Ch.4 会計・ファイナンス②|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #12

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連載の経緯については過去記事に書いていますので省略します。詳しくは#1~3あたりをご確認いただけますと嬉しいです。#11ではCh.4の会計・ファイナンスのNo.37の損益分岐点分析からNo.39のバランススコアカードについて取り扱いました。
https://lib-arts.hatenablog.com/entry/business_framework11
#12ではNo.40のネットプレゼントバリュー(NPV)からNo.42の加重平均資本コスト(WACC)について取り扱えればと思います。
以下目次になります。

1. 4章まとめ②(会計・ファイナンス
1.1 NPV_ネットプレゼントバリュー(No.40)
1.2 フリーキャッシュフロー(No.41)
1.3 WACC_加重平均資本コスト(No.42)
2. まとめ


1. 4章まとめ②(会計・ファイナンス
1.1 NPV_ネットプレゼントバリュー(No.40)
・本の内容の要約
No.40のネットプレゼントバリューは、「投資する対象の事業、プロジェクトが生み出す将来のキャッシュフローの現在かち合計から初期投資がくを引いたもので、投資を決定するための評価指標の一つ」とまとめられています。NPVはプロジェクトの評価の方法として捉えられますが、根底の考え方としては未来に生まれてくる価値はリスクや時間的価値を考慮して割り引かなくては現在の価値と同じ土俵では評価できないというのがあるとされています。また、NPVを求めるにはNo.41のFCF(フリーキャッシュフロー)と、割引率に相当するWACCを求める必要があるとされています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「NPVは机上の空論ではないので現実のプロジェクトを反映するもので納得感のある前提を置く必要があること」と、「大前提として割引率のWACCが期間中変わらないことを置く必要があるなど、有効な手法である一方で前提ありきで成り立っていることは意識する必要があること」の二つがまとまっていました。

・読んでみての解釈
機械学習の文脈における強化学習と視点が似ているなと感じました。将来の報酬を割り引くというのも似た視点かと思います。利用にあたっては、厳密過ぎる予測は市場の変化に対応できなくなるので、必要以上に詳細な分析は行わない方が良いのではと思われました。

 

1.2 フリーキャッシュフロー(No.41)
・本の内容の要約
No.41のフリーキャッシュフロー(FCF; Free Cash Flow)は、「事業やプロジェクトの経済的価値を計算・評価する際に、隔年に生み出されるキャッシュフローとして用いる考え方で、『フリー』は資金提供者である株主や債権者に企業が自由に配分できるという意味」とまとめられています。フリーキャッシュフローの計算は図表41-1にあるように、
・FCF=営業利益(1-税率)+減価償却費-投資-△WC
とされています。ここでWCは「売掛金+棚卸し資産-買掛金」で、こちらの数式で追加のキャッシュが必要かどうかの判断を行います。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「将来のFCFを計算するためには、厳密にはP/LとB/Sの両方が必要となる一方で、詳細の予測は逆にミスリードをうむため予測のP/Lさえ使えれば良いように簡易化する方が一般的であること」と、「厳密な評価指標ではなく、あくまで投資やプロジェクトの評価の参考とするための指標と捉えるべきこと」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈
とにかくキャッシュフローの話を考えて、資金がショートしないようにというのが目的だと思います。P/LやB/Sだけではこの辺が把握できない際などもあるので、資金需要の計算の際はベースには置いておくと良いのかなと思いました。

 

1.3 WACC_加重平均資本コスト(No.42)
・本の内容の要約
No.42の加重平均資本コスト(WACC; Weighted Average Cost of Capital)は、「借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均して求めた資本コスト」とまとめられています。要は企業が1円を調達するのにいくらのコストがかかっているかを示すもので、債権者と株主の利回り期待を加重平均(量の大小を考慮して平均を取ること)したものとなります。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「負債活用は金利が低い際は有効な手段な一方で有利子負債を抱えない過ぎないようには気をつけなければならないこと」と、「負債の額やコストは決算を見ればわかるが、様々な変動要因も多いので、実際には多面的に判断する必要があること」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈
数式は若干難しそうですが、加重平均だということを意識して読み解ければさほど難しくないかと思います。
1円単位に換算して、利回りの目標を立てるのに使えそうです。

 

2. まとめ
若干テクニカルな内容が主でしたが、厳密な分析にこだわらず概念として把握しておくというのに主眼を置くのが良いのではないかと思われました。この手の分析は詳細にやればやるほどミスリードや混乱を生むので、シンプルに簡潔に行うべきだというのを企業のカルチャーとして根付かせていくのが良いのではと思いました。