Ch.4_参加型リーダーのマインドセット(後編)|『H.ミンツバーグ経営論』読解メモ #6

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課題本として、「H.ミンツバーグ経営論」を設定したので読み進めていきます。

H.ミンツバーグ経営論 | 書籍 | ダイヤモンド社

#1、#2では第1章のマネジャーの職務(その神話と事実の隔たり)についてまとめました。

Ch.1_マネジャーの職務(前編)|『H.ミンツバーグ経営論』読解メモ #1 - lib-arts’s diary

Ch.1_マネジャーの職務(後編)|『H.ミンツバーグ経営論』読解メモ #2 - lib-arts’s diary

また、#3では第2章の「計画は左脳で経営は右脳で」について、#4では第3章の『プロフェッショナル組織の「見えない」リーダーシップ』についてを取り扱いました。

Ch.2_計画は左脳で経営は右脳で|『H.ミンツバーグ経営論』読解メモ #3 - lib-arts’s diary

Ch.3_プロフェッショナル組織の「見えない」リーダーシップ|『H.ミンツバーグ経営論』読解メモ #4 - lib-arts’s diary

#5、#6ではそれらを受けて第4章の『参加型リーダーのマインドセット』を取り扱います。#5では前半として「分析:組織のマネジメント」までを取り扱いました。

Ch.4_参加型リーダーのマインドセット(前編)|『H.ミンツバーグ経営論』読解メモ #5 - lib-arts’s diary

#6では#5に引き続き第4章の「広い視野:外部環境のマネジメント」からを取り扱います。

以下、目次になります。
1. 広い視野:外部環境のマネジメント
2. コラボレーション:リレーションシップのマネジメント
3. 行動:変革のマネジメント
4. 五つのマインドセットを縫い合わせる
5. 感想・まとめ


1. 広い視野:外部環境のマネジメント
我々の暮らす地球も外から眺めれば均質に見えると思われる。「グローバリゼーション」という概念は、やや離れたところから世界を眺めようとするもので、世界の各地で同じような行動が実行されることを前提としており同時にそれを奨励する。
一方で世界をより詳しく眺めるとやや違った姿が浮かび上がってきて、均質どころかありとあらゆる異質な分子から成り立っていることがわかる。だからこそマネジャーには教養面でも実務面でも人生経験を積んで広い視野を身につけるように奨励すべきではないかと思われる。言い換えれば他人の立場に身を置き、その習慣や文化を理解したり外の世界に足を踏み入れそれによって自分たちの世界をあらためて理解したりするべきではないかと思われる。
この際にグローバルに活動していてもグローバルな視点が身につくとは限らないことに注意が必要である。結論としては、グローバル・マネジャーは飛行機で世界をただ飛び回るだけでなく、多彩な経験の上にしっかりと立脚してこそ、広い視野を習得できる。外の世界に目を向けることで、内なる世界を従来とは異なる視点で眺められるようになる。状況をマネジメントするとは、組織とその外に広がる様々な世界との関係、つまり文化、業界、他社などとの関係をマネジメントすることに他ならない。
マネジャーに広い視野が求められるのも頷ける話で、組織は多様な状況に直面するので、守備範囲を広くしなければならない。


2. コラボレーション:リレーションシップのマネジメント
改めて言うまでもない話ではあるが、マネジメントとは他者とともに働くことである。上司や部下だけでなく、同僚や事業パートナーとも強調していかなければならない。コラボレーション(協働)の美徳がさかんに唱えられているが、狭義に考えられていることも多い。経済理論の影響から人間を「人的資源」あるいは「人的資産」と呼び、移動、売買、統合、はたまたダウンサイジングできると見なす姿勢は到底コラボレーションを重んじているとはいえない。
コラボレーションのマネジメントとは、人のマネジメントよりもむしろリレーションシップ、つまりチーム、プロジェクト、部門間の連携、企業間のアライアンスなどに関係しているとも考えることができる。コラボレーションの意識を高めるには権限委譲にとどまらず、献身が欠かせず、英雄型のマネジメントスタイルから離れて周囲に溶け込むことが求められる。
今日では、ネットワーク、チーム、タスクフォース、アライアンス、ナレッジワークなどがしきりに話題に上るが、多くの人はいまだにマネジャーとは「上」に位置するものというイメージを抱いたままである。しかしそのような状態ではリレーションシップのマネジメントなどは土台無理であるだろうと思われる。
コラボレーション志向とは、人と人との間に身を置き、目標にたどり着くまでずっと粘り強く取り組めるという意味である。


3. 行動:変革のマネジメント
組織を荒馬に引かれる馬車に見立てて見たとして、荒馬たちを組織全員の情熱、志、動機などを象徴していると考えるとする。この際、一筋の道を着実に進んでいくのは方向転換を図るのと同じくらい大きな技量が求められる。
行動とは人々の上に立つ人にとって荒馬をむやみに走らせることとは違い、むしろ環境を適切に見極めその環境の中でチームに何ができるかを考えた上で方向を定め、みんなをそちらの方向へと導いていくことである。
行動マインドの肝は変革を要する事柄に人々の熱意を向け、同時に他の事柄については慎重に現状維持を図ることに他ならない。変革からなんらかの成果を生み出そうとしても、決められたスケジュールにただ従うだけでは、あるいは公式通りに動いただけでは期待外れに終わる。自然の成り行きに合わせながら行動と内省を融合させていくべきである。


4. 五つのマインドセットを縫い合わせる
改めて述べるまでもないが、ここまでの五つのマインドセットについて綺麗な境界線を引けるわけではない。それぞれに違った呼称をつける必要はあるにせよ、互いに重なり合う部分があり、呼称や比喩だけでは表現しきれない。
一人一人のマネジャーが五つのマインドセット全てを確実に身につける必要があるが、それぞれが補完し合えれば良いので、組織を作り上げていく上ではそれぞれのマネジャーの強みを出し合うことでコラボレーションを生み出すようにすることも重要である。実際、優れた組織はマネジャーたちのマインドセットをうまく融合し、目覚ましい成果を引き出している。


5. 感想・まとめ
#6では第4章の「計参加型リーダーのマインドセット」の後半の「広い視野:外部環境のマネジメント」からを取り扱いました。参考になったのですが、抽象的な話が多くもう少しロジカルな論述の方が嬉しい印象でした。
#7では同じく第5章の後半として、「マネジメントに正解はない」を取り扱います。