外積の定義とその活用|行列〜線形代数の基本を確認する #1

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行列〜線形代数の分野は高校〜大学教養レベルの数学で取り扱われますが、大学の教科書の記載は読むのが大変であることが多いです。そこで基本的な内容を簡単にまとめようということでこちらをシリーズ化します。

#1では外積の定義とその活用について簡単に取り扱います。基本的な内容の取り扱いだけできれば良いので、下記を参考に進めます。

線型代数学/行列と行列式/第三類/外積 - Wikibooks

以下、目次になります。
1. 外積の定義の確認
2. 外積の活用
3. まとめ


1. 外積の定義の確認
1節では外積の定義の確認を行います。基本の確認だけできれば十分なのでここでは3次元ベクトルの外積のみを確認します。\displaystyle \vec{a} = \left(\begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ a_3 \\ \end{array} \right)\displaystyle \vec{b} = \left(\begin{array}{c} b_1 \\ b_2 \\ b_3 \\ \end{array} \right)とおいた際に、外積\displaystyle \vec{a} \times \vec{b}は下記のように定義します。

\displaystyle \vec{a} \times \vec{b} = \left(\begin{array}{c} a_2b_3-a_3b_2 \\ a_3b_1-a_1b_3 \\ a_1b_2-a_2b_1 \\ \end{array} \right)

上記が外積の定義ですが、外積は下記が成立することも抑えておくと良いと思います。

(A)   \displaystyle \vec{a} \times \vec{b} = -(\vec{a} \times \vec{b})
(B)   \displaystyle k(\vec{a} \times \vec{b}) = k(\vec{a}) \times \vec{b} = \vec{a} \times k(\vec{b})
(C)   \displaystyle \vec{a} \times (\vec{b}+\vec{c}) = \vec{a} \times \vec{b} + \vec{a} \times \vec{c}
(D)   \displaystyle (\vec{a} + \vec{b}) \times \vec{c} = \vec{a} \times \vec{c} + \vec{b} \times \vec{c}

上記の証明に関しては当記事では省略しますが、気になる方は下記を確認してみていただけたらと思います。

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2. 外積の活用
2節では外積の活用について確認します。外積は下記が成立するので、活用にあたっては下記を元に考えていくのが良いと思います。

(A)   \displaystyle \vec{a} \times \vec{b}\displaystyle \vec{a}\displaystyle \vec{b}の両方と直交する
(B)   \displaystyle \vec{a}\displaystyle \vec{b}が張る平行四辺形の面積S\displaystyle S = |\vec{a} \times \vec{b}|で計算できる
(C)   \displaystyle \vec{a}\displaystyle \vec{b}\displaystyle \vec{c}が張る平行六面体の面積V\displaystyle V = |(\vec{a} \times \vec{b}) \cdot \vec{c}|で計算できる

証明は当記事では省略しますが、気になる方は下記を確認してみてください。

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ここまでの記載より、外積は2つのベクトルと直交するベクトルを計算したり、二つのベクトルのなす平行四辺形の面積を計算したりに活用できることがわかります。


3. まとめ
#1では外積の定義と活用について確認しました。
#2では逆行列に関して取り扱います。