Ch.2 戦略・マーケティング③|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #5

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連載の経緯については過去記事に書いていますので今回からは省略します。詳しくは#1~3あたりをご確認いただけますと嬉しいです。
#3ではCh.2の戦略・マーケティングのうち、No.8のPEST分析からNo.11の3C分析まで、#4ではNo.12のSWOT分析からNo.15のビジネスモデルまでを取り扱いました。
https://lib-arts.hatenablog.com/entry/business_framework3
https://lib-arts.hatenablog.com/entry/business_framework4
#5では同じくCh.2のNo.16の戦略キャンバスからNo.19のアンゾフの事業拡大マトリクスまでを取り扱えればと思います。
以下目次になります。

1. 2章まとめ③(戦略・マーケティング
1.1 戦略キャンバス(No.16)
1.2 VRIO(No.17)
1.3 プロダクト・ポートフォリオマネジメント(No.18)
1.4 アンゾフの事業拡大マトリクス(No.19)
2. まとめ


1. 2章まとめ③(戦略・マーケティング
1.1 戦略キャンバス(No.16)

・本の内容の要約
No.16の戦略キャンバスは、「競争のない状況(ブルーオーシャン)を目指す上で、取り除くべき要素、思い切り減らす要素、大胆に増やす要素、付け加えるべき要素の4つを可視化し、全体を俯瞰したもの」とまとめられています。この考え方はW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授が提唱したものです。
戦略キャンバスではまず、顧客にとって重要な価値がある要因(No.15のCVPも関連してそう)抜き出し、それぞれについて自社や競合がどのくらいそれらを満たすのかを把握した上で、「取り除き」、「思い切り減らす」、「大胆に増やす」、「付け加える」の四つのアクションを行うことでブルーオーシャンを作り出すという考え方です。この中でも特に重要なのが取り除くと付け加えるの2点によってドラスティックな変化を促すことだとされています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「最も難しいのは顧客にとって価値があって、なおかつ競合が気がついていない差別化軸を見出すことであり、それを実現するには地道な活動を行いながらも柔らかい頭を維持することが重要であること」と、「ブルーオーシャン戦略と必ずしもセットに考えないこと」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈
戦略キャンバスに関しては「取り除き」と「付け加え」は無意識的には考えられていたかなと思うのですが、今まで言葉としては認識していなかったので今後は意識的に用いていこうと思います。運用にあたっては要因の洗い出しがなかなか難しそうで、ここには思考力が求められそうです。データサイエンス的な視点からこのような戦略キャンバスを様々な変数から分析を作成するなどがあっても面白いのではとも思いました。
ヒューリスティックな直感的能力とロジカルな論理的思考力をいかに組み合わせていくかが鍵になりそうです。

 

1.2 VRIO(No.17)

・本の内容の要約
No.16のVRIOは、「ジェイ・B・バーニーが提唱した組織が持つ内部資源の有効活用可能性をチェックするフレームワーク」とまとめられています。VRIO(Value Rarity Imitability Organization)は、企業ごとに異質で複製に多額の費用がかかる経営資源を活用することによって競争優位を獲得しようとするRBV(Resource Based View)の考え方に基づくフレームワークです。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「経営資源の無価値化の可能性もあるので激動期においてはあまり既存の資源にこだわりすぎると足元を掬われることを意識する必要があること」と、「優れた経営資源に甘んじることなく、市場において独自の競争優位性を構築し続ける努力が不可欠であること」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈
ここでも戦略キャンバスにおける要因と同様に経営資源の分析が難しそうだなという印象を受けました。何を資源と見なすかによって分析や取りうるアクションの立案が全くもって変わってきそうです。『複製にどのくらいの費用がかかるのか』は割と着目しやすそうな観点なので、こちらをベースに考えていくとスムーズに進められそうな印象を感じました。

 

1.3 プロダクト・ポートフォリオマネジメント(No.18)

・本の内容の要約
No.18のプロダクト・ポートフォリオマネジメント(PPM)は、「BCGが開発した社内の事業を市場の成長率と早退シェアの2軸のマトリクス上にプロットし、自社の事業ポートフォリオの特徴を理解する分析」とされています。PPMは事業を複数持つ企業を想定しており、キャッシュフローの観点から資金を生み出す事業と、資金を投資しなければならない事業とを区別しバランスよく組み合わせることに焦点をあてることを目的とします。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「事業によってはシェアの経済性がきかない可能性があるなどPPMの理論的な弱点が指摘されていること」と「実務的に実感値と異なる値が出ることもあるため、意思決定よりも議論を触発するツールとして用いられることが多いこと」について言及されています。

・読んでみての解釈
外資系のマーケティングの方に伺った話だとこの辺の考え方などを用いてビジネスのポートフォリオの議論に用いているそうです。思考の整理ツールとして良さそうですが、確かに言及されているようにネガティブなポイントをそう見せないように工夫が必要そうです。

 

1.4 アンゾフの事業拡大マトリクス(No.19)

・本の内容の要約
No.19のアンゾフの事業拡大マトリクスは、「H.I.アンゾフが提唱した多角化の方向性を『市場浸透』、『新製品投入』、『新市場開拓』、『狭義の多角化』の横軸に製品、縦軸に市場を取ったマトリクスで4つに分類する考え方」とまとめられています。企業をどの方向に成長させていけば良いのかの方向性を探るフレームワークで、闇雲な事業拡大は好ましくないものの、適度な事業拡大は経営を健全に行う上で非常に重要とまとめられています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「ブレストツールとして使うのがよく、数多くのアイデアを出すことで量を室に変えること」と、「既存市場×既存製品のセルが疎かになりがちなので注意すること」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈
PPMよりもポジティブな話にフォーカスを当てているので、進めやすそうな印象を受けました。反面無謀な事業拡大は危険なので、冷静な意思判断を心がける必要はありそうです。

 

2. まとめ

戦略キャンバスやVRIOは非常に使いやすそうだなという印象は受けました。後半二つは意思決定に使うにはなかなかぼんやりしていて大変そうなので確かにブレストとして用いるほうがうまく行きやすそうな印象を受けました。