経験マーケティング、財務マーケティング、集中とニッチ、将来予測|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #8

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#7ではダイレクトメール(Direct Mail)、流通とチャネル(Distribution and Channels)、社員(Employees)、起業家精神(Entrepreneurship)について取り扱いました。

#8では経験マーケティング(Experimental Marketing)、財務マーケティング(Financial Marketing)、集中とニッチ(Focusing and Niching)、将来予測(Forecasting and the Future)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. 経験マーケティング(Experimental Marketing)
2. 財務マーケティング(Financial Marketing)
3. 集中とニッチ(Focusing and Niching)
4. 将来予測(Forecasting and the Future)
5. 感想・まとめ


1. 経験マーケティング_Experimental Marketing(簡単な要約)
通常マーケティングといえば、財やサービスのマーケティングのことをさしている。しかし、近年これからは財や製品に付随する経験をデザインを論じる経験マーケティングの時代だという主張もある。具体的には、一流レストランは料理そのものだけでなく雰囲気の良さを提供したり、スターバックスのコーヒーは2ドル以上するがより良いコーヒー体験を味わわせてくれたりなどである。近年様々な企業が顧客の経験に取り組んでいるが、この分野の第一人者といえばウォルト・ディズニー(Walt Disney)である。
経験マーケティングの目的はとりたてどうということもない出来事にドラマ性や娯楽性を付け加えることにある。小売業には必ずサービスの提供が伴うので、忘れがたい経験を顧客に提供できるかどうか、そこが勝負の分かれ目となる。

 

2. 財務マーケティング_Financial Marketing(簡単な要約)
財務的思考法がマーケターの好みに合わないこともあるかもしれないが、マーケターは財務的思考法に強くなるべきだ。財務にくらいマーケターが組織のトップに登りつめることはまずない。組織のトップは損益計算書キャッシュフロー計算書、貸借対照表、予算などを理解している必要がある。
今日の企業は株主価値を重視する傾向にあるということもあり、これからのマーケターにはマーケティング指標と財務指標を関連づける力が欠かせない。マーケターはマーケティング予算の全項目について、その正当性を証明するとともに、それらがどのような形で株主価値に貢献するかを示さなくてはならない。この点で有効なのがマーケティングコントローラーを任命することで、マーケティングコントローラーは財務の専門家であるのと同時にマーケティングプロセスとは何か、企業が勝つためには何が必要かを理解している。
マーケティングによって財務リターンを増加させる方法は基本的に下記の二つである。

1) マーケティング効率を高める
-> コストカットなどをうまく用いることで、マーケティングにおけるコストパフォーマンスを高める。

2) マーケティング効果を高める
-> より生産性の高いマーケティングミックスの探求を行う。

マーケティングの目的は売り上げを最大化するだけでなく、長期的な利益も最大化しなければならない。販売員は売り上げに注目するが、マーケターは利益に注目しなければならない。従ってトップマーケターは財務面にも詳しくなる必要がある。


3. 集中とニッチ_Focusing and Niching(簡単な要約)
マス市場は多数のニッチからなるため、マスマーケターにとって厄介な問題は、特定のグループをターゲットとし、彼らのニーズをよく満たすニッチャーの出現を自ら招いてしまう点である。これらの顧客グループが離脱して行くため、マスマーケターの標的市場は縮小することになる。
反対に、ニッチャーとして成功した企業が次にとるべき道は何であろうか?妥当な選択肢としては下記の三つが考えられる。

1) 同一ニッチに対してより多くの製品やサービスを販売する
2) ニッチ市場の中で潜在顧客、隣接顧客を掘り起こす
3) 他のニッチを探す

ニッチャーは必ずしも中小企業とは限らず、シュタイナー・オプティカル、テトラフードなど標的となるニッチを明確に定義した上で世界規模の展開を図り、知名度こそ低いものの高い収益性を誇っている会社も存在する。


4. 将来予測_Forecasting and the Future(簡単な要約)
将来の問題を予見できない企業は将来大きな問題に巻き込まれるようになる。企業がエコノミストコンサルタント、未来学者に頼る理由はここにある。
とはいえ、将来を予測するに当たっては慎重な姿勢が求められる。現状に基づいて将来を予測することは難しい。重要なのは不確実性を理解した上で予測を行うということである。


5. 感想・まとめ
#8では経験マーケティング(Experimental Marketing)、財務マーケティング(Financial Marketing)、集中とニッチ(Focusing and Niching)、将来予測(Forecasting and the Future)について取り扱いました。経験マーケティング、財務マーケティングの論述は参考になりました。集中とニッチに関しては他の本で読んだ内容なので参考程度に確認しました。将来予測に関してはいまいち結論がはっきりしなかったので、「不確実性を理解した上で予測を行うことが重要」という一文を自己解釈に基づいて加えました。
#9では目標と目的から取り扱っていきます。