指数関数の微分|基本関数の微分の公式を定義から導出する #1
微積分は数Ⅱ数Ⅲにおける重要なトピックですが、定義からの導出が比較的容易な数Ⅱの微分に対して、数Ⅲの微分はなかなか複雑です。そこで当シリーズでは基本関数の微分の公式を定義から導出を行えればと思います。
基本的には指数関数、対数関数、三角関数などを取り扱えればと思います。#1では指数関数の微分について取り扱います。
以下、目次になります。
1. の微分の導出
2. の微分の導出
3. まとめ
1. の微分の導出
1節ではの微分の導出について取り扱います。
基本的な方針は上記の1節ののオイラーによる定義と類似の変形を行います。まず準備として、とした上で、微分の定義式に基づいて導関数を考えます。
上記の分子において、が成立し、がと関係ないことから下記のように変形できます。
(1)
なので、を示すのが以下での目標になります。(オイラーの定義ではがこの式を満たすように設定するとされますが、ここではのみを用いることができるとします。
また、においてとすることで、
(2)
を導出することもできます。
さて、(1)式だけだとわかりにくいため、となるを導入し、以後変形を行います(ここでのとき、となります)。また、をについて解くとのようになります。
ここまでの議論により、(1)の分子を、分母をで置き換えると下記のようになります。
ここでは(2)式と同じ式のため、値はになります。よってが計算できます。
ここまでの議論により、が成立することがわかります。
2. の微分の導出
2節ではの微分の導出について確認します。基本的にはとできることより導出します。
合成関数の微分を利用することで、は下記のように導出できます。
よって、が導出できます。
1節と同様にのように変形し、を導出することによってを導出することもできます。
3. まとめ
#1では指数関数の定義に基づく微分について確認しました。
#2では同様に対数関数の定義に基づく微分について確認します。