国際マーケティング、インターネットとEビジネス、リーダーシップ、ロイヤルティ|『コトラーのマーケティング・コンセプト』読解メモ #11

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課題本として、「コトラーマーケティング・コンセプト」を設定したので読み進めていきます。

コトラーのマーケティング・コンセプト | 東洋経済STORE

#1ではまえがきと序文について、#2以降では3~4トピックずつ取り扱っています。

#10では実戦とコントロール(Implementation and Control)、情報と情報分析(Information and Analytics)、イノベーション(Innovation)、無形資産(Intangible Assets)について取り扱いました。
https://lib-arts.hatenablog.com/entry/kotler_marketing10
#11では国際マーケティング(International Marketing)、インターネットとEビジネス(Internet and E-Business)、リーダーシップ(Leadership)、ロイヤルティ(Loyalty)について取り扱います。
以下、目次になります。
1. 国際マーケティング(International Marketing)
2. インターネットとEビジネス(Internet and E-Business)
3. リーダーシップ(Leadership)
4. ロイヤルティ(Loyalty)
5. 感想・まとめ

 

1. 国際マーケティング_International Marketing(簡単な要約)
国内市場のみに習熟した企業はやがてその国内市場を失うことになる。強力な外国企業が参入し、勝負を挑んでくることは避けられないからである。
企業にとって最も望ましい成長の道筋は、地域化もしくはグローバル化することである。関税、言葉・文化の違いなどの障害やリスクなどを鑑み、海外進出には大抵の企業が躊躇する。一方で、リスクの分散や製品の向上の機会といった刺激を得られるなどメリットもある。
しかし、海外進出する際には製品やマーケティングミックスを当該市場に適合させる必要がある。ネーミングひとつとっても文化圏が違うと注意が必要である。
企業がグローバル企業へと発展していくにあたっては以下の5つの段階を踏む。

1) 消極的に輸出
2) 流通業者を使って積極的に輸出
3) 海外に営業所を設置
4) 海外工場を設置
5) 海外に地域本部を設置

海外進出を果たした当初はカントリーマネジャーの企業家精神を尊重し、運営管理のコントロールが比較的穏やかになる傾向にある。その後に、グローバルな計画立案や意思決定プロセスを標準化するため、次第に戦略的コントロールが強化されるのが一般的である。
企業が最も成功を収められるのは、既存企業がニーズを満たしていない、巨大な標的市場を見出した時である。この標的市場に向けて容易に真似できない新たな価値を創出するとともに当該市場に奉仕しようという意識を社内に根付かせることができれば、成功の確率は大きく高まる。
地域担当の管理者を任命する際には以下の二つの問題が生じる。

1) 地域管理部門を本部に設置するか、当該地域の首都に設置するかという問題
2) 地域担当管理者を本部の利益代表とするか、カントリーマネジャーの利益代表とするかという問題

カントリーマネジャーが大幅な自由裁量を認められることもあるが、その場合でもある程度の本社の介入を受ける可能性があることに注意が必要である。


2. インターネットとEビジネス_Internet and E-Business(簡単な要約)
インターネットの登場は事業をより効率的に運営する上で、抜本的とも言える新たな可能性を開くことになった。インターネットはコミュニケーション、購買、販売のための、極めて優れた新しい基盤を提供した。インターネットをいち早く活用した企業は後発の企業に比べて大幅なコスト削減が可能になった。
インターネットのもたらす恩恵は多種多様であるが、ほかの応用例を押しのけて一般の耳目を集めたのは電子商取引である。電子商取引の登場で、インターネットは販売チャネルとして利用されるようになった。


3. リーダーシップ_Leadership(簡単な要約)
全てのマネジャーはリーダーであるべきだが、ほとんどのマネジャーは管理者にとどまっている。大半の時間を予算や組織図、コスト、コンプライアンス(法律遵守)などの細々した事柄に使っていたらそれは管理者である。リーダーになるためには、人と接する時間、機会を探し求める時間、ビジョンを描く時間、目標を設定する時間を増やさなくてはならない。リーダーには優れたセールススキルが求められる。対照的に、稚拙なマネジャーは、指令と統制に頼って自分のアイデアを実現しようとする。
リーダーはビジョンと人柄によって尊敬を集められる人物でなければならない。フォロワーがリーダーは自分たちに尽くしてくれていると確信するようでなければならない。真のリーダーシップはフォロワーのために発揮されるべきであり、リーダー自身の利益のために発揮されてはならない。献身的なフォロワーを得られた時、リーダーシップは最大の力を発揮する。
CEOの主な仕事はメンバー相互が緊密に協力し、一丸となって企業の主要目標の達成を目指すような専門家チームを作り上げることである。優秀なリーダーはイエスマンを嫌い、同僚からの忌憚のない意見を求める。そのためにリーダーは建設的に議論を戦わせ、想像的に思考することを奨励する。大局的なものの見方を促し、全力を尽くした上での誤りならば咎めようとしない。
ちなみにマーケティングに関していえば、実に多くのCEOがマーケティング費を単なるコストと見なし、出費の大部分が投資であるという事実を見落としているので注意が必要である。


4. ロイヤルティ_Loyalty(簡単な要約)
ロイヤルティ(忠誠心)とは国や家族、友人に対して深く傾倒した状態を指す、古めかしい言葉である。その言葉がブランドロイヤルティという形でマーケティングの世界でも用いられるようになった。アップルのマッキントッシュユーザーは利便性とは全く違う理由で切り替えを考慮しない。BMWのファンもメルセデスに切り替えようとはしない。顧客の相当数が他社に切り替える意思を持たない場合、その企業は高いブランドロイヤルティを享受しているといえる。
ロイヤルティの高い顧客を確保するには利益のあがる顧客と利益のあがらない顧客を差別することが必要である。賢明な企業は自社の提供物から最も高いベネフィtとを得られるような顧客層を特定し、明確な定義を与えている。こうした顧客はロイヤルティを持続する可能性が最も高く、長期に渡って現金収入をもたらすとともに、口コミで次々と新規顧客を呼び込んでくれる。これがロイヤルティの高い顧客からもたらされる見返りである。
企業はロイヤルティの高い顧客に報いるべきであるが、極めて多くの企業が既存顧客よりも新規顧客の方を優遇していることに注意が必要である。
また、顧客ロイヤルティの向上は、全ての企業が目指すべき事柄であるが、ロイヤルティが競合他社が自社製品の全てを凌駕する強力な価値提案を示してきた際にそれでも顧客を引き止められるほど強力なものではない。



5. 感想・まとめ
#11では国際マーケティング(International Marketing)、インターネットとEビジネス(Internet and E-Business)、リーダーシップ(Leadership)、ロイヤルティ(Loyalty)について取り扱いました。気になったのはマーケティングはコストではなく投資であることについての論述でした。リーダーシップの本題とは関係ないのですが、マーケティングをコストとみなしがちだったので、この辺は少々考え方を修正するように意識したいポイントでした。またロイヤルティの記述が非常に興味深く、執筆当時よりもさらに便利になったこの頃では、従来よりもロイヤルティという要素が多様化してきているのではと感じます。
#12ではマネジメント以降について取り扱います。