ゲーム理論の概論②(ゲーム理論の研究史1)|ゲーム理論について #2

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強化学習についての記事などはこれまで多く取り扱ってきましたが、意外とゲーム理論については取り扱っていなかったので、ゲーム理論に関する新シリーズを新たにスタートさせます。
まず手始めにゲーム理論の概論ということで、Wikipediaを確認していきます。

ゲーム理論 - Wikipedia

#1では冒頭部の解説と枠組みのところについて取り扱いました。

#2からはゲーム理論研究史について取り扱います。#2では前史〜1960年代までのゲーム理論について取り扱います。
以下目次になります。
1. ゲーム理論研究史
1-1. 前史
1-2. 「社会的ゲームの理論について」(1928年)
1-3. 『ゲームの理論と経済行動』(1944年)
1-4. 1950年代
1-5. 1960年代
2. まとめ


1. ゲーム理論研究史

https://ja.wikipedia.org/wiki/ゲーム理論#研究史

上記を元に読み進めていきます。


1-1. 前史

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上記では、ゲームに関する研究は旧約聖書魏志倭人伝などの古い書物やローマ帝国などに見られたとされています。また、ゲームの研究は確率論が誕生した17世紀に大きく進歩したとされており、ガリレオ・ガリレイの『ダイス・ゲームに関する考察』(1613-1623)で効用概念について、パスカルフェルマーの往復書簡(1654年)などで数学的期待値の最大化について論じられています。ゲームの種類としては他者の戦略と問題とされないゲームとして「偶然ゲーム(games of chance)」や、相手の戦略が問題となるようなゲームとして「技術のゲーム(games of skill)」などが言及されています。


1-2. 「社会的ゲームの理論について」(1928年)

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上記では、ゲーム理論の数学的基礎を形作った1928年のノイマンの論文である「社会的ゲームの理論について」が紹介されています。この論文では戦略ゲームの例として、ルーレットやチェス、じゃんけんなどの室内ゲームが中心に挙げられていたものの、「社会的ゲーム」とされているように、ノイマンゲーム理論を単に室内ゲームの数学理論だけでなく経済行動の数学理論として認識していたことを示しているとされています。

 

1-3. 『ゲームの理論と経済行動』(1944年)

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上記は、1944年に出版された『ゲームの理論と経済行動(Theory of Games and Economic Behavior)』についての記述です。『ゲームの理論と経済行動』ではまず、2人ゼロ和ゲームを囚人のジレンマの問題のような展開形ゲームと、オセロや将棋のような戦略形ゲームによって表現し、2人のプレイヤーそれぞれの最適な行動であるミニマックス行動を与えたとされています。また、プレイヤーが3人以上のゲームについてはプレイヤー間で話し合いが行われ協力行動が起こると考えその表現形式として提携形ゲームを定義したとされています。この『ゲーム理論と経済行動』の反響は非常に大きかったとされています。


1-4. 1950年代

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1950年代ではノイマンの講義を受けたジョン・ナッシュが非協力ゲーム(non-cooperative game)を定義し、非協力n人ゲームの均衡点であるナッシュ均衡の存在を証明したとされています。またナッシュは「交渉と妥協点」の理論を構築したナッシュの交渉解についての理論も構築しています。このナッシュの交渉理論では「非協力ゲームの状況からいかにしてプレイヤーが協力ゲームの状況へ移行するか」という問題を提起しており、この問題はナッシュ・プログラムと呼ばれる重要な研究テーマとして現在も取り組まれているとされています。


1-5. 1960年代

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1960年代ではゲーム理論の研究が一般的均衡理論に新たな展望をもたらし、従来の一般均衡理論がゲーム理論の特殊ケースと見なされるようになったことで、ゲーム理論が本格的に一般の経済学者からも受け入れられるようになったとされています。


2. まとめ
#2では前史〜1960年代までのゲーム理論について取り扱いました。
#3では1970年以降のゲーム理論についての研究史について取り扱います。