Ch.8_トップマネジメント|ドラッカーを読み解く #6

f:id:lib-arts:20181231165102p:plain

ビジネス本の名著とされているドラッカーですが、非常に良い本な反面、抽象的で読み解きにくいところもあるので読み解いた内容を元に諸々解説をまとめておければと思います。
エッセンシャル版を前提に読み解く上での参考になればということでまとめさせていただきます。
#1では第1章、#2では第3章、#3では第5章、#4では6章、#5では7章について取り扱いました。

Ch.1_企業の成果|ドラッカーを読み解く #1 - lib-arts’s diary

Ch.3_仕事と人間|ドラッカーを読み解く #2 - lib-arts’s diary

Ch.5_マネジャー|ドラッカーを読み解く #3 - lib-arts’s diary

Ch.6_マネジメントの技能|ドラッカーを読み解く #4 - lib-arts’s diary

Ch.7_マネジメントの組織|ドラッカーを読み解く #5 - lib-arts’s diary
#6では第8章のトップマネジメントについて取り扱えればと思います。
以下目次になります。

1. トップマネジメント(Ch.8)
1-1. トップマネジメントの役割(Section37)
1-2. トップマネジメントの構造(Section38)
1-3. 取締役会(Section39)
2. まとめ

 

1. トップマネジメント(Ch.8)
1-1. トップマネジメントの役割(Section37)
・本の内容の要約
トップマネジメントの役割は多元的であるとされており、以下の6つが挙げられる。

① 事業の目的を考える役割
-> 「我々の事業は何か、何であるべきか」を考え、それに基づいて目標の設定、戦略計画の作成、意思決定を行うという役割がある。

② 組織全体の規範を定める役割
-> 組織の規範や基準を定め、主たる活動分野においてビジョンと価値基準を設定しなければならない。

③ 組織を作り上げ、それを維持する役割
-> 人材や特に次世代のトップマネジメントを育成し、組織の精神を作り上げねばならない。トップマネジメントの行動、価値観、信条は組織にとっての基準となり、組織全体の精神を決める。加えて組織構造も設計しなければならない。

④ 渉外の役割
-> 顧客、取引先、金融機関、労働組合、政府機関との関係やそれらとの関係から、環境問題、社会的責任、雇用、立法に対する姿勢についての決定や行動が影響を受ける。

儀礼的な役割
-> 行事や夕食会への出席など数限りない儀礼的な役割があり、むしろ大企業よりも地場の中小企業のトップマネジメントにとって逃れることのできない時間のかかる仕事である。

⑥ 重大な危機に対して自ら取り組む役割
-> クリティカルな状況では最も経験があり、最も賢明で、最も傑出した者が腕をまくって取り組まねばならない。

あらゆる組織においてトップマネジメントの機能は不可欠であるが一方で、具体的な仕事は組織によって異なり組織それぞれに特有である。重要な問題はトップマネジメントとは何かではなく、「組織の成功と存続に致命的に重要な意味を持ち、かつトップマネジメントだけが行いうる仕事は何か」である。
トップマネジメントに課される役割は、各種の能力や性格を必要とし、少なくとも「考える人」「行動する人」「人間的な人」「表に立つ人」の四種類の性格が必要となるが、これら四つの性格を合わせ持つ者はほとんどいないと思われる。
トップマネジメントの役割が、課題として常に存在していながら仕事としては常に存在しているわけではない事実と、トップマネジメントの役割が多様な能力と性格を要求しているという事実とがトップマネジメントの役割の全てを複数の人間に割り当てることを必須にする。

 

・読んでみての感想、考察
客観的な視点から言語化がされており、なかなか興味深い内容でした。経営者の本などではこの辺は生存者バイアスのかかった特殊解的な内容になりがちで、再現性がないケースもあるのでそういう意味ではなかなかない視点から書かれていて非常に参考になります。
トップマネジメントが引き受けなければいけない役割は個人で受けるには大変なので、Section38でチームによる仕事として繋がる流れは意識したいポイントだと思われました。

 

1-2. トップマネジメントの構造(Section38)
・本の内容の要約
トップマネジメントとは、一人ではなくチームによる仕事である。トップマネジメントの役割が要求する様々な体質を一人で合わせ持つことは不可能である。健全な企業では、組織図における肩書きの如何に関わらず、トップマネジメントの役割はほとんど常にチームで遂行している。役割の分担にあたっては、トップマネジメントの役割の一つ一つをトップマネジメントのメンバーに直接かつ優先的に割り当てると良い。また大企業においては、トップマネジメントの責任を担うものはトップの役割ではない責任を担わなくても済むようにする必要がある。
トップマネジメントがチームとして機能するためには、いくつかの厳しい条件を満たさなければならない。人間関係にかかわりなく、トップマネジメントチームは機能しなければならない。詳細は以下を意識すると良い。

① トップマネジメントのメンバーは、それぞれの担当分野において最終的な決定権を持たねばならない
② トップマネジメントのメンバーは、自らの担当分野以外において意思決定を行ってはならない
③ トップマネジメントのメンバーは仲良くしたり尊敬したりする必要はないが、攻撃しあってはならない。
④ トップマネジメントは委員会ではなく、チームであり、キャプテンがいる。キャプテンはボスではなくリーダーである。
⑤ トップマネジメントのメンバーは自らの担当分野では意思決定を行わねばならないが、重要な決議や人事などのあらかじめ定めた問題については留保しなければならない。
⑥ トップマネジメントの仕事は、意思の疎通に精力的に取り組むことを要求する。それは各メンバーがそれぞれの担当する分野で最大限の自立性を持って行動しなければならないからである。

 

・読んでみての感想、考察
Section22ではマネジャーはプレイングマネジャーであらねばならないとされていた一方で、トップマネジメントは他の責任を引き受けるべきでないとされていたのが印象的でした。
個人的にはいまいちしっくりきていないところもありますが、一つの考え方の指針として参考にできればと思いました。

 

1-3. 取締役会(Section39)
・本の内容の要約
機能する取締役会が必要とされるのは、以下の三つの理由からである。

① トップマネジメントに助言し、忠告し、相談相手となるだけでなく危機にあって英知と決断を持って行動できる機関が必要である。人事と組織について最高裁の役割を果たさなければならないなど、審査のための期間が必要である。
② 成果をあげられないトップマネジメントを交代させる機関が必要で、苦境にあるというよりは潜在能力を生かしきれてケースなどに交代が必要になってくる。
③ 渉外のための期間が必要である。

 

・読んでみての感想、考察
取締役会=トップマネジメントという認識だったので、あまりしっくりきませんでした。
どちらかというと審査などを行う機関として書かれているようですが、企業のライフサイクルが早い現代だとちょっと時代に合わない印象を受けました。が、代替わりなども乗り越えていかねばならないケースでは必要な考え方の印象を受けました。

 

2. まとめ
他にない視点から考察されていた印象だったので、非常に参考になりました。
反面、現代では企業のライフサイクルが非常に早く創業者引退よりも新興企業が伸びてくる方が早い印象なので、この辺は少々意識した上で参考にする必要があるなと感じました。