Ch.3 組織マネジメント・リーダーシップ③|基本フレームワーク50[グロービスMBAキーワード] #10

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連載の経緯については過去記事に書いていますので省略します。詳しくは#1~3あたりをご確認いただけますと嬉しいです。
#8ではCh.3の組織マネジメント・リーダーシップの中からNo.27のPDCAからNo.30のパワーの厳選と影響力の武器まで、#9ではNo.31のカッツ理論からNo.33のマズローの欲求5段階説までを取り扱いました。

#10ではNo.34のサティスファクション・ミラーからNo.36のSECIモデルについて取り扱えればと思います。
以下目次になります。

1. 3章まとめ③(組織マネジメント・リーダーシップ)
1.1 サティスファクション・ミラー(No.34)
1.2 レビンの組織変革プロセス(No.35)
1.3 SECIモデル(No.36)
2. まとめ


1. 3章まとめ③(組織マネジメント・リーダーシップ)
1.1 サティスファクション・ミラー(No.34)
・本の内容の要約
No.31のサティスファクション・ミラーは、「特にサービス業で重視される、顧客満足従業員満足が相互に影響を与え合うと考えるあらゆるビジネスに応用可能な考え方」とまとめられています。サービス業で顕著になるというのは、サービス業ならではの特徴として、サービス提供者と顧客が直接的に接点を持ちやすいという点があり、そのためお互いの満足や不満足が増幅されやすくなる傾向があるとされています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「No.7と同様に好循環も悪循環も一旦周りだすとあとは自律的に回るため、初期においていかに整えるかが鍵になること」と、「No.32でも言及されたポイントで従業員の満足度が高いことがそのままサービスの質に反映されない事態もあるため、真に高い品質のサービスが提供されているかや顧客が満足しているかはしっかり測定する必要である」の二つがまとまっていました。

 ・読んでみての解釈

整理してしまえば当たり前のように思えますが、言語化して認識しておくと良い考え方だと思いました。確かにディズニーランドのように従業員満足度が高ければサービス業では強みになりそうです。フィードバックループの考え方がここにも関係してきているので、少しの差が大きな変化を生むのでその辺は気をつけたいポイントだなと思います。

 

1.2 レビンの組織変革プロセス(No.35)
・本の内容の要約
No.35のレビンの組織変革プロセスは、「クルト・レビンが提唱した、組織変革の最も単純なモデルで、硬い状態を柔らかい状態にし、再度望ましい姿で確固たる状態にすべきと考える考え方」とまとめられています。組織変革においては実行をやろうとしてからすぐには実現できないので、ある程度のプロセスを踏む必要があり、その流れとして解凍、移動、再凍結の3ステップを踏むことにより実現を測る最も古典的かつ汎用性の高いモデルとしてレビンの組織変革プロセスは捉えておくと良いようです。解凍や移動のプロセスは一般的に重視され、特に移動が時間もかかるので適切なマネジメントが必要とされており、「小さな成功をおさめる」、「抵抗勢力をうまく緩和する」などを意識すると良いようです。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「抵抗視力の緩和に関しては、オーソドックスなアプローチがあり35-2の表を参考にすると良く、時間がある際は『教育とコミュニケーション』、『参加の促進』、『手助け』などが有効で、時間的にや抵抗勢力が強くて猶予がない際は『策略と懐柔』、『有形無形の強制』などを用いると良いこと」と、「組織の変革は早ければ良いのではなく、ある程度足並みを揃えることが重要だと意識すること」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈

組織の変革はなかなか理論通りいかないものなので、解凍、移動、再構築に分けて考えると確かに良いなと感じました。とはいえ、手続きばかりに時間が取られるのも無駄なので、変化の速い市場ではある程度の強制力を持った意思決定と組織変革が望ましい気がしました。この辺は業界や規模によって色々と変わってくる話なのではと思われます。

 

1.3 SECIモデル(No.36)
・本の内容の要約
No.36のSECIモデルは、「野中郁次郎教授が提唱した、個人が持つ暗黙知を共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)という4つのプロセスを経ることで共有の知識になるという考え方」とされています。これはナレッジマネジメントの文脈でよく出てくるモデルで、各プロセスの詳細については共同化は日々の活動を通してお互いに時間や空間をシェアして他人に共有すること、表出化は言葉やチャートなどを活用して具体的な形に変えること、連結化は表出化された知識をさらに結びつけて具現化し、最終的な形に落とし込むこと、内面化は組織としての形式知とされたものを再度個人の暗黙知として取り込んでいくこととされています。
利用にあたってのコツ・留意点としては、「SECIモデルのそれぞれのフェーズで得意不得意があるため、うまく場を設定する必要があること」と、「本来は繰り返し回し続けるプロセスなので、知識創出を当たり前の活動と考える組織文化の情勢が必要であること」の二点が挙げられています。

・読んでみての解釈

SECIモデルは有名なのでしばしば見かけますが面白い考え方だと思います。なかなかナレッジマネジメントという話が根付きにくかったりはするかもしれませんが、考え方としては抑えておくべきだと思います。
また、日本の会社は若干コミュニケーション過多な気がしますが、反面こういうところではプラスなのかもしれません。サービス残業など度を超えるとよくないことですが、あまりドライ過ぎても知識共有が進まずよくないのかもしれません。


2. まとめ

どれもそのまま用いるのはよくなさそうですが、考えの整理として用いるには非常に便利な考え方の印象でした。
特にレビンの組織変革プロセスに関してはなかなか興味深かったです。
日本の組織は若干変化への対応は遅い気はしますが、ある程度の冗長性は重要なのでこの辺はバランスを取って進めて行くのが良いのではと読んでいて感じました。