逆行列の計算について|行列〜線形代数の基本を確認する #2

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当シリーズでは高校〜大学教養レベルの行列〜線形代数のトピックを簡単に取り扱います。#1では外積の定義とその活用について簡単に取り扱いました。

 #2では逆行列の計算について取り扱います。22列は公式に沿って簡単に計算できますが、33列より大きい行列の逆行列は少々大変なのでなるべく簡単に抑えておくと良いのではと思います。
当記事では下記を主に参考にして確認していくことにします。

線型代数学/逆行列 - Wikibooks

以下、目次になります。
1. 基本事項の確認、22列の行列の逆行列
2. nn列(n \geq 3)の行列の逆行列
3. まとめ


1. 基本事項の確認、22列の行列の逆行列
1節では基本事項の確認を行ったのちに22列の行列の逆行列について確認します。
まず、逆行列を考える上での前提理解を基本事項にまとめます。

n次正方行列(ここではAとおくことにします)に関して逆行列を考える
-> 正方行列はnn列の行列のことです。正方行列や正則行列など色々と出てきてややこしいため、可能な限り間違えないように注意しておくと良いと思います。

・行列A逆行列を持つときAは正則(regular)であるという
-> 正方行列と正則行列、正規行列など似たような名称が多いので注意しておきましょう。基本的には定義を丁寧に何度も確認するようにすると良いと思います。

逆行列は一意に定まる
-> A逆行列A^{-1}は一意に定まり、複数は存在しないことも抑えておくと良いです。

n次の単位行列I_nとした際にAX=I_nXA=I_nが成立すればAは正則であり、XA逆行列となる。
-> XA逆行列であるとき、AX=XA=I_nが成立することは抑えておきましょう。

({}^t A)^{-1} = {}^t(A^{-1})が成立する

上記は行列に関して取り扱う際に知っておく方が望ましいと思います。

次に22列の行列の逆行列について簡単に確認します。22\displaystyle A = \left(\begin{array}{rr} a b \\ c d \\ \end{array} \right)の行列の逆行列ad-bc \neq 0のとき下記のように計算することができます。

\displaystyle A^{-1} = \frac{1}{ad-bc} \left(\begin{array}{rr} d -b \\ -c a \\ \end{array} \right)

証明についてはAA^{-1}を実際に計算すると、単位行列\displaystyle I_2 = \left(\begin{array}{rr} 1 0 \\ 0 1 \\ \end{array} \right)が得られることで確認できます。

また、このとき計算したad-bcが行列A行列式で、det A = |A|のように定義されることも知っておくと良いです。


2. nn列(n \geq 3)の行列の逆行列
2節ではnn列の行列の逆行列について取り扱います。

線型代数学/逆行列 - Wikibooks

上記の記載を確認します。

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基本的には上記の定理1.1.7のように求めることができます。

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具体例も簡単に確認しておきます。上記の流れを抑えておくのが良いかと思います。
かなりざっくりとした取り扱いになりましたので、詳しく確認したいは下記を参照いただけたらと思います。

線型代数学/逆行列 - Wikibooks


3. まとめ
#2では逆行列の計算について取り扱いました。
#3では固有値固有ベクトルについて取り扱います。