固有値・固有ベクトル①(固有値・固有ベクトルの計算)|行列〜線形代数の基本を確認する #3
当シリーズでは高校〜大学教養レベルの行列〜線形代数のトピックを簡単に取り扱います。#1では外積の定義とその活用について、#2では逆行列の計算について簡単に取り扱いました。
#3から何度かに分けて固有値・固有ベクトルについて取り扱います。#3では2行2列の行列に対して固有値・固有ベクトルの導出について取り扱います。
当記事では下記を主に参考にして確認していくことにします。
以下、目次になります。
1. 固有値(eigenvalue)の計算
2. 固有ベクトル(eigenvector)の計算
3. まとめ
1. 固有値(eigenvalue)の計算
1節では2行2列の行列の固有値(eigenvalue)の計算について取り扱います。固有値はを満たすスカラーののことです。
計算にあたって、の具体的な値がわかっている方がイメージがつきやすいと思いますので、の固有値を求めるとします。固有値は下記の方程式の解と一致します。
上記において、は行列式、は単位行列を表すものとします。よって、の行列式がとなるときのを求めれば良いということになります。
上記より、が成立し、これが行列の固有値となります。
また、固有値の導出の際の計算でを用いましたが、が対称行列である際は基本的にこの因数分解の式が使えるので抑えておくと良いかと思います。
固有値の計算について簡単に認できたので1節はここまでとします。
2. 固有ベクトル(eigenvector)の計算
2節では固有ベクトル(eigenvector)の計算について取り扱います。1節と同様にの固有ベクトルを求めることとします。
固有ベクトルの計算にあたっては、に求めた固有値のを代入することでを求めます。1節でを求めたので、以下それぞれについて固有ベクトルを求めます。
・のとき
より、が得られます。これによって固有ベクトルの(は任意の実数)が得られます。
・のとき
より、が得られます。これによって固有ベクトルの(は任意の実数)が得られます。
ここまでの導出により、の固有値に対応する固有ベクトルは(は任意の実数)、固有値に対応する固有ベクトルは(は任意の実数)であることがわかります。
3. まとめ
#3では固有値・固有ベクトルの計算について取り扱いました。
#4では固有値・固有ベクトルを用いた行列の乗について取り扱います。