ゲーム理論の概論④(ゲーム理論の応用分野)|ゲーム理論について #4
ゲーム理論に関するシリーズとして、諸々取り扱っています。
まず手始めにゲーム理論の概論ということで、Wikipediaを確認しています。
#3では1970年代〜2000年代のゲーム理論について取り扱いました。
ゲーム理論の概論③(ゲーム理論の研究史2)|ゲーム理論について #3 - lib-arts’s diary
#4ではゲーム理論の応用分野について取り扱います。内容について全て取り扱うと大変なので、いくつか抜粋して取り扱います。
以下目次になります。
1. ゲーム理論の応用分野
1-1. 生物学
1-2. 教育学・教育政策
1-3. コンピュータ科学
1-4. 交通工学
1-5. スポーツ
1-6. 経済学
2. まとめ
1. ゲーム理論の応用分野
1-1. 生物学
生物学への応用としては、メイナード・スミスが進化ゲーム理論(evolutionary game theory)と呼ばれる分野の基礎を作ったとされています。この進化ゲーム理論においては、非協力ゲームのモデルを動物の闘争や共存の分析に適用して、ナッシュ均衡よりも強い進化的に安定な戦略(evolutionarily stable strategy)と呼ばれる概念を提示して、集団の安定な状況としての戦略を分析したとされています。一旦はキーワードだけでも抑えておくと良さそうです。
1-2. 教育学・教育政策
教育学への応用としては、学校選択制の運営が挙げられています。学校選択制はマッチング理論と類似の研究トピックであり、ボストン方式では児童や生徒が真の希望順位とは異なる希望順位を運営者に提出することで得をする可能性があるとなっていますが、これは受け入れ保留方式を導入することによって解決されたとまとめられています。
1-3. コンピュータ科学
コンピュータ科学への応用としては、マルチエージェントなどの複雑系などの議論に近い話が言及されています。インターネットなどが発達した状況下でのシステム設計において、ネットワークに接続されたコンピュータを上手く協調させる方法として、繰り返しゲーム理論が応用されているとなっています。
1-4. 交通工学
交通工学への応用としては、自動車の運転にあたってどの道を選択したら良いかという問題が挙げられています。単純に一番近い道を選択すると他の自動車との兼ね合いで渋滞になる可能性もあり、その点も考慮した上でナッシュ均衡によって交通量を予測することは理論上可能であるとされています。また、渋滞の予測だけでなく緩和を行うシステム設計にもゲーム理論が応用されており、ロンドンの渋滞緩和のために混雑税を導入し一定の成果を上げていることが具体例として挙げられています。
1-5. スポーツ
スポーツへの応用としては、実際のところスポーツの多くの場面はゼロサムゲームであるため、様々なスポーツがミニマックス理論と呼ばれるゲーム理論の枠組みによって研究されているとなっています。具体的な例としてはテニスのサーブが挙げられており、サーバーがサーブを右に打つか左に打つかは混合ナッシュ均衡戦略になっていることが述べられています。
1-6. 経済学
経済学への応用としては、厳しい独占規制を主張するハーバード学派と、市場の自然淘汰をくぐり抜けた企業こそ「適者生存」の具現であると考えるシカゴ学派とは違う、産業組織論の第三の潮流としてゲーム理論的な枠組みを用いた「新しい産業組織論(New Industrial Organization Theory)」が誕生したと言及されています。新産業組織論はゲーム理論的な手法を駆使することによって寡占市場をミクロ経済学的に分析することを可能にしたとされています。
2. まとめ
#4ではゲーム理論の応用分野について取り扱いました。
概要については一通り抑えることができたので、#5からは詳細について確認していきます。#5では囚人のジレンマに対するシミュレーションを用いたアプローチを実装したライブラリであるAxelrodについて見ていきます。
Welcome to the documentation for the Axelrod Python library — Axelrod 0.0.1 documentation