ハミルトニアンとエネルギー保存則|オムニバス形式で確認する解析力学 #1
時折、解析力学的な話題が上がってくるので、必要に応じてまとめておければということで、オムニバス形式で解析力学について確認していきます。
#1では近年Hamiltonian Monte Carlo法としてMCMCサンプリングで用いられる、ハミルトニアンについて、解析力学の視点から簡単に確認できればと思います。この記事では高校物理のバネの単振動の問題において、運動量とハミルトニアンを導入した際のエネルギー保存則について確認していきます。
以下目次になります。
1. 問題設定と運動方程式について
2. エネルギーの保存則と等エネルギー曲線について
3. まとめ
1. 問題設定と運動方程式について
1節では問題設定と運動方程式について確認します。単振動の問題なので、運動方程式は
となります。この式は、時刻の変位をとした上で、
のように表すこともできます。この際にの上のドットは微分を表しており、加速度のは変位の二階微分であることを意味しています。また、速度は変位の一階微分なので、のように表すことができます。
すなわち、上記が成立します。
また、ここで運動量についても導入を行います。
運動量は上記のように質量と速度の積として表すことが可能です。
単振動の問題設定や運動方程式の概要については概ねご紹介できたかと思いますので1節はここまでとします。
2. エネルギーの保存則と等エネルギー曲線について
2節ではエネルギーの保存則と等エネルギー曲線について取り扱います。まず、単振動の問題においてエネルギー保存則として下記が成立するというのは高校物理のトピックです。
この式の左辺の速度を運動量に変換すると下記のようになります。
上記を元にハミルトニアンを下記のように定義します。
ここで運動量と変位の時間微分は運動方程式を用いて下記のようにハミルトニアンの偏微分として表記できます。
上記より、ハミルトニアンは時間によって一定であることが確認できます。
また、エネルギー保存則の式である上記をとについて見た際に、楕円の方程式であるの形に整理できることから、とをそれぞれx軸、y軸と考えた際に楕円曲線を描くということがここでわかります。
この曲線のことを等エネルギー曲線と呼び、この曲線は初期値とに依存して楕円軌道を描きます。
3. まとめ
#1では単振動問題において解析力学的な視点からハミルトニアンの導入やエネルギー保存則について確認しました。問題自体は高校物理のレベルですが、運動量やハミルトニアンの導入自体はもう少し高度なトピックなので式変形には慣れておきたいところです。