ゲーム理論の概論③(ゲーム理論の研究史2)|ゲーム理論について #3

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ゲーム理論に関するシリーズとして、諸々取り扱っています。
まず手始めにゲーム理論の概論ということで、Wikipediaを確認しています。

ゲーム理論 - Wikipedia

#1ではゲーム理論の大まかな枠組みについて、#2では前史〜1960年代までのゲーム理論について取り扱いました。

ゲーム理論の概論①(大まかな枠組み)|ゲーム理論について #1 - lib-arts’s diary

ゲーム理論の概論②(ゲーム理論の研究史1)|ゲーム理論について #2 - lib-arts’s diary

#3では1970年代以降のゲーム理論について取り扱います。
以下目次になります。
1. ゲーム理論研究史
1-1. 1970年代
1-2. 1980年代
1-3. 1990年代
1-4. 2000年代
2. まとめ


1. ゲーム理論研究史
1-1. 1970年代

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1971年にはノイマンと『ゲームの理論と経済行動(Theory of Games and Economic Behavior)』を著したモルゲンシュテルンによってゲーム理論の専門誌の"International Journal of Game Theory"が発刊され、ゲーム理論が一つの専門分野として国際的に認知されるようになったとされています。また、この頃のゲーム理論研究は展開形非協力ゲームへの関心が高く、1967年にゼルテンによって提唱された不完備情報ゲームの研究が進められたとされています。

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また上記のように、1970年代頃からゲーム理論を経済学の市場理論だけでなく生物学、政治学、哲学、倫理学、論理学など、様々な分野へ応用が試みられるようになったとされています。例として政治学ではブラームスが国際関係論や投票理論に関してGame Theory and Politics[1975]、政治におけるパラドックスに関してParadoxes in Politics[1976]などの刊行について触れられています。


1-2. 1980年代

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1984年のロバート・アクセルロッドの研究をきっかけに、シミュレーションを用いた繰り返しゲームの研究が流行し、「囚人のジレンマ」のゲームの戦略として「しっぺ返し戦略(tit-for-tat strategy)」が善良・報復・寛容・明快を兼ね備えており、人間の協力全般にとって適切なパラダイムであると主張されています。これ以後、コンピュータシミュレーションを中心として用いる手法が流行し、進化生物学、社会学政治学、コンピュータ科学などで研究が行われるようになった一方で、アクセルロッドの研究は理論的な根拠としての不備を指摘されたりもしています。


1-3. 1990年代

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1990年代では、行動の進化や学習の研究の他に、理論を実験によって検証し実証データに基づく新しい行動理論の構築を目指す、行動ゲーム理論(behavioral game theory)の分野が誕生したとされています。
また、1999年1月1日にGame Theory Societyというゲーム理論を専門とした史上初の国際学会が発足したとされています。


1-4. 2000年代

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2000年代では構造推定(structural estimation)と呼ばれる手法を用いた実証研究や、マーケットデザイン(market design)への応用などが主要な展開として挙げられています。どちらもコンピュータの発展に伴って、発展しているという背景があるようです。また、マーケットデザインの主要分野の一つがオークション理論であり、様々な応用について取り組まれているとされています。


2. まとめ
#3では1970年代〜2000年代のゲーム理論について取り扱いました。
#4ではゲーム理論の応用分野について確認していきます。