テイラー展開とマクローリン展開①(概要)|オムニバスでまとめる大学数学 #5

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当シリーズは大学数学をオムニバス形式で取り扱っていきます。
#1、#2では解析学の歴史について取り扱いました。

#3では複素解析(complex analysis)の概要について、#4ではオイラーの公式について取り扱いました。

https://lib-arts.hatenablog.com/entry/math_la4
#5では#4のオイラーの公式の簡易証明で用いたマクローリン展開について見ていきます。マクローリン展開テイラー展開の特別なケースなので主にテイラー展開についても取り扱います。
以下のWikipediaの記事をベースにまとめていきます。

テイラー展開 - Wikipedia
以下、目次になります。
1. テイラー展開とその特殊なケースであるマクローリン展開
2. テイラー展開級数の係数の導出
3. まとめ


1. テイラー展開とその特殊なケースであるマクローリン展開
1節ではテイラー展開の概要とその特殊なケースとしてマクローリン展開についてご紹介します。

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テイラー展開 - Wikipedia

Wikipediaの概要では上記のように記載されています。「テイラー級数(Taylor series)は関数のある一点での導関数の値から計算される項の無限和として関数を表したもの」とされています。またこのような級数を得る事をテイラー展開であるとされています。テイラー級数はフォーマルにはイギリスの数学者のブルック・テイラーによって1715年に導入されたとあります。
f(x)=\sum_{n=0}^\infty \frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n
数式としては関数f(x)の点aの周りで上記のように近似を行います。
またa=0を中心とするテイラー級数はマクローリン級数(Maclaurin series)とも呼ばれ、これはスコットランドの数学者のコリン・マクローリンにちなんでいます。

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上記は指数関数のf(x)=exp(x)テイラー展開したものですが、こちらを確認するとわかりやすいです。上記は指数関数において0を中心に0次〜n+1次までの項の和となっています。次数が増えるにつれて関数の近似の精度が高くなっている事がわかります。

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また上記は冒頭の図ですが、こちらも最大の次数が大きければ大きいほど正確な近似になるようになっています。
ここまでで大体の概要がつかめたので、1節はここまでとします。2節ではここまでの内容を踏まえながら級数の係数の導出を通して、式の形について考察していきます。


2. テイラー展開級数の係数の導出
簡易化のためにまずはマクローリン展開の係数の導出を行っていきます。
f(x)=\sum_{n=0}^\infty \frac{f^{(n)}(0)}{n!}(x)^n
マクローリン展開は上記のような数式で表す事ができます。係数を未知とした上で、3次の項まで書き出してみます。
f(x)=a_{0}+a_{1}x+a_{2}x^2+a_{3}x^3
上記のように書き出す事ができます。この際にf(0)f(x)x=0を代入したものなので、f(0)=a_{0}となります。次に1次微分についても求めてみます。f^{(1)}(x)=a_{1}+2a_{2}x+3a_{3}x^2となるため、f^{(1)}(0)=a_{1}となります。同様に2次微分f^{(2)}(x)=2a_{2}+2×3a_{3}xとなるので、f^{(2)}(0)=2a_{2}となります。
これらの結果から、a_{n}=\frac{f^{(n)}(0)}{n!}を導出する事ができます。
この導出においてx=0の代わりにx=aとする事でテイラー展開の係数の値も導出する事ができます。
これらの導出を通してテイラー級数やマクローリン級数が関数を多項式で近似していくというイメージがよりつかめるかと思います。


3. まとめ
#5ではテイラー展開マクローリン展開について取り扱いました。
#6では具体的な関数を題材にテイラー展開マクローリン展開について見ていければと思います。