加法定理とその導出|三角関数の公式を完全に理解する #1
様々な利用シーンで役に立つ三角関数ですが、意味を抑えること自体はそれほど難しくない反面、加法定理、二倍角の定理などのような公式が多くなかなか大変です。ということで「三角関数の公式を完全に理解する(少々タイトルは盛りました)」をテーマに新規のシリーズを始めます。
#1では加法定理とその導出について取り扱います。主に下記を参考に進めます。
以下当記事の目次になります。
1. の導出
2. の導出
3. まとめ
1. の導出
1節ではの導出について取り扱います。
https://ja.wikibooks.org/wiki/高等学校数学II/いろいろな関数#加法定理の導出
基本的には上記の導出を確認します。
まず、単位円を考えた際に角の表す点を、角の表す点をとした際にベクトルは下記のようになります。
①
また、角の表す点を、角の表す点をとしたとき、はベクトルを角だけ時計回りに回転させたベクトルに等しくなります。少し話が複雑ですが、以下の図と見比べると理解しやすいと思います。
上記のようにそれぞれ点をおいた際に、ベクトルは下記のように表すことができます。
また、回転行列をと置いた際にであるので、は下記のように計算できます。
②
①と②より下記が成立します。
上記の成分に着目すると、下記が成立します。
上記を整理すると、を導出することができます。
2. の導出
2節ではの導出について取り扱います。
上記は1節で導出した式ですが、こちらの成分に着目すると下記が成立します。
上記を整理すると、を導出することができます。
3. まとめ
#1では加法定理の導出について行いました。余弦定理を用いるよりも回転行列を用いる方が導出を抑えておきやすいのではと思われました。
#2では2倍角の定理について取り扱います。