあたって行うと良いこと
1節では文献を読み込む前の事前準備にあたって行うと良いことについてまとめます。よくありがちな話として、「自分の理解度と同等〜少し上の文献を選ぶ」傾向は皆少なからずあるのではないかと思います。このこと自体は良いと思うのですが、いきなり読み進めようとするとなかなか内容が理解できず、細かい一文一文が気になるようになった経験はないでしょうか。
そこで、「難しい」文献に取り組む前に必ず行っておくのが良いのが事前準備です。具体的には下記を行うと良いかと思います。

・文献の主題に関する概要の把握(Wikipediaを用いると効率が良いことが多いです)
・目次や構成の把握(目次を見ながら、関心のある箇所を流し読みしつつ目次と構成の把握を行うと良いです)

上記を行うことで、いきなりよくわからないものに直面し、思考停止するという事態を避けることができるかと思います。文献を読む際に一番気をつけるべきなのがこの思考停止で、全体像が見えないから個別の箇所を無理に覚えようとしてわかった気になるもこの思考停止の一例です。他にも、学生の頃にわからないけれど板書だけ写すという経験は誰しも一度は経験していることではないかと思います。

このように、概要がわからない内容に取り組む必要がある際に、「取り組んでいる」はずがいつの間にか思考停止に陥るということは意外と起こりやすいです。日本の学校のクラスの人数が多過ぎることが要因の一つと考えられ、いつの間にかわからなくなっているのに戻って学習することができないパターンは多いかと思います。

さて、この問題を回避するにはどのようにすると良いのでしょうか。もちろん「最初から難しい本を選ばない」というのも1つの解決策ですが、「記載が正しくない一般向けの本」の記載で把握するとその理解から抜け出せなくなる可能性もあり、必ずしも「難しい本を選ばない」というのが良いとは限りません。ということで、前述のようにWikipediaなどで概要を掴み、目次や構成を把握した上で「難しい文献に取り組む」というのが解決策の1つとして考えられます。

したがって、文献の選定にあたって、「少し難しいが名著」を選び、「Wikipediaや誰かの解説」でなんとなくのイメージを掴み、「目次と構成」を把握するというのは事前準備で行うと良いのではと思います。

 

2. 文献を読み込む際に気をつけると良いこと
2節では文献を読み込む際に気をつけると良いことについてまとめます。1節でまとめた事前準備を行うことで大体何の話について取り組んでいるかについては把握でき、思考停止は防ぎやすいと思いますが、それでも難しい際は難しいと思います。

この際に筆者が良く行うのが下記です。

・とにかく線を引く
・目次単位で内容を要約する
・それぞれの目次単位の内容を書き出して構成を再確認する(マインドマップでA3やA4枚にまとめるのもおすすめです)
・問題演習を行う(数学などは問題演習すると身につけやすいです)
・ブログ記事などにまとめる(ブログに限らずアウトプットするのが良いです)

当ブログも文献に取り組むにあたっての効率の向上の一環の意味合いも大きいです。上記の上3つはなるべく客観的で正確な把握を試み(インプット)、下2つは独自の考察も交えながら(アウトプット)進めると良いのではと思います。インプットとアウトプットをどのくらいの比率で調整するかですが、機械的な作業が得意な方は可能な限りインプットした上でアウトプットを行い、機械的な作業が苦手な方はアウトプットをしつつインプットを行うのが良いと思います。可能な限りインプットした上でアウトプットを行う方が効率は良いのですが、キャパシティを超えてインプットを行うと全くわからなくなったりするので、インプットが苦手なら苦手と割り切って取り組む方が良いと思います。また、よく知っている分野は自然とインプットが早くなるので、自然と早くなるに合わせてインプットを増やすという進め方が良いのだと思います。

この際に注意するべきなのが「絶対に周囲と比較しないこと」です。インプットが早い人が稀にいるのですが、個人の素質に加えてそもそもその分野について関連する知見を持っていたりする場合もあるので、一概に入門者・初心者でくくることができません。たとえば、「数理最適化」を理解するにあたって「微分」が理解できているかどうかでインプットスピードが大きく異なります。このように、ある分野の入門者・初心者が必ずしも同じ理解度を持つことはないので、どのくらいのインプットとアウトプットの比率にするかは冷静に自己判断すると良いと思います。

重要なのは「他者に先んずること」ではなく、「自身の学習を進めること」にあるのは外さないようにしましょう。Twitterなどで他の人の進捗が早い場合を見かけて慌てる方を時折見かけますが、大体が関連知識を持っているから早いケースがほとんどなので、マイペースで進めれば十分だと思います。

 

3. まとめ
#1では難しい文献に取り組む際の学習効率の向上のさせ方について取り扱いました。
#2以降でも引き続き学習法について取り扱っていければと思います。