市場、媒体、ミッション、新製品開発|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #14

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#13ではマーケティングミックス(Marketing Mix)、マーケティング計画(Marketing Plans)、マーケティングリサーチ(Marketing Research)、マーケティングの役割とスキル(Marketing Roles and Skills)について取り扱いました。

#14では市場(Markets)、媒体(Media)、ミッション(Mission)、新製品開発(New Product Development)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. 市場(Markets)
2. 媒体(Media)
3. ミッション(Mission)
4. 新製品開発(New Product Development)
5. 感想・まとめ

 

1. 市場_Markets(簡単な要約)
市場は様々に定義できる。経済学者は特定の製品もしくは製品クラスを巡って取引を行う売り手と書いての集まりが市場であるとされている。一方で、マーケターは売り手のことを「産業」と呼び、買い手のことを「市場」と呼ぶ。
当然のことながら、市場という言葉は広く定義することができる。最も広い定義は「マス市場」であり、ごくありふれた製品(石鹸、ソフトドリンクなど)を購買・消費する大衆を指す言葉として用いられる。また、マス市場の対極に位置するのが、特定の個人ないしは企業を指す「個別市場」という言葉である。
マーケターは慎重を期して「標的市場」を定義しなければならない。「マス市場」はあまりにも漠然としているので誰もが欲しがる製品を作るのは難しく、一部の人々に愛好される製品を作る方が簡単である。こうして定義されるニッチ市場やミニ市場を追い求めることにはマイナス面もあり、市場の細分化が進むと各セグメントにおける販売量が少なくなるため、それぞれの市場で1社もしくは数社しか生き残れないという事態になってしまう。
マーケティングの変化よりも市場の変化の方が速いため、経済、テクノロジー、文化が変化するにつれて、買い手の数、欲求、購買力も変わる。企業はこうした変化に気づかず、切れ味の鈍ったマーケティング活動を続けることがよくあるので注意が必要である。


2. 媒体_Media(簡単な要約)
企業は媒体(メディア)を活用しなければならない。媒体を活用しない企業はどれほど実際的な目的を掲げていようとも、存在していないに等しい。主要な媒体としては、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、カタログ、ダイレクトメール、電話、インターネットなどがある。そして、それぞれの媒体がコスト、リーチ(到達範囲)、フリークエンシー(露出頻度)、インパクトといった点に関して良い点悪い点を持っている。
今日では様々な広告媒体が発達しているので、企業は何十もの媒体チャネル、および媒体ビークルに予算を配分しなければならない。だからこそ今日ではターゲティングが決定的な意味を持つようになってきている。また、広告会社の人間はより費用対効果が高く、より注目を集めやすい広告ビークルを常に探し求めている。
媒体の将来を担うのは、テレビ、ラジオといったブロードキャスティングではなく、対象者を絞ったナローキャスティング(narrow casting)にシフトしてきている。


3. ミッション_Mission(簡単な要約)
企業が設立されたのはミッション(使命)を果たすためである。企業は様々な表現でそれぞれのミッションを謳っている。大抵のミッション・ステートメントには以下のような言葉が含まれている。

・社員は最も重要な資産である
・我々の手がける領域にてベストを目指す
・我々の目標は期待を超えることである
・株主に平均以上のリターンをもたらす

てっ取り早くミッション・ステートメントを作りたければこれらの文言を適当に並べ替えれば良い(こう言ってしまって良いのかというのもありますが)。
また、社員、見込み客、顧客に自社の存在意義を思い出して欲しければ名刺の裏面などにミッション・ステートメントを印刷しておくとよい。


4. 新製品開発_New Product Development(簡単な要約)
インテルの元戦略担当副社長のウィリアム・H・ダビドゥの言葉で、「優れた装置は研究室で発明されるが、優れた製品はマーケティング部門で発明される」というのがある。製品は単なるモノとしての装置以上の存在でなければならない。つまり、ある人の問題を解決するコンセプトでなくてはならない。製品は最終的には市場に投入されなければならないため、製品には「翼だけでなく着陸装置も」備えておく必要がある。
以下の三つの問いに答えることにより、開発にとりかかる前に新製品が成功するかどうかを高い確率で予測することができる。

・人々はこの製品を必要とするだろうか
・競合他社の提供物とは異なっており、しかもより良いものだろうか
・人々は進んで対価を払ってくれるだろうか

上記の回答に1つでもノーがあれば開発プロジェクトを始動させるべきではない。勝てるという確信が持てるまで、戦いに加わってはならない。
製品を開発するのは研究開発部門、エンジニアリング部門、製造部門、マーケティング部門の全ての部門が顧客の力を借りながら開発するというのが正しい。新製品の結果に責任を追うのは研究開発部門とマーケティング部門ということになり、少なくとも販売部門でないことは確かである。
また、あらゆる競合他社が当該製品を研究し弱点を発見しようとしているため、競合他社が改良する前に自ら改良することが重要である。他社が自社製品を陳腐化させる前に、自らの手で陳腐化させるべきである。企業は何事かをなすためのコストに過度に注目するが、事をなさないために生じるコストにもっと目を向けるべきである。


5. 感想・まとめ
#14では市場(Markets)、媒体(Media)、ミッション(Mission)、新製品開発(New Product Development)について取り扱いました。市場と産業の違いは買い手と売り手に注目することで区別するというのが非常に興味深かったです。また、ミッションについてはてっ取り早くするには無難なものを並べるだけで良いと書かれていたのは結構驚きでした。媒体についても今日の多様化に対して、ターゲティングが重要になってきているというのが非常に参考になる論述でした。
#15では機会(Opportunity)以後について取り扱います。